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第198話
「それで、体調はどう? 熱があるのに外出してたの? 寝てなきゃダメじゃん」
コート姿の朝霧を夏川が軽く睨む。
「それは」
朝霧はどうやって色々バレずに、夏川に帰ってもらうか必死に考えを巡らした。
「何? もしかして俺に言えないことでもあった? 」
うろうろと視線をさ迷わせる朝霧の頬を夏川がさらりと撫でる。
朝霧はそんな場合じゃないのに、胸がきゅうとなり、その途端、股間に走った痛みに顔を顰めた。
股間に手をあて、うずくまる朝霧の背中を慌てて夏川が撫でる。
「帝、どこか痛いの? どこ? すぐに病院に連れてくから。保険証持ってる? 」
朝霧は首を振った。
「違う。病気とかじゃないから」
「でも、顔色が悪いよ。脂汗も浮かんでいるし」
未だに股間を押さえている朝霧を見た夏川が、目を見開く。
「もしかしてここが痛いの? 」
朝霧の股間を夏川がするりと撫でる。
その途端、痛みから朝霧は歯を食いしばった。
夏川の表情が変わる。
「見せて」
「リョウ」
「恥ずかしがらなくていい。もし性器が腫れたりしているなら、ちゃんと病院に行って治療しないと」
抵抗する朝霧を押さえつけ、夏川がズボンを脱がせる。
その瞬間、夏川は唖然とした。
「何これ? 」
朝霧の股間に夏川の目が釘付けになる。
朝霧は答えることができず、真っ赤な顔で俯いた。
朝霧はいつもの下着の代わりに、ビニール製の黒い下着を履いていた。
素材もいつもの綿とは違うが、その下着は普通ではあり得ない見た目をしていた。
ピッタリときついくらいのサイズの下着で、股間には筒状に垂れ下がっている部分がある。
そこに性器を収めるのだと、音羽から朝霧は指示されていた。
前面のみ覆われていて、背面は尻を隠すものが一切なかった。腰と太ももの部分だけ、親指くらいの太さの生地で覆われている。
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