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動揺と葛藤 8

「……そろそろいいか?」 その時凛の声が聞こえてきて蓮達はハッと振り返る。 「今日3人に来てもらったのは、撮影前に顔合わせをして貰おうと思ったからだ。お前らには言っていなかったから驚いただろうが、本番が始まれば嫌でも一緒に行動を共にすることが多くなるからな」 凛の言葉に蓮はハッとしてナギを見た。しまった、美月の件でうっかり自分が隠れようとしていたという事を忘れていた。 でもまぁ、いつまでも逃げ回っているわけにはいかない。 いくら別撮りと言っても、役者同士での読みあわせや、シーンごとにの動きのすり合わせなど、一緒に行動する場面は多いはずだから。 正直言って自分がこのままレッド役を続けて言ってもいいものか迷いはあるが、ずっとこのままと言うわけにはいかないだろう。 「取敢えず、状況を整理したい。今回の主役、小鳥遊君は|楽谷赤也《らくたに あかや》役を演じる。アクターはレッド。蓮、お前だ」 「……はい。あ、えっと……御堂、蓮ですよろしく」 「……うん」 呼ばれて立ち上がり、改めてナギと向き合う。だが、やはり怒っているのかふいっと顔を背けられてしまった。 「次に、草薙君。彼は|泉 青葉《いずみ あおば》役を演じて貰う。アクターはブルー。 棗 雪之丞が担当する」 「は、はいっ! あっ、あのっ……よ、よろしくお願いしますっ」 「そんなに緊張しないで大丈夫ですよ。私の方が年下なので」 おどおどと前に出た雪之丞は緊張の為か、いつもよりさらに背中が丸く小さくなってしまっている。それを見て、弓弦はクスっと笑みを零した。 流石、キャリア歴が長いだけあって、動じない。 「で、最後だが。草薙、美月さんだ。彼女は|恩田桃子《おんだ ももこ》を演じて貰う。アクターはピンク。担当は逢坂東海。以上だ。何か質問はあるか?」 「アタシのアクターさん、男の子なんだ」 「……悪い? 今回の撮影、結構危険なアクションが多いんだ。女性じゃ務まらないよ」 「ふぅん。よろしくね、はるみん」 ニコっと笑いながら彼女が発した言葉に、蓮が思わず噴き出した

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