16 / 56
第16話 その身に刻まれた呪いとは……
「最早お気づきでしょう」
影が伸びた。
月の袂で蒼く、腕を伸ばして、地上に伸びた影は、星々の光を消す。
「私は世界を敵にまわす。あなたを敵にまわす」
あなたを敵にまわしてでも……
「あなたを奪う」
月は白く、真綿のような微笑みを空に咲かせている。
「私は此の世界に君臨する者」
勇者の生まれ変わりよ、
お前の憎むべき存在だ。
千年の時を経て、地の底より甦った。
千年前にお前を奪った者。
その血筋、その生殖能力を。
「私は魔王」
視界が揺らいだ。
ともだちにシェアしよう!