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第47話 それから

 そよそよと揺れるカーテンをぼんやり眺める。正直もう指1本も動かせる気がしないです……。  番契約をした後僕が気絶するのはお互い想定済み。昨日のメインは番契約を結ぶ事だったからそこまでに気絶しなければ目的は達成した事になるけど、もし僕が気絶しちゃってもその後叩き起こしてでも抱いて欲しい、って頼んでたからかそれともオーナーも箍が外れちゃってたのか気絶しては起こされ結局一晩中ヤりまくった朝です。おはようございます。っていうかもうおやすみなさいって言いたいくらい疲れておりますが。    ぐったりと裸のままで動かずにいたら朝から艶々元気そうなオーナーが桶を持って部屋に戻って来た。 「悪かったな。加減が出来なかった」  バツが悪そうな顔可愛いんですけど! 「嬉しかったからいいんだ」  うわぁ、声もがらがらじゃん……。珍しく眉毛を八の字にしてすまん、なんて謝りながら僕の体を拭いてくれる。本当はお風呂入った方が早いんだろうけど、まああれだよね。これだけヤったら熱も出ますわ。  手際よく体を清拭して、服を着せてくれる。いつの間にかシーツ綺麗になってるし、最後に気絶した後変えてくれたのかな。  寝る前に水分を取れって言われてちょっと甘味と酸味のある水を飲まされた。何かあれだ……前世で飲んだ事ある味。スポドリとかそれ系のやつの味がする。  懐かしさと美味しさで2杯飲んで、軽くパン粥を食べて布団に戻される。  寝かせる前にオーナーが自分の噛み痕を包帯の上から愛し気に撫でるから何だか恥ずかしくなって思わず布団に潜りこんでしまった。 「後悔してるか?」 「してるわけないでしょ!」  まだ言うの!って布団跳ね飛ばしてぷりぷり怒る僕の頭を撫でるオーナーがあんまりにも嬉しそうに笑うから、僕もつられて笑ってしまう。 「子供、出来たかな」  発情したΩは番のαの精液ですぐ妊娠するんだ。今回は薬で起こした発情だから微妙な所だけど、何でか僕はどうしても子供が欲しいな、って思った。誰かと何かの約束をしたような気がして。その約束が何だったのか思い出せないけど、子供が出来たら僕がもらえなかった愛情を沢山沢山注いであげようと思うんだ。 「今回ダメでもこれからはいつでも一緒にいるんだから焦らなくても大丈夫だろ」  それより先に熱を下げて、もっと体力付けて、ってオーナーが色々言ってくるけどもう瞼が半分閉じて来てる。  そうだよね。もっと体力つけて、子供産んで力尽きたりしないようにして、子供と一緒に走り回れるくらい元気でいないといけないし、オーナー、まさかの絶倫だったから夜の相手も頑張らないといけないしね。 「ウル?……眠ったのか?」  辛うじて起きてるけどもう返事する気力もないです。ちょっと重めで激しめなオーナーの気持ちを受け取った体の、ちょっと心地良いとは言い難い疲労感に包まれて意識がなくなる瞬間。 「愛してる」  僕もだよ、って返事は口に出来ただろうか。  この先また僕が魔王化しないかとか不安はまだある。でもオーナーが側にいてくれたら何も怖い事はないから。きっとこの先もずっとオーナーと一緒に笑いあったり、喧嘩したり、愛し合ったり、しわくちゃのおじいちゃんになるまでずっとずっと一緒。  ――オーナー、愛してるよ  頬を撫でる手の平に擦り寄った。  おじさんが絶対やらなきゃだめ、でもパパ認めたくない~!って号泣しながら言い張って、僕達が結婚式をあげるのはそれから少し後の事で、僕のお腹に新たな命が宿ってるって判明したのはさらに後の事。  

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