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「今日も頑張ったみたいね」
「あ、うん」
目覚めて1ヶ月くらい。
俺は毎日、病院でリハビリをしている。
こっちで海に飛び込んだ日。
偶然それを見ていた人が助けを呼んでくれ、俺は奇跡的に助かっていた。
だが肝心の意識が戻らず、そのまま1年と数ヶ月の間眠り続けていたらしい。
1年と数ヶ月は、俺が向こうの世界で生活していた日数と丁度重なる。
医者や両親から説明を受けた時、正直ゾッとした。
俺は、もしかしたらずっと長い夢を見ていたんじゃないだろうか。
向こうの世界のことなんか所詮妄想で、頭がおかしくなっただけなんじゃないか。
……だが、それにしてはあまりに全てを鮮明に覚えていて、感じる違和感に疑問が浮かぶ。
これは、一体なんなんだろう。
俺は、何者……?
「そう言えば、どこへ行くか決めた?」
「っ、」
机に置かれたいくつもの学校のパンフレットを見ながら、母さんが聞いてくる。
自殺未遂をした俺は、いじめられていたことにされていた。
周りと違うから無視されたり色々言われたりしただけであって、あれがいじめなのかは分からない。
でも、両親の訴えに学校側が認めたらしい。
現在、俺は次の入学先である高校を探している。
一回遅れで次の年から通わせるつもりらしい。なんだか懐かしいな。
……でも、
できればもう、学校には行きたくない。
あんな思いは…もうーー
「早く決めなさいね? 手続きとかあるんだから」
「ぅ、ん」
世間体を気にする母さんは、俺を進学させたい。
そうだ、こっちの世界はこんな感じだった。
分かってるんだ、裏を返せば俺の将来のため進めてくれてるんだってことを。
向こうの世界で両親を思い出した時、その愛情に気付くことができた。
……でもそれが、今の俺には辛すぎる。
戻ってきた感覚に息が詰まって、布団の下でグッと拳を握った。
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