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「行ってきまーす!」 「はーい、後で私たちも行くからね」 元気よく玄関を飛び出して 今日は高校の入学式。 新しい制服はまだ着慣れなくて変な感じだ。 僕の中学は学ランだったから、ブレザーとかネクタイとか、まだ慣れなくて。 (今日は母さんにしてもらっちゃったけど、ちゃんと自分でやらないとな) 帰ったら父さんに教えてもらおう。 そんなことを考えながら通学路を歩いてく。 (徒歩だ……何か不思議な気分) つい最近までは電車通で、トシさんがいて そんな日常だったのに。 (トシさん、元気かなぁ) もう学校は始まってるだろうか。 スポーツ推薦で高校へ行って、きっとサッカーをめいいっぱい楽しんでるだろうな。 眠たそうなトシさんがボールを蹴ってる姿を想像して思わず笑っていると 「あぁーいたいた!まじお前ら置いていくとか何なの?めっちゃ焦ったじゃん!!」 焦ったような声に追い抜かされて、僕は立ち止まった。 (っえ……?) あり得ない。 だってこの声は。 茫然と前を向くと 「わりーわりー」と言ってるAさんとひたすらに笑ってるBさん。 そして、そんな2人に殴りかかろうとしているトシさんがいた。

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