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5 変態に襲われた

2人で日課にしている朝練を終え 学校に登校すると階段の下からなにかが襲ってきた。 「ひぎっ!!?」 「どうした葵?」 踊り場辺りでふらふらと葵が俺の目線からいなくなった。 原因はすぐに分かった。 「おはよう、僕の可愛い可愛い葵ちゃん♡」 あーこいつまた。 「結城……」 「なに?」 「俺の魂抜け落ちたわ」 「え? どゆこと??」 ぺたりと座り込んだ葵に近づくと腕を引かれ 「助けて」と言ってきた。 葵は昔から俺のヒーローでかっこいいのに俺に甘えてきたのどうしよう。 可愛い。 「葵ちゃんちょっと無視しないでよ」 「てか先輩は葵になにしたんですか?」 「え? ちょっと股間に挨拶してあげただけだよ?」 「……はい??」 他の生徒も階段を上り下りしている中そう口走る先輩は頭イカれてるんじゃないかって俺は思ってしまった。 「なんなら今やったこともっかい試す?」 とふらふらとこちらに来たので葵が俺の手をひいて教室に逃げ込んだ。 でも状況はあまり変わらないような。 俺はよくても葵は同じクラスだから。 「ひゃぁ!! お前半径1m以内には近づくな!!!」 「どおったの?」 「柏木!! 俺を助けろ」 背の高い柏木を盾にした。 「えー俺間にはまれるの嫌だわ」 と逃げようとするのでチャイムがなるまでの間結城のクラスに居座ることにした。 「ちょっともうすぐ予鈴鳴るよ」 「本鈴鳴ったら戻る」 「それって遅刻になっちゃうよ」 キーンコーンとなり出した。 「あーもうくそ!!」 と自分のクラスに帰って行った。 「おかえり葵ちゃん♡」 「そこ、俺の席」 「知ってるよ、だから椅子暖めておいたの♡」 「うぐっ……きもい」 そこに座るとほんのり暖かかった……。 ぞくっと身震いする。 ちなみに裕司の席は1つ後ろの席。 なのでちょっかいをかけてくる時もあったり授業中ぶつぶつと考えを口に出してきたりして集中できなかった。 だって絶対にその考え方にはいきつかないだろ!! 移動教室 「あ、やべ!! 忘れもんしたわ、さき行ってて」 「ういー」 友人と移動してる時に忘れ物に気づいた俺は急いで教室に向かった。 「あんれ? どーったの?」 俺の前に変態が現われた。 無視して机の中を漁っていると 「無視かよ」と聞こえた。 教室にいる気配は感じないけど……。 あいつサボる気じゃ。 廊下に出ると腕を引かれた。 すでに予鈴が鳴っている廊下に人気はない。 慌ててトイレから戻る生徒もこちらを気にする者はいなかった。 壁に後ろから押しつけられ朝の行為を繰り返された。 むにゅっと股間に手があたっていた。 「ちょっ……やめっろ」 「可愛い子でもおいたがすぎると俺もっと意地悪しちゃうよ??」 なにかの警告なのか。 抱き込むようにして股間をもんでくる。 「まじ……やめろ!! 気持ち悪い!!」 俺は壁に手をあて脱しようとしたら耳元に舌が這い、そこを舐められた。 「ひっ!?」 てか息子!! 反応すんなよ…。 振り向き際に掌で裕司の頬を叩いた。 どうにか走って逃げる。 「遅刻だぞ」 「すみません」 理科室に入り黒板に出席番号が書かれていたので席につく。 「忘れ物見つかった?」 「あーうん」 「んじゃ実験始めて」 ガラっと貴船裕司が入ってきた。 「お前も……って頬どうした?」 「あーちょっと愛のパンチくらいました」 「……お前放課後生徒指導室に来なさい」 「へーい」 「返事は【はい】だ」 裕司は俺の隣にきたが 「黒板見ろ」と一言言った。 「あー先生の意地悪~~」 「なにが意地悪だ、ちゃんとやれ」 「へーい」 「俺たちの班、米田(よねだ)いてよかった」 「なんで?」 「えーだって分からないところ先生より米田のほうに聞けるじゃん」 「ふぅー」 正直勉強を教えるのには抵抗はない。 でも勉強方法を聞く前に答えを聞いてくるやつは嫌いだ。 「いいよ、どこ分からないの?」 自分のためにならない。 そう、自分のために。

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