13 / 16

13

それからは、本当に毎日が過ぎるのが早くて。 入学試験は無事合格。 両親にお礼を言ったら泣いてくれた。 それから一緒に先生へお礼を言いに行って。 友だちとも喜び合って、たくさん笑って。 あっと言う間に卒業式で。 「私たちも参加するから、お父さんの車でいきましょう?」と言う母をなんとか説得して 僕はいつも通り、駅のホームにいる。 トシさんの学校は今日が卒業式じゃないみたい。 いつも通り、相変わらず眠そうだ。 右手でがしがし頭をかく癖がさっそく見れて、思わず笑ってしまった。 ねぇ、トシさん。 あなたに片思いして、勝手に終わっちゃってから、僕は毎日がすごく楽しいんだ。 両親や先生のことにも気づけた。 そして何より、これから行く高校で夢を見つけるのがすごく楽しみで。 ちょっと前の僕だったらこんなこと絶対あり得なかったんだよ? トシさんが、僕を変えてくれた。 (まぁ気づいてないけどね) クスクスと笑ってしまう。 今日で、もう会うことは無いと思うけど 僕、トシさんは絶対サッカー選手になれると思うんだよね。 サッカーしてるところとか見たことないけどさ、大丈夫だと思うんだ。 だってトシさんだもん。 見ず知らずの僕をこんなに変えてくれたトシさんなら、きっと大丈夫。 だから、夢に向かって羽ばたいて いつか、僕にも夢ができて、それに向かって頑張る途中で、また出会えたら その時は、挨拶してもいいかな? (うぁ、泣きそうやばい) トシさんの姿が少しづつ霞んできた頃に ―――間もなく、電車が到着いたします。お乗りのお客様は○番乗り場に――― ちょうど僕が乗る電車がやって来て あまりのタイミングの良さにちょっと笑ってしまって。 ギュッと思いっきり目をつむって、パッと開けて (ばいばい、トシさん) 綺麗な視界に映るトシさんに精一杯のさよならを言った。 そうして、僕は中学校を卒業した。

ともだちにシェアしよう!