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第14話
「とりあえず、お昼ご飯、食べよー?昼前だし」
「ここでいいの?」
「いいの。スイーツも頼むけど」
スイーツ頼む前提か、と笑った。
蓮はハッシュドビーフ、俺はハンバーグセット。
食べ終えたら、蓮はフォンダンショコラ、て奴を頼み、俺も初めて、店でスイーツを頼んだ。
と言っても、有り触れた苺のショートケーキ。
蓮は相変わらず、ハッシュドビーフだけでなく、フォンダンショコラもキャッキャ言いながら写メ撮ってた。
「インスタやってんの?」
「うん!美味しそ!いっただきまーす!」
パク!と大口開けて頬張り、んー!と瞼も閉じ、頬っぺたを抑えてる。
焼肉の時もだったけど、癖なんだろうな、と思いながら、俺もショートケーキをパク。
目を見開いた。
「....んっま」
せいぜい、コンビニのケーキくらいしか食べた事無かったけど、全然違う。
クリーム、滑らかで口ん中で溶けるし、上品な甘さ。スポンジも全く違う。
コンビニのより断然、柔らかい。
「美味し?」
ケーキを口元に運びながら聞いてくる。
「うん。あ、苺はやらねーよ?」
「別にちょうだいなんて言ってないし、要らないもん」
初対面の時はなんだコイツ、てなふてぶてしさだったのに...。
目の前でケーキを食べては逐一、頬っぺを抑える蓮を俺もケーキ食べながら眺めた。
「近くでさ、絵画の展覧会やってるんだけど...孝介、興味無いよね?」
店を出て歩き始めると蓮が切り出した。
「絵画?」
「うん。美術部員なんだよね、僕」
「お前が美術部!?」
じと、と蓮に睨まれた。
「なに。悪い?」
「あ、いや、意外だからさ。いーよ、別に」
「ホント!?良かったー!明後日までなんだよねー!」
ニコニコ嬉しそうに微笑みながら歩く、隣の蓮を見つめた。
俺も自然とその笑顔を見つめ、笑顔になった。
これが女なら確実に手、繋いでんだろうにな...。
展示場に着くと、受付からパンフを貰い、フロアを歩く。
絵画なんて全くわからないし、興味もなかったが...一枚一枚、足を止め、目をキラキラさせ瞬きも忘れ、絵画を見上げる蓮の姿の方に釘付けになっていた。
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