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第16話 【チェイス視点】むしろ触れるものなら触ってみたい
「あんたが……! 魔力で体中撫でまわしてくるから、オレ……っ」
「……え?」
ミジェの言葉の意味が最初は分からなかった。
珍しく俺を睨むように見上げるけれど、真っ赤な顔で目を潤ませた状態で睨まれてもさすがに怖くない。
むしろ可愛い。
ミジェは南方系の血が混ざっているのか肌が少し浅黒い。そこにぽうっと赤みがさして、なんとも言えず愛らしい。恥じらいながら必死に声を振り絞っている様など、エロ可愛くて眼福過ぎるんだが。
酒で火照っているのか、オレンジのふわふわした髪が汗で頬に少し張り付いているのすら色っぽく感じてしまう。服で隠れた肌も、こんな風に上気しているのだろうか。
その瑞々しい肌に少しでいいから触れてみたい。隠すように両手で抑え込まれた胸にある、小さな突起も酔いで敏感になっているのだろうか。ぜひとも堪能してみたい。
ミジェは魔力で体を撫でまわすとか言ったようだけれど、そんな器用なこと、できるものならむしろしたいくらいだ。思いっきり体中愛でまくりたい。
「あんた今、エロいこと考えてるだろ……っ」
ぎょっとした。
何故バレた……!? 今までどんなにミジェを愛らしい、触りたいと思っても、態度にはおくびにも出さなかった筈……!
「オレ、魔力は体で感じるタイプだって、言ったじゃんかぁ……」
「え、あ……ええ?」
それは聞いたが。
え? それが今、なんの関係が……?
「なんで乳首ばっかり……っ」
ミジェの不意な発言に、頬がかっと熱くなる。
まさかミジェから「乳首」なんて単語が出るとは思わなかった……!
「もう無理……っ! あんたの魔力エロ過ぎなんだよ……! 頼むから、乳首触るのやめて……」
涙目で懇願されて、頭が真っ白になった。
待ってくれ。
ええ? ミジェがこんなにも悩ましい様子になっているのは、もしかして本当に私の魔力のせい……? 私の魔力がミジェの慎ましい粒をふにふに、もみもみしているとでも言うのか……!
「てめぇ……っ、なんで……っ」
ついに呼称があんたからてめぇになった。
どうでもいいことを一瞬考えてしまった私を、ミジェが泣きそうな顔で見上げてくる。
いや、違うんだ。
「なんでやめてくれねぇんだよぉ……」
私に背を向け、庇うように胸を隠す。背を丸めて震えるミジェが健気すぎて、その火照ったうなじから背にかけてこの唇で触れてみたい、と思った瞬間。
「ああ……ん」
悩ましい声と共に、ミジェの体がぴくんとのけぞる。そして思いっきり睨まれた。
あ、マジだ。
これは本当に、私の妄想に魔力が反応してしまっている、とやっと芯から理解した。
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