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第47話

♪♪♫♬〜♫♪♫♬〜♪♫♪〜 「体全体でリズムを取りましょう」 「ええっ!?」 「手は腰に当ててー。1、2、1、2」 「ちょっ、ランハート」  名曲『月に寄せる歌』と全く合ってない。 (これって、レイディオ体操??)  大きく手を上げてー、背伸びの運動。……なんて言わないよな? 「1、2、1、2……アイル様もご一緒にー」 「……1、2、1、2」  一先ずランハートの指示に従おう。  手は腰に、つま先でリズムを取って……ハッ! (もしや)  このつま先立ちの繰り返しがムーンウォークの準備運動になっているのか。滑らかで且つしなやかな足首の動きはムーンウォークに必須だ。 (これで俺もキモモマイコドリに!) 「2、2、3、4!張り切って行こう」 「フフ、アイル様もやる気ですね。2、2、3、4」 「もちろん!」  キモモマイコドリに向かってレッスンだ。  手は腰に当てて、リズムは1、2、1、2。 「お上手です。アイル様」  俺達の動きは、最早優雅な『月に寄せる歌』を無視している。  もしもドヴォルザークがここにいたら、目を見開いて腰を抜かすだろう。  ドヴォルザークが尻もちをついたっていいんだ。俺達は世界一のキモモマイコドリになるのだから。 「お手を」  差し出された手に手を乗せた瞬間、抗えない引力にぎゅっと引き寄せられた。  大気圏を突破して、地上に落ちる流星のように。  俺の体は彼の腕の中に囚われる。 「踊りましょう。愛しき我が后」

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