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13.
「懐かしいね。妊娠中、不安感を覚えて僕に助けを求めている時を。······また見てみたいけど、もう無理だからね」
残念だ、と手が離れていった。
「もっと······、もっと、触って······」
そうしたら、快楽の地に行けるから。
残念、と碧人の吐き出された愛が溜められた腹部を見つめていた。
「そんなに触って欲しいの?」
「えっ?」
僕、何か言った? というような聞き返しをすると、「心の声だったの」とどこか嬉しそうに言った。
「そう言ってくるのはとても嬉しいけど、待ちくたびれて二人が来ているから、着替えないと」
「······え?」
聞き間違いかと思った。
ところが、碧人の視線の先に目をやると、こちらの様子を伺っているらしい二人の影が障子越しでも分かった。
途端、急に我に返った。
「な、なななん······っ! いつっ! いつ来てたの! どうして言わないの!」
「いいじゃないか。親が仲良くしている姿を見るのはいいことだって聞くし」
「仲がいいって······!」
あんな痴態、子ども達に見せるものじゃない。
こっち来るよう促す碧人に何を勝手なことを、と内心怒りながらも、自分のものだと言わんばかりの体中の愛の証 をひとまず浴衣で隠した。
「ねー! ねー!おなかぐーぐー!」
「はやくあーんしてー!」
「ごめんなさ······いっ!?」
後ろの器具をぐっと押された。
何するの! と目で訴えるが、当の本人は微笑むだけだった。
「「おかーさま?」」
「いえ、なんでもありません。それよりも、お待たせしてごめんなさい。すぐに着替えますから、少しの間廊下に待っててくれますか?」
「はやくね!」
「ぜったい、きがえてね!」
可愛らしくぷりぷりと怒って、二人は一旦部屋の外に出て、揃ってこちらを見つめていた。
あのぐらいの距離であれば、恐らくこれらを見られない。
二人に背を向けて、さっさと着替えようとした時、「忘れ物」と言って、貞操具に手を宛がった直後、尿道に栓を挿入 れ込んだ。
「あ······っ、ん······っ」
栓をされていなかったら、射精 していたかもしれない突然の衝撃に、みっともない声を上げかけた。
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