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第1話

 隣人からの調教が激しくなり、朝霞は先日隣人の指示で怪しげなアダルトグッズまで購入し、それを使っての自慰行為を行ってしまった。  隣人は朝霞が購入したエネマグラを後孔に入れたままで射精しておくようにと朝霞に指示を出してきた。  あれを入れると朝霞の身体の感度は飛躍的に上がり、自分では止めることが出来ないくらいの快感が身体を包み込むのだ。隣に住んでいる人物のことはよくわからないが、朝霞が隣人とのあの行為に夢中になってしまっていることは確かだった。  壁を介しているのに、隣人の与えてくる快感に侵されている気がする。身体の感度が増してしまっているようだ。  朝霞は先日会社でアイスコーヒーを零されて、谷山にハンカチで胸のあたりを拭かれたとき、思わず声をあげてしまったのだ。  谷山は、くすぐったかったのか、と朝霞に聞いたが、あの時確かに快感を覚えてしまった。 朝霞の思い違いかもしれないが、その日を境に谷山と遠山に見られている気がする。  ――変なふうに思われてなければいいが…。  そんなことを考えながら、帰り支度を進めていたら、谷山が声をかけてきた。 「課長、飲みに行きません?遠山も一緒に」  朝霞の席の前にやってきた谷山にいつものごとく声を変えられた。それほど回数は多くはないが、朝霞は谷山と飲みに行くのだけれど、最近はそれに遠山が追加された。  入社当時から遠山の事は中性的な見た目が好みだなと思っていたから、朝霞としては断る理由もない。 「ああ、遠山も行くって?どこに行きたいんだ?」 「そうですね。あ、最近出来た店いきます?結構安くて美味いとこあるんですよ」  朝霞が言うと、谷山はおすすめの店があると言う。それならそこでいいんじゃないか、と三人揃って谷山のおすすめだという店へと向かった。  会社から十分ほど歩いて向かった店は、カウンター数席とテーブル、奥に座敷がいくつかあるようで、ゆっくり出来るからと座敷を選び朝霞達三人は座布団の上に腰を下ろした。朝霞が奥に座ったから、谷山と遠山は向かい側だ。  初めにビールで乾杯した後は、仕事の話を少ししていたのだが、酒が入ってきた後は調子のいい谷山が砕けた話を切り出して来た。 「課長って、本当のところは男、女どっちが好きなんですか?あーー、もしかしてどっちも?」  谷山の言葉に、朝霞は身構えた。これまでずっと会社の中では疑われたことなど一度もない。普通に考えたら、女が好きだと思われているべきもので、男もいける人なのではないか、などという発想をされること自体が問題だろう。鈴木や南の妄想話ならまだしも…。 「はあ?何を言ってるんだ。女遊びのしすぎでおかしくなったのか?男は基本女が好きに決まってるだろう?」  朝霞は呆れた様子で谷山に返した。本当のところは、谷山に核心に近づかれてかなり動揺をしていたのだけれど、出来るだけそれを出さないように冷静に答えた。 「谷山さんもそう思います?実は僕も何となくそんな気がしていて。この間、谷山さんと一緒に、ほら写真撮った時とか…、まあ、何となくなんですけど。あ、ちょっとトイレ行ってきますね」  遠山も谷山の意見に同調した様子だ。写真と言えば、おそらく朝霞が谷山と遠山の写真の遊びに巻き込まれた時の事を言っているのであろう。朝霞は何かおかしなことをしたつもりはなかったが、実際あの時、ドキッとして動揺してしまったことは確かで、もしかしたらその雰囲気の違いを感じ取られたのかもしれない。  トイレに行くと言った遠山が責を外すと、向かいに座っていた谷山が立ち上がり朝霞の真横に座ってきた。 「なんだ?」  ――近づいてくるなよ…。

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