9 / 12
本当は? 2
結局、それから放課後まで。
静流はいつも通り俺に話しかけてきて、笑顔を振り撒いていた。
ただ、距離感だけはどこか一歩おいた感じになり、ベタベタ触れてくることは一度たりともない。
別にそれはセフレ関係になる前までは普通ではあったし、これが正しい友達の距離なのだろう。
そうは思っても気持ちはどんどん沈んでいった。
友達に戻る、それは距離ごと戻る、ということだったのか……。
指の上でシャーペンを弄びながら、ぼんやりと教師の声を右の耳から左の耳へ聞き流す。
度々こぼれてしまうため息は、午前中のものとは少しだけ違った。
――もし。
もし静流に友達もやめようと言われたらどうしたらいいのか。
そもそも、静流が好きだと知った上で、俺は静流と友達でいることが出来るのか。
そんな思考が頭の中にあふれて、その思考を追い出すようにため息がこぼれてしまうのだ。
あぁ、放課後なんて、こなきゃいいのに。
ともだちにシェアしよう!