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第32話
ぬるぬるする舌を舐め、上顎も舐める。
こんなキスは本当に何年ぶりか。
「…んっ、」
キスでこの声を聴くのもそうだ。
どれだけ我慢させたことか。
目一杯甘やかしたいのにキスばかり。
唇を離すのも惜しいが、キスをしている時に呼吸の仕方の分からない三条はそろそろやばそうだ。
名残惜しく舌先を吸いながら唇を離した。
「…ぁ、…」
「キスばっかしてんな」
濡れる唇を脱ぐってやると三条はその指を舐めてきた。
「嬉しいです…」
扇情的な光景に下腹部がイライラしそうだ。
だが、ここからセックスでもはじめてしまえば晩飯の時間が遅くなる。
只でさえ、疲れている恋人なのだから、腹一杯飯を食って欲しい。
……けど、少しだけ
細い腕を自分の首に回すように誘導し、胡座をかいた脚を跨がせる。
より密着した格好にしてからまたキスをする。
脚の上に跨がったことで三条の方が視線が高くなる。
見下ろされるのもまた一興。
サラサラした髪の毛が顔に当たるのもなんともいえない趣がある。
なにをしても、三条を感じるのがしあわせだ。
「えっろいキスも」
「…言い方…、」
今度は唾液をかっ拐うように口内を味わい、キスを更に深くする。
奪った唾液を飲み込むと首に回る腕に力が入ったが、そんなの可愛いだけでやめてやれない。
「…ま、……っ、」
帰さなくても良いという理由がストッパーを外しそうだ。
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