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天界大戦争の真実(シリアス強め)

ルシファーは天使だった頃、欲しいモノは何だって手に入った。唯、欲しいと願うだけで良かった。だから、神の座だって手に入るものだと思っていた。  そんなのは天界戦争を美化する為の材料に過ぎない。事実なんてもの捻じ曲げられなかった事にされる。  ルシファーが天界戦争を起こそうと決めたきっかけはグザファンの実弟の処刑を見た時だった。実弟が処刑される前に全天使の前に人間界から連れてこられた女と産まれたばかりの赤子が処刑されたのだ。女は最後の最後まで神に 「どうか、どうか娘だけは!!!どうかご慈悲を!!!裁かれるのは私だけにして下さい!!!」  と泣き叫んでいた。天使と人間との恋という禁忌を破り子を産ませてしまった。その罪は確かにあるかもしれない。  だが、殺す理由は何処にある?仮にも人間達は神の子供達ではないのか?あんなにも無残に…。なにも母と父の前で子を切り刻まなくても良かったのでは無いか…?  今でも絶望に堕ちる二人の悲鳴が耳に残っている。  処刑が執行され広場に誰も居なくなった後もルシファーとグザファンはその場から動けなかった。グザファンは大粒の涙を流しながら実弟の亡骸を抱き上げ声を枯らすまで泣き叫んだ。  グザファンに共鳴するかのように天界にも雨が降り始め真っ赤にそまった処刑台を洗い流していった。  あの処刑が執り行われた日、ルシファーは神の元へと向かった。 「神よ!お前だったら……お前だったらあの三人を眠らせる様に処刑出来た筈だろ!!!!  なんでっ…なんであんな惨い殺し方を!!!!!!」 「ルシフェルっ!おやめなさい!!!神にはお考えがっ!!」 「何が考えだ!!!!!!赤子をあんな風に切り刻むのに考えもクソもあるか!!」 『あの赤子は穢れです。天使と人間の間に産まれた子等この世に存在してはいけない。大きくなればきっとこの世界を終わらせる程の恐ろしい者になっていたでしょう。』 「だったら……だったらもっと他に方法があっただろ!!!!!!!」 『あの様な事は二度と起こってはいけないのです。これは皆への警告でもあります。彼等はその為の尊い犠牲なのです。』  それ以来、ルシファーの神へ信仰心は消え代わりに憎悪が大きくなっていった。  処刑が執行されてから天界戦争までにはそう長くは掛からなかった。ルシファーは同胞を集い天界戦争を勃発させたのだ。  天界は戦火に飲まれ天界はルシファーの手中に納まるかと思われていたが結果はルシファー達反逆者の敗北だった。 「俺以外の奴等は俺に洗脳されてただけだ。処刑するなら俺だけを処刑しろ。  アンタお得意の切り刻んで殺すなり、生きたまま魔獣に食わせるなり好きにしろ…。戦争を始めた段階で死ぬ覚悟は出来ている。」  神は一筋の涙を流しながらルシファー達反逆者に地獄への追放を命じ、ルシファーには地獄の統率を命じた。そうしてルシファー達は地獄へと送られる事になり今に至るのだ。 「その顔…。昔の事を思い出してんのか?」 「………あぁ。」 「……もう忘れろ。あそこには二度と戻らないんだ。」 「そうだな。……あの二人は?」 「あぁ、適当な部屋をあてがったよ。今は天界に戻ってる。」  ルシファーは苦虫を噛み潰した様な顔をしたままゆっくりと立ち上がるとゆらゆらと部屋を後にした。グザファンはそんなルシファーの背中を唯黙って見送った。

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