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第1話

その村には、とある儀式があった。 村一番の美少年を神に捧げるというものだ。 今年、この村では相次ぐ台風の影響で、家々が大きく破損し、畑も荒れるなど、多大なる被害を被っていた。 風習めいたこの村では、災害は神の怒りだと信じられていた。 そういった災害に見舞われた際、神の怒りを鎮めるためにこの儀式を行うのだ。 捧げ者となる少年が神と一体となることで、この儀式は完成される。 祭り当日、少年は着物を着て、数人の男達に連れられて祭壇へやってきた。 周りには大勢の村人がいる。 少年は10代半ばくらいの年齢で、整った中性的な顔立ちをしている。 彼は、緊張した面持ちで祭壇に上がる。 周りの男達は離れ、少年一人だけが取り残される。 少年は震える声で儀式の開始となる言葉を述べる。 「神よ、この身を捧げます」 すると祭壇の奥の方からウォォォという低い声が聞こえ、次に触手のようなものがズァッと少年に巻き付いた。 「やっ、なに!?やぁぁっ」 少年は突然の事に動揺し、暴れた。 「落ち着け!これが神の手だ。この手の中で君は神のものとなるのだ」

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