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縮まる距離感 8
その日は結局押し切られる形でナギの家に泊まることになった。
「流石に狭くない?」
「んもう、わかってないなぁ。この窮屈さがいいんじゃん」
狭い浴槽の中、股の間にすっぽりと収まるようにナギが座り込んでくる。背中をこちらに向けているせいで表情は見えないが、楽しげに鼻歌を歌いながら身体を預けてきていて上機嫌な様子が伺える。
(……にしても)
目の前にある項が眩しい。濡れて張り付いた髪の毛先からポタリポタリと滴が落ちていく様は妙に艶めかしくて目の毒だ。しかもシャンプーの良い香りまで漂ってきてなんだか落ち着かない。
そして何より密着した身体が熱い。お湯の熱さのせいもあるが、それだけではない気がする。
何となく居たたまれない気持ちになり、ふいっと視線を逸らすとナギが振り返ってじっと見つめてきた。
視線が絡み合い、思わずドキリとする。
「おにいさんのエッチ。さっきから、俺のお尻に硬いのが当たってるんだけど?」
「……っ!」
指摘されてカッと頬が熱くなるのを感じた。咄嵯に身を引こうとするが、それに気付いたナギがさらに尻を押し付けてきて、ますます体が密着してしまう。
「あはは、もっと硬くなった……。お尻の割れ目、そんなに気持ちがいいの?」
「ちがっ……」
否定しようと口を開くが言葉にならない。
柔らかい双丘が、硬くなり始めたペニスを挟み込むようにして擦り付けられ、ゾクゾクとした快感に襲われる。
「ん……、ねぇこのままお風呂の中でシちゃおっか?」
「なっ!?」
耳元で囁かれた提案にギョッとして、思わず息を呑む。
すると、目の前の肩が震えクスクスと忍び笑いが聞こえてきて、今の言葉はどうやら冗談だったらしいと悟る。
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