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dear06
亜廉の手がシャツの隙間に入ってくる。
まだ水の気配が残る熱っぽい手。
「ちょ、んんッ」
必死で口を押さえ声を殺した。
耳を舐めあげられた。
舌の感触と唾液の音が直に脳に響く。
ビクビクと肩に力が籠る。
「はッぁッやめ……て」
「龍の喘ぎ声って世界で一番ボクを癒してくれるよね。どうしてそんなに可愛く鳴くの? ねぇ、悪いのはこの喉?」
爪を立てられたかと思うと舌が這う。
「ふッッ……ぁあんん」
亜廉を止めようと手を伸ばすが、簡単に自由を奪われてしまう。
力の差は歴然。
「や、だってッ」
首もとから鎖骨を執拗に吸われる。
目線を下げれば淫靡な緋が散ってる。
すぐに顔をそむけた。
シャツは捲られ、抵抗も出来ずに胸を弄られる。
「ソレ……、ぃやッッ」
「知ってる。でも痛がってる龍の色気ってヤバいくらい惹かれるんだよね」
いつもの亜廉が消えていた。
怖い。
獣みたいな眼で俺を責め、逸らすことも許さずキスをする。
つい舌を差し出してしまう。
いつもなら拒絶できるのに。
「んん、はッ」
息が切れる直前に解放され、また舌を絡み取られる。
その繰り返しで俺はぼーっと熱に浮かされていた。
「龍もだんだんキスが巧くなってきたよねー? スッゴく嬉しいよ」
俯きたくても許されない。
両手で顔を固定され、俺は涙を堪えるしかなかった。
「大丈夫だよ、そんな顔しなくても」
ぎゅーっと抱き締められて、タオルが落ちる。
濡れた髪から酔うほどの甘い香り。
「龍はなにもしなくていいから」
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