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それからの僕は、受験モードに切り替えようと必死に勉強に力を入れた。 結論から言うと、僕はやっぱりトシさんを諦めきれなかった。 でも、あの時トシさんが言ってたみたいに 『今、ここで頑張ってたら将来何か変わるかもしれない』 今、今が大事な訳で。 中3の冬、もう高校の入学試験が目の前の僕には、今更進路変更なんて道は無くて。 だから、これから行く高校を少しでも好きになろうと、めいいっぱい学科や行事のことを調べた。 僕が受験するのは県内有数の普通科。 しかも家から徒歩で通える距離、今まで通学に使ってた時間を他のことに使える。 夢が決まってない僕にはもってこいの場所だ。 (ちゃんと、僕のこと見てくれてるんだなぁ) ここを勧めてくれた両親や先生の、愛情にも気づけた。 全部全部、トシさんのおかげなんだよ? トシさんと帰りの電車を合わせることも辞めた。 でも、朝だけは、どうしても被っちゃうから。 今日も眠たそうなトシさんを見て、よし!僕も頑張ろうって、そう思って電車に乗る。 そんな日常へと変化した。

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