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第8話 誕生日とはじめての…(4)★

「こうして、爪立てたり?」 「っ……ん、は」  爪を立てて引っ掻かかれ、諒太は吐息をこぼしながらコクコク頷く。  もっとほしい、と言わんばかりに胸を押し付けると、橘は力を込めて先端へと爪を立ててきた。 「んん……ッ」  痛みが快感となって走り抜け、思わず背中が仰け反ってしまう。  そこは橘の愛撫を悦んで受け入れていた。指先で押し潰されそうなくらいに摘ままれ、限界まで引っ張られ――そうしていじられているうちに、乳頭は頭をもたげるどころか、赤く充血して腫れあがっていく。 「諒太さんの乳首、ぷっくりしててやらしい。男でもこんなふうになるんすね」 「だって、こんな触り方……されたらっ」 「へえ、俺のせいでこうなったんだ? じゃあここも?」  橘が嬉しそうに目を細め、下着の上から股間をまさぐってくる。すでに勃起しているそれを布越しに揉まれ、諒太の腰がピクッと跳ねた。 「あ、っ……ん」 「パンツ、汚れちゃいますね。脱がせていいすか?」 「う、うん……」  下着の中はすっかり窮屈になっており、先走りで染みまで出来ていた。  そのことを気恥ずかしく思いつつも腰を浮かすと、橘が丁寧な手つきで下着を脱がせてくれる。  勢いよく飛び出した屹立は濡れそぼっており、はちきれんばかりだった。 「もう我慢汁でとろっとろ――乳首、感じやすいんですね」 「っ……」  指摘され、さらに顔が熱くなる。  以前ならそういった《言葉責め》の類だって、単なるプレイの一種に過ぎなかった。が、橘の低い声色でいやらしい言葉をかけられると、妙にゾクゾクとしてしまう。 「……諒太さんのチンコ、何もしてないのにピクって震えた。『早く触ってほしい』って言ってるみたい」  そのとおりだったから、余計に居たたまれない気持ちになる。橘はそんなこちらの様子をつぶさに観察しており、楽しんでいるようだった。  やはり調子が狂うというか、完全に主導権を握られてしまっている。経験がないとはいえ、彼のことを少し侮っていたかもしれない。 「き、君って意外とスケベだったんだな」 「諒太さんほどじゃないっすよ」  そんなやり取りを交えながらも、橘の手が竿を優しく握り込み、指先で亀頭を弄んでくる。  そのまま扱かれるのかと思いきや、橘は胸元へと顔を寄せてきて、色っぽく笑みを浮かべた。まさか、と思ったのも束の間、 「これ、うまそうなんで食べさせてください」  そう言って、赤く熟れた乳首を口に含んでくる。舌で転がされながら甘噛みされ、諒太の下腹部がヒクンッとわなないた。  橘は貪らんばかりの勢いで、“食べる”というのは比喩ではなく、本当に食べられているような気分になってしまう。 「……おいし」 「っ、乳首ばっか、そんなっ」 「ん? ああ、こっち忘れてました」 「う、あっ――」  同時に陰茎を扱かれれば堪ったものではない。あっという間に射精感が高まっていき、早くも達してしまいそうになる。  さすがに早漏にもほどがあると必死に抑え込むのだが、橘はその反応の違いを察したのだろう。あろうことか、きつく歯を立てて乳首に噛みついてくるのだった。 「ひっ、んん……ッ!」  限界だったそこは、突然の強い刺激にあっけなく熱を放ってしまう。  乳首でイかされるなんて、初めてのことだった――諒太は体を震わせて悶絶し、荒い呼吸を繰り返す。すべて出し切ったあとも絶頂感が続いているかのようで、ひたすらに頭がぼんやりとしていた。 「ごめんなさい、ちょっと強く噛み過ぎたかも。歯形が……」  橘が申し訳なさそうに眉尻を下げ、体液にまみれた諒太の体を拭いてくる。  純粋にこちらを労るような手つきだったが、諒太はというと、まだ興奮冷めやらぬ状態だった。  一度果てたというのに、自身は萎えるどころか、肌を触られて再び勃起している。  まだまだ足りない。もっとほしい。情欲を感じれば感じるほど、体が疼いて仕方がなかった。 「そんなのいいからあっ」 「え?」  辛抱ならなくなって声をかけた諒太は、「おいで」でもするかのように両腕を伸ばした。 「後ろ、なんか切ない……っ」  続けざまに言えば、橘は目を丸くさせる。  諒太はじれったくなり、呆けている様子の彼を胸元へと抱き寄せた。そして耳元に唇を寄せて、吐息を吹きかけるようにして囁く。 「大地の童貞、はやく俺にちょうだい?」  口にした瞬間、ビクッと橘の肩が跳ねた。

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