それぞれ、喉を潤し、奈々がニヤニヤしながら蓮を見る。 ｢な、なに、奈々｣ ｢いやー、大地が蓮と連絡取れない、て言ってたけど、なるほどねー、やるじゃん？蓮｣ 蓮が口を尖らせ真っ赤になった。 ｢だっから、違うって！それに...孝介、ノンケだし｣ 周りを気にしたのか途中からは小声。 ｢なーんだ、そっか。じゃ、なんでまたー？｣ ｢もういいじゃん！お腹すいたー！｣ 俺も愛美も壁際だが、愛美がメニューを2つ取り、奈々と俺に手渡した。 焼鳥の盛り合わせ、刺身の盛り合わせ、唐揚げ、だし巻き玉子、アボカドの入ったシーザーサラダ。 食べていて気づいた。 ｢わさび、入れないの？蓮｣ 醤油の入った刺身皿を見ると、わさびが入ってない。 ｢あー、うん。わさび、苦手、僕｣ 子供か、と吹き出しそうになった。 ｢じゃ、二人、友達って感じ？うちの大学じゃ見た事ないし｣ 奈々がシーザーサラダを箸で掴み、尋ねてきた。 ｢そんなとこ｣ パク、と蓮がだし巻き玉子に齧りついた。 不意に、蓮が山のように玉子焼きを作ったのを思い出してしまった。 料理が好きみたいだったな...。 居酒屋も悪くないけど、蓮の料理、食べてみたかったかも、と考えながら、俺もだし巻き玉子を頬張ろうとして、アレ、と固まった。 ....蓮の料理が食べたかった....？ なんでだ？ よくわかんね！と口いっぱいのだし巻き玉子を咀嚼した。 奈々と愛美とは居酒屋の前で別れた。 並んで歩く俺と蓮。 不意に。 ｢....奈々の胸、やたら見てたよね｣ ボソ、と蓮に言われ、咳き込んだ。 ｢そ、そりゃ見るわ。全く隠しもしないし...Gだな、アレは｣ ｢....G、て？｣ ｢Gカップ。胸のサイズだよ。....でもお前の言う通りかもな｣ ｢俺？なに？｣ ｢いや｣ 胸じゃなく中身！て詰め寄って来たあの日。 なに言ってんの？て思ったけど。 奈々と話しても、特別、可愛いとも付き合いたい、とも、ましてや、ヤリたいとも思わなかった。 顔もスタイルも抜群で、タイプな筈だったけど、デカい胸も単なる飾りにしか感じなかった。 ....どうしたんだかな、俺。 ｢じゃ、どうする？帰る？｣ ｢んー...今、何時？｣ ｢えっと、ちょっと待って｣ スマホを取り出し、時間を確認してる。 ｢八時半｣ ｢んー...量販店なら開いてるか｣ ｢量販店？｣ ｢ま、来たらわかる｣ 俺と蓮は夜の繁華街を歩いた。