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第11話 悪いと思っているのなら
するりと落ちたマコトの視線が、俺の鎖骨を捉えた。
マコトの指先が、赤く存在を主張するキスマークを擽る。
「こんなところにキスマーク強情られて、我慢するの大変だったんだよ?」
困ったヤツだと言いたげに紡がれた声に、俺は瞳を伏せる。
「悪かった」
申し訳ないやら、恥ずかしいやら、不貞腐れたままに非を認める俺に、マコトはさらに言葉を募る。
「終いには添い寝まで、強情ってくるし……?」
やらかしてしまったコトを責められたところで、無かったコトに出来る訳もなく。
どうしろというのだと、赤くなる頬でマコトを見詰めた。
困り顔で視線を返す俺に、マコトの表情がしてやったりとニヤけた。
「挿入 れないから、……しゃぶってい?」
鎖骨のキスマークを、いじいじと擽っていた指先が、重力に引かれるように落ちていく。
「は?」
理解に苦しむマコトの言葉に、眉根を寄せた。
マコトの1本だった指先が掌全体になり、いやらしく俺の腰を撫でてくる。
ふわりと耳許へと顔を寄せたマコトが、鼓膜を犯すような声で囁いた。
「悪いと思ってんなら、いいよね?」
初めての時、〝悪かったと思っているなら、黙ってしゃぶらせろ〞と言った俺の言葉を覚えていたらしい。
拒むべきなのに、心の片隅が期待してしまう。
無意識に、マコトの熱を求めていた俺は、抵抗など出来るはずもなく。
「ご褒美。いただきます」
反発も、断りもしない俺に気を良くしたマコトは、嬉々として首筋に唇を落としてくる。
首筋に何度も落とされる唇に、ぞわぞわとする痺れが身体を熱くしていく。
「汗かいた方が、早く治るって聞くし……」
マコトの大きな手が、スウェットの上から、むにゅりと俺の股間を掴んだ。
マコトの言葉と、ぞわりと這い上がった快感が、風邪の気怠さを思い起こさせた。
このまま流されてしまっては、伝染したくないと思っていたマコトに風邪を罹患させ、苦しい思いをさせてしまう。
気持ち良くなりたいのなら。
ご褒美がほしいというのなら……。
「それなら、俺が……っ」
しゃぶってやる、と紡ごうとした言葉は、マコトの指先に上下の唇をまとめ摘ままれ、阻まれる。
「まだ、喉、痛いでしょ」
その代わり、と紡いだマコトは、俺の唇を解放し、手首を掴む。
「手、貸して」
掴まれた手が導かれたのは、はっきりと存在を主張するマコトの股間だ。
スラックスの上からでもわかる拍動が俺の指先を刺激する。
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