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第60話

「手ぇ、噛んでもキスマークな。 どうせ声抑えんのに噛むだろ」 「ずるい…」 「大人は狡いって知ってんだろ」 脚の間に自身のそれを滑らせ、逃げ道を塞ぐ。 手を縛り上げるのも良いが抵抗されるのも良い。 わざとではないが股間が擦れ、三条は足元へと手を伸ばした。 声は大丈夫なのか。 そう思い視線だけをやれば唇を噛んでいる。 そういえば三条はそういう子だった。 ちゅぅっと唇にキスをし、強制的に噛むのをやめさせる。 ついでに唇を舐めるとおずおずと口を開けた。 「…っん、」 舌を舐め、上顎も撫で上げる。 すると、顎を上げて逃げようとする。 だが、背後は調理台、脚の間にも脚が割り込み逃げられない。 声を出さないように快感を逃がそうとするその姿がいじらしい。 「…んん、…」 それでも背丈で言えば自分の方が有利。 逃さないと上顎をねっとりと舐め上げる。 「…っ、…ず、るいです」 「なにがだよ」 「……こんな、えっちなやつは」 「感じる?」 「…っ」 あ゛ー…、ほんとたまんねぇ… 「けど、上顎好きだろ?」 「こっ、声を、出させるのは狡い…です…」 「はいはい。 狡いなぁ」 今度は、ちゅっと鎖骨の辺りを吸う。 ワイシャツで隠れる位置ならと鎖骨を選んだが、もう少し際どいところの方が良かっただろうか。

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