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縮まる距離感 7
「あれ? ……図星?」
「……五月蠅い」
何もかも見透かされているようで悔しくて堪らない。せめてもの抵抗で不貞腐れた表情を浮かべると、ナギが口元をにやりと緩ませて目を眇めた。
「へぇ、……そうなんだぁ。ふぅん?」
「なに?」
「別にぃ~? ただ、ちょっと可愛いなって思っただけ。こんなにイケメンで、いいモノ持ってるのに、恋愛に関してはポンコツとかほんっとウケる」
するりと腿を撫でられ、股間にナギの指先が絡む。服越しではあるが、形を確かめるようになぞられると、ヒクリと腰が震えた。
「もしかして、付き合ったことも無いとか言わないよね?」
「……」
「え? マジで?」
「……うるさいな。必要性を感じなかったんだから仕方が無いだろ」
昔から男にも女にもモテていたから、性処理に困ることは無かったし、特定の誰かを本気で好きになったこともなかった。
一人の人間と付き合うという感覚が自分にはいまいち自分にはわからない。
「ほんっと意外。恋愛豊富そうな顔してるのに」
ニヤニヤと口元を歪ませ、揶揄うように声をかけてくるナギに苛立ちを覚え、ムッとしながら反論する。
「特定の相手なんて面倒くさいだけじゃないか。付き合うメリットを感じないよ。後腐れなく出来ればそれでいいじゃないか」
「身も蓋もないなぁ。あ! そうだ……。じゃぁさ、俺と付き合ってみない?」
「はい?」
突然の提案に驚いて思わず声がひっくり返った。一体どういう意味なのか?
と首を傾げると、ナギはにっこりと笑みを深めながら話を続けた。
「俺はお兄さんのこと好きだから、付き合いたいと思ってる。正直コッチの相性も凄くいいし、お兄さんも俺の事は嫌いじゃないでしょ? だったら付き合っちゃおうよ」
「…………」
「それにさぁ、付き合ってもないのに今朝みたいな事されても困るし。このままだとお兄さん、ただの痛い人みたいになっちゃう」
確かにそれは否めない。いや、むしろ既に痛い奴になっているかもしれない。
「俺が付き合う良さってのを教えてあげる。そして、いつか必ず……、お兄さんに俺のことめちゃくちゃ好きだって言わせてみせるから」
そう言って自信満々に笑うナギは、やっぱり天使のように魅力的に見えた。
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