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第33話
20時頃飯を食べて風呂を済ませすぐ休むなら良いが、明日の準備だってしたいだろう。
部屋に帰り勉強をすることだって考えられる。
自分勝手に決められることでもない。
素直に週末まで待つべきだろう。
分かってはいるが、歯止めが効かない。
腹を撫でながら手の位置をあげていく。
腹から胸、そして顔。
触れればすぐに骨と分かる顎のラインから頬へと滑らせ、しっかりと掴む。
呼吸が苦しそうなので僅かに口を離すと、息を吸った。
これが社会人のキスなんだからたまらない。
キスの最中の息継ぎの仕方を教えなくて良かった。
本当に、これに関しては過去の自分に感謝だ。
「もっかい」
「ん…っ、」
辿々しくも口の中に触れる舌を楽しんでいると、ピーッ、ピーッ、と高い音が部屋に響いた。
炊飯器だ。
美味いモードに設定したので1時間以上炊飯時間がかかっているはずだ。
そんな時間、イチャつきキスをしていたのだろうか。
それはゆうに、授業の1限を越えている。
全く感覚がない。
思わず炊飯器の置かれた辺りへと視線をやってしまうと、三条の視線もそちらに釘付けだ。
「飯食うか?」
まるで、え?と言いたげな顔。
そりゃそうだろう。
飯は食いたい、けど、キスをやめるのも惜しい…とばかりの顔なのだから。
「それともキスの続きすっか?」
わざと顎に指をかけ意識させる。
「遥登のこと甘やかしてぇし、俺はどっちでも良いぞ」
「……蒸らす時間だけ…」
「ん、蒸らす時間だけな」
また、ちゅっとキスをした。
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