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蓮side
「はあ、美味かった、腹いっぱい」
「ホント!?良かったあ」
カチャカチャと皿重ねながら笑顔を向けた。
「手伝おうか?」
「や、大丈夫」
「そう?だったら風呂溜めてくるかな」
「う、うん...」
特に躊躇なく浴室に向かった孝介とは裏腹に動揺する僕。
だって...孝介と一緒に住み始めて初めての夜。
略して、初夜。
今まで彼氏もいて、それなりに体験はしていてもやっぱり。
「緊張するなあ...」
が、僕の心配はご無用だった...。
「蓮、先、風呂いいよ」
気を利かせてくれ、孝介は優しくそう示唆し、お風呂は別々。
が、自宅にあったベッドはリサイクルショップで売ったからベッドは一緒...!
とドキドキしながら同じ布団の中。
隣で瞼を閉じる孝介の横顔を眺める...。
....なにも起こらない。
思わず、ケホケホと咳をしてみたら孝介の瞼が開いた。
「どうした?大丈夫か?」
「ん、うーん、なんかちょっと寒いかも...」
ぴと、と孝介にくっついてみた。
「風邪でも引いたかな。ちゃんと体、拭いた?」
「....うん」
「熱計ってみるか?布団、もう一枚出そうか?」
....心配してくれるのは有難いけど。
そうじゃない!そうじゃないのに...!
セックスしない?なんて、孝介にはちょっと、いや、かなり言いづらい...。
ビッチなゲイ、いや、孝介の女性遍歴からしたら女の子もビッチなのに、ゲイの男もビッチかよ、て思われそう...。
「....良くあるし、寝たら良くなってると思うから大丈夫」
明日はデートだし、風邪と思い込まれたら困るもん...。
このまま、セックスレスなまま、な訳はないよね...。
一抹の不安を抱きながら、ついでに自宅にあった抱き枕を抱いて瞼を閉じた。
とりあえず、明日のデート、楽しもう...!
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