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束の間 10
「そっか……お兄さんもちゃんと好きでいてくれたんだ」
「……ずっとなんだと思ってたんだよ」
「んー、セフレの延長、みたいな?」
「……酷いな。僕は君の事を本気で好きだと思っていたのに」
「だ、だからっ……そうやっていきなりストレートに気持ち伝えないでよ……。なんか……慣れないし……すげぇ恥ずかしいじゃん……」
もじもじと身を捩らせるナギの耳元にそっと顔を寄せ、甘く囁く。
「―――愛している」
「っ……!」
途端にビクッと身体を震わせたナギは顔を赤く染めながら蓮の胸を軽く押し返す。
「そ、それは反則っ……」
「ははっ、可愛いな。顔が赤いよ?」
「っ!……誰のせいだよっ」
「僕のせい?」
クスリと笑いながらそう尋ねれば、ナギは恨めしげな表情でこちらを見上げてきた。
その表情がまた可愛くて、今度は頬にキスを落とす。
「……ん、……っお兄さん擽ったいって」
「……ずっと思ってたんだけどさ……。そろそろ名前で呼んでくれないかな?」
実は前から思っていた。ナギは出会った時からずっと、自分の事をお兄さんと呼ぶ。確かに歳は離れているけれど、付き合っている相手にいつまでも他人行儀な呼び方をされるのはやはり少し寂しい。
「ほら、蓮って言ってみてよ。出来るだろ? 恋人なんだから」
ニヤニヤ笑いながらわざと恋人と強調してやれば、案の定ナギの顔がみるみると朱に染まっていく。
「い、言えるよ……っこ、恋人だもんっ」
「だったら、ほら」
「ち、ちょ、っと待って! 心の準備が……」
そんなに緊張する事だろうか? 見ているとちょっと面白い。
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