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「…………ぇ?」
突然のことに全身が固まり、周りの音も全て消える。
でも、その声だけは……しっかりと聞こえて。
「何処へ行くんだトアスリティカ。
お前の場所は、ここだろう?」
「ェ、ルバ……? ぅわ!」
グイッと腕を取られ振り返った先。
月に照らされた綺麗なグラデーションの青い髪が、風に揺られていた。
「あぁ、やっと見つけた……」
「ぅ…そ、どうして、ここに……?」
「お前が水の中で呼んでくれたからな。
気づくことができた」
そんな……呼んでくれたってここ違う世界だぞ!?
気づくなんてこと…あるのか……?
びっくりしすぎて涙が止まった俺に笑いながら、ゆっくり抱きしめられる。
「すまなかった」
「ぇ?」
「我が契約してるにも関わらずお前の身に起きたこと、悔やんでも悔やみきれない」
「ぁ…れは……もう、いいよ。
俺も悪かったんだ。だから……
というか、俺水を克服できたんだ!こんな深いところまで1人でこれた。暗いのも水飛沫も、温度とかももう大丈夫なんだ!」
「……克服、か。だか身体は冷えているな。あまりに冷たいのはどうかと思うぞ」
「ぁ、っ」
首筋に軽く口付けをされ、温かさに震える。
でも、共有は起きない。俺が今魔力を持ってないからか?
「…さて、トアスリティカ。問おう。
ーーお前はどうしたい?」
「っ、」
そのまま肩口に顔を埋められ、ポツリと聞かれた。
やはり訪れたこの瞬間。
俺は、どちらか片方を選ばないといけないらしい。
髪から流れる水滴が水面へ落ち、静かな音を立ている。
それ以外は本当に何も聞こえない…2人だけの空間で……
「エルバと、いきたい」
初めて俺は、自分の為だけの選択を口にした。
「エルバは嫌かもしれない、けど……それでも俺は、お前といきたい。
共鳴ももうあんなに感じたりしないから、ちゃんと我慢出来るから…だから、その……へ? ぅむっ!?」
突然上を向かされ、いつかのように綺麗な顔に口を塞がれた。
入り込んでくる舌が気持ちよくて、どんどん深くなるそれに身体の力も抜けてくる。
「ん…ふぅぅ、ん、んっ、ん……っ」
逃げようとしても頭を抑えられ動けず、縋るようにエルバの服を握って。
やがて、解放されると同時に崩れ落ちた俺を横抱きにし、笑われた。
「共鳴も無いのにこんなにも気持ちがいいとは……
ーーやはり我にも、お前だけのようだ」
「はぁ…は……え?」
「帰るぞ」
ボソリとエルバが何かを唱えると、すぐに目の前に魔法陣が現れる。
その中へ入るように、俺を抱えたままゆっくりと歩き出してーー
「待って!!」
「っ!」
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