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6 キスしちゃった

今日はほぼ移動教室の日 1時間目理科室、2時間目は音楽室とだから俺は友人と離れないように意識した。 裕司に襲われないようにするために 音楽室からの帰り 「今日ってさ午後の体育持久走じゃん、昼後の持久走ほど嫌なものはないよな」 「分かる」 「って米田なに後ろ気にしてるの?」 俺たちは今3人で移動中だ。 「え? あ、……なんか視線を感じて」 「そっか、??」 「あれ? 米田は?」 「また忘れ物とか??」 俺は横に引っ張られて空き教室に拉致された。 ……。 口元に手が置かれ腰に腕が回り耳元で 「葵ちゃん捕まえた~~」と声がした。 「んんっ」 「しーっだよ、さっき冷たくされたの俺傷ついちゃった」 一生懸命逃げようとしても身動きがとれなかった。 バカ力。 こんな時だけ剣道部員ではなく柔道や合気道習っておけば対処できたのかと少し思うがこれは体格差か こいつ何センチあるんだよ。 腰にあたる生暖かい感触、これはもしや勃起してるのでは?? ……。どこまでも変態野郎か。 「ぶっくくくっ」 「んん?」 「あーいいね、本当に葵ちゃんは俺の理想だ、その顔ぐちゃぐちゃに乱してあげたいよ、本当に」 ?? 変態の考えること怖い。 「喋りたい?」 こくりと頷くと口元を解放した。 俺は助けを呼ぶ。 「助け……!!」 大きな声でそう喋りだすと口元に再度手が置かれた。 「やばっあぶなーいまたこんなとこ先生にでも見られたりしたら俺さすがに退学になっちゃう」 またってことは去年も同じことがあったとか? 「そうだよ、俺去年学校で男子生徒閉じ込めたことあってね、裸にして秘密の倉庫でその子のこと飼ってたんだ。家にどうしても帰りたくない可哀想な子でさ、帰りたくないなら俺が一生ここで面倒見てあげるよって言ったらその子泣きながら俺にご奉仕してきてくれたんだよね、だからさ葵ちゃんもそうなるんだよ」 ……。キモっ 俺は口元にあった指を思いっきり噛んだ。 「いたっ」 その反動で少し力が弱まったのか脱出できた。 「キモい、俺はそれ求めてないし、そういうの好きな人とやって」 「葵ちゃんってかっこいいよね、可愛い顔してるのに」 「顔とか関係ないだろ、俺は男だから」 「歪ませてやりたいなその根性」 裕司も立ち上がる、頭一個分くらい違いそうだ。 ……。でかいな。 「もういいだろっ」 と手を上げ立ち去ろうとしたら その手をとられ引き寄せられたバランスを崩して裕司の胸にダイブすると顎を持ち上げられキスをされた。 「んん!?!?」 初めてのキス。 唇を舌で開けさせられる。 怖い……。 「そんな力まなくていいよ」 と余裕な口調……むかつく。 俺は思いっきり腹に拳をたたきつけた。 「ごほっ……葵ちゃん……」 しゃがみ込み痛がる裕司を置いて ぷんぷんに怒った俺はその場から逃げた。 最悪だ……。 水道水で口を洗う。 昼休みに入った廊下には大勢の人がわんさかしていた。 しかも昼飯を食べ終わった人が多いようだ。 だから俺はいつもの場所に向かう。 ガラっと扉を開けると 「葵どこほっつき歩いてたんだよ、遅いぞ」 と知ってる顔に出くわし俺は結城の両肩を持ち 「ど、どした?? 葵顔真っ赤だぞ」 「結城ってファーストキスまだだよな?」 「は? なにいって……んんっ!!??」 俺は結城にキスをした。 驚きすぎて固まっている結城は口をパクパクしていた。 「わるい……やっぱキモいよな……」 後ずさる結城の姿に俺はちくっと胸が痛んだ。 そしてその後ずさりが悪夢を生んでしまった。 ゴチン!!! とすごい音がした。 「ええ!!? 結城大丈夫か??」 2-3段の階段の上にいた結城は後ずさる中手をついた先が地面だったのでバランスを崩して頭を強く打ってしまった。 「起きないし……」 「おーいなにかすごい音聞こえたけど保健室の先生呼んでこようか?」 窓から聞こえたのは副部長の飯島先輩だった。 「先輩!!」 「というよりも連れて行った方が早そうだな」 おんぶされて保健室に向かった。 「うわ!? どうしたの」 「すみません、ちょっとふざけてたら……」 「頭にすごい大きなたんこぶできちゃって可哀想に、脳震盪起こしてるのかな……親御さん呼んで病院で見てもらった方がよさそうね、えっと君は同じクラスの子かな?」 「あ、いえ隣のクラスなんですけど幼馴染みなのでカバンとか持ってこれます」 「そうなのね、じゃ持ってきてもらおうかな」 「分かりました」 ……。結城大丈夫かな。 心配だ。 『あ、お世話になっております、栗山結城くんのお母様のお電話でお間違えないでしょうか?』 『ええ、そうです』 『私、花山高校の保健医をしています、保田山と申しまして、結城くんが学校で怪我をされてしまいまして病院に引率を願えないかと思いまして』 『あらーそうなのね、やんちゃなんだから……分かりましたちょっと店戸締まりしてすぐに向かいますので』 『分かりました、よろしくお願いします』 「もう、君は戻っても大丈夫だけど」 「あ、はい」 「そうだ、お店って知ってる?」 「花屋ですよ、俺向かいの家なので知ってます」 「ああ、そっかさっき幼馴染みって言ってたもんね、まぁなんともないよ大丈夫」 「……なにかあれば連絡してください」 「うん、病院から帰ったら報告してあげる」 「お願いします」 ぺこりと挨拶して保健室を後にした。

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