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五十四 素直に

「あっ、あ、あ! んぁ、んっ……!」  突き上げられる度に甘い声を漏らして、岩崎が腰を捻る。淫靡な動きに鮎川は喉をならし、腰を突き上げて何度も岩崎を貫く。  ずぷ、ずぷと、挿入する度に音が響いた。バイブを挿入するのにローションを使ったせいだった。 「岩崎、気持ち、良い?」  息を荒らげながら、鮎川が問いかける。小さく喘ぎながら、岩崎は頷いた。 「気持ち、イ……。ナカ、擦られんのっ……」  鮎川は喉を鳴らし、手を胸に這わせる。 「じゃあ、こっちは……?」 「んぁ!」  乳首をきゅんっと摘ままれ、ビクッと身体が跳ねる。クニクニと摘まんだり押したりしていると、刺激にツンっと尖端が尖った。 「あっ、あ……んっ」 「こっちは……?」  岩崎がうっすらと瞳を開き、鮎川を見る。熱っぽい視線に、鮎川はドキリとした。 「んっ……ヘン、な感じ、する……。ムズムズして、気持ちい、気……する」 「……」  返答に、鮎川は唇を結んだ。 「今日は、素直だな……」 「……あ、ん……。二人しか、いねーから、かも……。恥ずかしい、けど……」  顔を腕で覆って、岩崎はそう呟いた。腕でかくした向こうから、こちらを見ているのが、可愛いと思う。 「確かに……いつもと違う顔、見られるな……」 「あっ、ん! ソコ……っ!」 「ここ、良い?」 「んっ、あ! あぁっ!」  グリグリと一点を刺激してやると、背中を反らせて岩崎が悶えた。黒い革のベルトが、ギチギチと音を立てて肌に食い込む。 「岩崎…っ、岩崎……っ」  名前を呼びながら、突き上げる速度を早くする。快感に仰け反る首に、何度も吸い付き噛みついた。 「あ、あっ――あああぁ!」  ビクッ、ビクン! 身体を大きく跳ねらせ、白濁を腹に撒き散らす。同時に、鮎川も岩崎の奥へと精液を注いだ。  腹の中に射精され、ひくひくと腸壁が震える。 「あ――……」  岩崎は鮎川の首に腕を回し、キスをねだった。 「鮎川……ん」 「ん、はっ……、岩崎……」  鮎川の手がピンク色の髪を撫でる。慈しむような手付きに、岩崎目蓋を閉じた。 「……鮎川ぁ、足りねえよ」  足を絡めて甘えた声を出す岩崎に、鮎川の肩がビクンと揺れる。  岩崎は鮎川の中心に手を伸ばし、手で擦り始めた。 「あっ、ちょ、岩……っ」 「ん……。ちゃんと、反応する……」  ぐちぐちと粘液に濡れた性器を擦ると、徐々に硬度を増していく。鮎川がくぐもった声とともに息を吐き出した。 「っ……、そんなに、欲しいのか?」 「ん……」  鮎川の手が胸の突起を摘まむ。両乳首を弄くられ、ビクッと身体を震わせた。 「あ、んぁ……っ」 「エッチな服着て、バイブまで嵌めて……。あの鞄に、入れてきたの?」 「っ、ん、そう、だけどっ……あ、あっ……!」  ビクビクと身体を震わせる岩崎に、鮎川は指を離して、すぐそばに置かれていた鞄に手を伸ばす。 「あ……」 「他に何か持ってきたの? まだ入ってるっぽいけど」 「っ、待て、何も……」  赤い顔で岩崎が止めるのを無視して、中を覗く。岩崎は慌てて性器から手を離し、鮎川の手を掴んだ。 「――これ」 「ちがう、から」 「違わないじゃん……これ、使って欲しいんだろ?」 「っ、ちがくて……」  鮎川が鞄からブジーを取り出す。前に挿入したものより、少し太くて長い。節があるブジーだ。 「……前に挿入れたのより凶悪じゃん……。ニップルバイブもあるし、他にも――……」 「っ、鮎川がっ、勃たなかったら……って」  死んでも勃たせるつもりで持ってきたのだと、顔を赤くして視線を背ける。目の前にブジーを突きつけられ、岩崎は首を振った。 「んっ」 「僕はお前が嫌がる顔、好きだけどさ……もう嫌がること、しないって決めたから。岩崎が嫌なら、二度としない」 「――」  岩崎が驚いた顔で鮎川を見た。 「二度、と?」 「うん。二度としない」  岩崎はその言葉に、ぎゅっと唇を噛んで鮎川を見た。 「っ、意地悪、してる……?」 「逆だろ。マジで言ってんの」  岩崎の反応に、鮎川は心臓がざわついた。本気で、岩崎が嫌なら、二度と使わない気だった。だが、この反応は。 「っ、……れて、よ」 「ん?」 「挿入れて、鮎川……っ…。アンタがするのは、全部、好きだから……っ」 「――良いの?」  ぞくり、背筋が粟立つ。全てを受け入れようとする岩崎に、言い知れない背徳感が込み上げる。 「俺は、アンタに虐められんの、好きだから……。いっぱい、虐めてよ」 「――っ、お前……。他のヤツに、言うなよ」 「ん、言うわけ、ない……っ」  革のショートパンツのファスナーを開いて、勃ち上がった性器をやんわりと握る。鮎川は岩崎の先端にブジーの先をあてがった。 「入れる、ぞ」 「う、んっ……」  金属の棒が、ゆっくりと肉棒に埋まっていく。狭い穴を押し広げて、蓋をするように中へと入っていく。 「あ、あ――……」  ゾクゾクと身体を震わせる岩崎の顔は、快楽に染まっていた。  中ほどまで入った棒を、抜いたり入れたりしてやると、岩崎は腰を捻って快感を示す。 「んぁ、ん! はっ……、あ、んぃっ!」  狭い穴をじゅぷじゅぷと弄くられ、快感に喘ぐ。敏感な部分を抉られて、岩崎は眦涙を浮かべてビクビクと腰を揺らした。 「――っ……、はぁ……。岩崎、こっちも欲しい?」  指先でアナルを撫でられ、ビクンと肩が揺れる。 「っ……あ、欲し、い……」  切ない声音でねだられ、鮎川はゴクリと喉をならすと、ブジーから手を離した。ブジーはまだ、尿道に深く突き刺さっている。 「脚、開いて……よく、見せて」  囁きに、岩崎は顔を赤くした。おずおずと、脚を左右に開く。先ほど鮎川を受け入れていたばかりの穴から、僅かに精液が溢れていた。  鮎川はぐっと先端をアナルに押し付けると、一気に奥まで貫く。ブジーが刺さったままの性器が、衝撃にプルンと岩崎の腹に当たった。 「あっ!」 「岩崎、口、開いて」  繋がったまま、舌を貪る。角度を変えて、何度も、何度も唇を重ねた。  汗と精液にまみれて、どろどろになる。二人とも、境目が解らないほどにくっつきあって、肌を重ねた。 「鮎、川……、鮎川っ……」 「――岩崎……っ」  互いに名前を呼びあって、二人は指を絡めあった。二度と、離れられない気がして、岩崎は笑みを浮かべた。

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