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疑問 3
おずおずとパソコンの前に立ち、モニターをじっと見つめると、雪之丞が小さく息を吸い、マウスに手を伸ばすのを固唾を飲んで見守る。
カーソルをファイルに合せクリックすれば、合体前のライオンを模したロボットの姿が画面上に映し出される。
「あ……レオ!」
「良かった。ちゃんと動いた」
ホッとする一同の空気の中、雪之丞が物凄い速さでカタカタとキーボードを打ち込んで行く。
モニター上では音楽も何もない状態で、第一話で見たばかりの合体シーンが順番どおりに再現されていく。何を打ち込んでいるのかさっぱりわからないが、時折マウスを操作して、画面上のロボットを意のままに操る雪之丞の姿はいつになく堂々としているようにも見えた。
「……ゆきりん凄……」
「え、ヤバくね? 棗さんカッケェ」
「私、機械音痴なのでよくわかりませんが……多分、これ相当難しいんじゃないですかね?」
美月と東海、そして弓弦の3人が顔を見合わせ感嘆の声を洩らす。その声が聞こえたのかどうかはわからないが、少し恥ずかしそうにしながら、雪之丞がキーボードから手を離し、画面を見つめながら口を開いた。
「凛さん……。合体と合成シーンだけなら、ほぼ使い回しで行けそうです。ただ、他のコマンドはまだ試してないので使えるかは……」
「そうか……」
「それに、音楽と、効果音などのファイルの場所が見当たらないんだけど……何処なんだろう?」
「貴方たち! な、何してるんですか!?」
ホッとしたのも束の間だった。
突然、背後から女性の声がしてみんな一斉に振り返る。
そこには、沢山の資料を抱えた小柄な眼鏡の女性が立っていた。
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