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ここはどこ? 1

(そう、俺は身を投げた) 確かに死んだはず。 それなのに…何か、聞こえる……? 最初に聞こえた声は、多分2つだった。 それが遠ざかっていって、また近づいたと思えば今度はたくさんの声が聞こえてきて。 囲まれてる……? 何人?いや、何十人かも。 とにかくいろんな声が俺の周りで飛び交ってる。 けど……その声全部にモヤがかかってるというか、ぼやけていてよく聞こえない。 耳の中水入ってんのかな。助けられたのか? 目を開けて確認したいけど、全然力が入ってくれない。 手足も全く動かなくて、声だって出せなくて。 (……ぁ) 俺が必死に動こうとしてるのがわかったのかな? 誰かが「頑張らなくていいよ」と言うように、震える目蓋の上へ優しく手を乗せてくれた。 そのまま頭を撫でてくれる感触に、ほっと身体の力を抜く。 「……?」 ポタリと、頬に何かが落ちる感触。 途端、大きな何かにぎゅぅっと体を抱きしめられた。 「ーーーぁ、か〜〜……っ」 耳元で呟かれるが、うまく聞き取れない。 けれど、この人から伝わる体温はすごく心地良くて 安心しても…いいのかな……と思いながら、俺はまた意識を飛ばした。

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