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第31話

「ん、」 あたたかな肌着の上から素肌を撫でると恋人は擽ったいのか身を捩った。 「遥登と暖とるっつったろ」 「そういう、意味…ですか…?」 「“そういう”?」 わざとらしく聞き返せば目が泳ぐ。 「や、らしい…こと…」 「やらしくねぇだろ。 恋人同士の時間なだけだって」 しっかりと昼飯を食べた腹は相変わらず凹んでいる。 消化の早い子だ。 ついでに臍を掻くと小さく声が漏れた。 慌てて唇をきゅっと結んでも、良い声はしっかりと鼓膜を震わせている。 「噛むなよ」 照れてしていることなので可愛いが、指で唇をなぞりやめさせた。 唇は切れてない。 だが、噛んだことで少しだけ赤身が増している。 それがなんだか艶かしい。 働きすぎだろうか。 恋人の体温の馴染んだ手を背中に回して抱き寄せる。 そして、赤みをなぞるように舐めあげた。 「…っ」 また食むようにキスをし、恋人を独り占め。 ご家族──特に弟たち──に気兼ねすることなく独り占めだ。 大人げなくなって構わない。 角度をかえ何度も唇を食む。 鼻にかかった声と、とろんとしてきた目を合図に次だ。 「今度は口開けれるか」 頷かれると1度唇をきゅっと結んでから、ゆっくりと開かれる。 薄く開く唇を舐めてから舌を知れた。

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