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第14話

 鋼鉄の羽が閃く不穏な空に、白銀の月が照らす。  白い光が風の空白を吹き抜けた。 「彼の国を滅ぼしたのは、魔族でもアウィンでもございません」  彼の国を滅ぼしたのは…… 「民衆です」  国民が自分の国を滅ぼすなんて、そんな……  いや、それは!  ある。  たった一つ。国民が自ら国を滅ぼす集団行動が。  国政の腐敗と権力の癒着により、生命、人権、財産がおびやかされる時、国民は立ち上がるのだ。  滅亡は、新たなる創生の始まりである。 「レボルツィオーン」 「これは革命です」  そう。  国民は旧政府を打倒し、血を流して、自由と権利を勝ち取った。 「革命=レボルツィオーンを扇動したのがアウィンです」  彼は密かに潜入し、体制に不満を持つ反乱分子をかき集めた。  国家としての機能を停止し、権力欲に取り憑かれた政府は水面下で反乱の計画が進んでいる事にも気づかなかった。  危機察知能力を失った国家は、遂に『此の日』を迎える。 「民衆は私の指示に従い、一斉蜂起しましたよ」  男は不敵に笑った。  後の歴史書に『十三夜革命』と記される、今日此の日。  此の夜。  夜空に浮かぶ満ちる前の欠けた月を、自由の象徴であると人々は何百年先も仰ぎ見るのだ。  革命は、魔族の意図した計画の一端であるとも知らず…… 「私は革命政府 臨時大総統の就任が決まっております。お隣の指導者同士、仲良くしましょうね♪」 「うっ」  いいのか?  いい訳ないけど〜 (⁠魔族が一国の統治者だなんて!)  いや、それを言ったら俺の国も…… 「如何されましたか?まじまじと私の顔を見て」 「いえ、何も」 「夫の見目に見惚れていたのでしょうか」 「わわっ!」  そうだった★  ランハートと俺は夫婦に!  うううっ、いいのか?  いい訳ないけど〜  こんな事で、一生に関わる重大な選択をしてしまっていいのだろうか。  俺、流されてない? 「さて、アイル様。隣国の脅威は去りました。これからは我が国最大の友好国として、配下のアウィンが治めますのでご安心を」

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