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第15話 R18

 いつもより少し乱暴に寝室のドアを開けベッドの側まで俺を連れて来ると、背中を向けていた家村が俺を振り返る。その表情は、もう我慢しなくて良いのだと言っているかのように欲情が強く出ていて、興奮しているのか少し息が上がっていて……。  そんな雄の顔を目のあたりにし、掴まれている手からゾゾゾと寒気にも似た快感が走りブワリと鳥肌が立つ感覚。 「Switch」  掠れた低い声で囁かれた途端、今までに無いほど脳が蕩けてしまうような切り替わり方に、俺はハクッと空気を食む。  ……………ッ、ヤバイかも知れないな……。と思った瞬間に 「Kneel」  『お座り』のコマンドに、俺は腰が砕けたようにガクンッと下へと落ちる。  手首は持たれた状態だった為、片手を上げた姿勢で家村の足元に跪いた俺を見て 「Goodboy」  と俺を褒める言葉が聞こえただで、俺は背中を捩らせ全身に纏う快感にブルブルと震えた。 「ン゛ッ……ㇰゥ……」  過度な快感を逃そうと呼吸を早く浅く繰り返している俺に、家村はベッドへ腰を下ろすと 「Look」  次に『見ろ』と俺にコマンドを発し、家村は頬へと指先を滑らせスリリと小さく撫でる。俺は一度くすぐったさに目を閉じたが、顎を上げ奴の目を真っ直ぐに捉えれば 「ハッ……、なんて顔してんの……」  と、欲情を隠そうと笑って呟くが失敗し眉根を寄せた表情を見て、その顔をさせているのが自分だと理解すれば、ギュウッと胸が締め付けられる。嬉しそうに言う家村に今自分がどんな顔をしているなんて考える余裕すらない。  褒める代りにスリスリと指先で頬を撫でられ、俺は無意識にその指へと自分から頬を押し付け返せば、奴が息を呑むのが解り一瞬閉じていた目を見開いて視線を上げる。顔まで辿るようにユックリと目を移動していると、ベッドへ座った家村の中心が既に勃ち上がっているのに気付く。  そこで視線を固めていると、俺の顔を見詰めていた家村がソッと隠すように空いたもう片方の手を中心に伸ばし 「こ……れは、その……」  気不味そうに口の中でモゴモゴと言葉を紡ぐ姿が、いつもより年相応に見え俺はクスリと笑ってしまう。そうして奴の両膝に手を置き、上半身をクンッと伸ばしコマンドを言われるよりも先に、俺から家村へキスをする。  奴がいつも俺にキスするように、最初は優しく押し付け下唇を食み、そうして伺うようにチロリと舌を唇の間に差し込んで歯列を割くように舌を動かす。家村は自分のやり方を真似ている俺の仕方に興奮したのか手首を掴んでいる手を離し、後頭部へと移動させるとグッと力を込めて逃さないようにしてから、キスに応えるように舌を伸ばしてきた。  クチュ、クチュと厭らしい水音に荒い吐息が部屋中に響く。 「ハァッ……、ン、ン……」  口の中で互いの舌を絡め、唇を離して舌先だけでチロチロと愛撫した後再び深くキスすると、家村の舌が上顎を刺激してくるので膝の上に乗せていた俺の腕は気持ち良さに力が入らず小刻みに震え始める。頭の芯が快感にボゥッとしてきた頃、家村の唇が名残惜しそうに離れて 「Strip」  『脱げ』とコマンドしながら奴の手が俺の服へと伸びて脱がせようとする。その性急な動作に煽られ、俺も我慢出来ず少し乱暴に自分の服を体から離していく。ボクサーパンツだけになった俺を見て、家村も荒い息を吐きながら自分の衣類を脱ごうとするので、俺も奴のパンツに手をあてボタンとジッパーを外していくと、窮屈そうにボクサーに収まっている奴の怒張が顕になってゴクリと喉が鳴った。 「いい子だね、ありがとう」  自分の服を脱いだ事と、奴の服を脱がすのを手伝った事で貰えた褒め言葉に、パンツの上から頬を押し付けると目の前にある家村の勃ち上がったモノがビクッと揺れる。俺は無意識にモノへと鼻先を擦り寄せて匂いを嗅ぐとボクサーの上から舌を伸ばして上下に舐め上げる。 「……ッ!」  まさか俺がそんな事をするとは思っていなかったのか、家村は息を呑むと俺の頭に手を置きスリスリと撫でながら 「Lick」  興奮に掠れた声で『舐めろ』と言われ、布越しでは無く直接そうしろと理解しボクサーとパンツを一緒くたに掴みずり下げようと一瞬家村に視線を向ける。奴は俺がどうして欲しいのか言わなくても解っていて、腰を上げて下げやすいようにしてくれる。  ブルンッと勢い良く飛び出したモノは、既に先走りで滑ついていて、俺は一度先端に唇を押し付けヂュッと音を立てて吸い付き、舌に唾液を絡めて見せ付けるように亀頭を愛撫する。 「………ッㇰ」  重点的に亀頭を愛撫しながら竿へと指先を絡め上下に扱き上げると、堪らずといった感じで奴が吐息を漏らし俺の頭を撫でていた手に力が入って少し押されれば、そのタイミングで俺は口を開いて奴のモノを深く迎え入れると亀頭に舌を絡めながら唇で竿の半分位まで扱く。  何度か竿を扱き、今度は亀頭部分に唇を滑らせ先程よりも唇に力を込め、鈴口を舌で舐めねぶりながら顔を上下に振る。 「……ハッ……気持ち、良いよ……」  濡れたその声に視線を上げると、奴は少し上半身を屈めて俺を見ている。その欲にまみれ獰猛な目とバチリと視線が絡みゾクゾクと突き上げるように快感が登ってモジッと床に着けている尻を揺らせば 「ン、堪んない? 奥まで……」  と、もう片方の手が俺の頬から喉に伸びてスリリと指の背で喉を撫で付ける。俺は一度口からモノを出して息を整えると、今度は喉奥まで咥えるよう口を大きく開きユックリと奴のモノを口腔内へと迎え入れる。奴の切っ先が喉ちんこにコツンとあたりグゥッと空気が迫り上がってくる苦しさに耐えると喉が収縮してキュウッとモノを締め付ける。だが、締め付ければ先程よりも強い嘔吐感が襲って、俺はズルリと喉奥からモノを引き抜き先端を舌で愛撫出来るところまで戻す。 「ン゛ッェ゛……ッ、グギュ……」  嘔吐そうになる度、生理的に溢れてくる涙や鼻水を拭う事もせず溢れた唾液を潤滑油代りに何度も喉奥で家村のモノを扱くと、限界が近いのか喉で締める度にビクビクとモノが跳ねて質量が増す。その度に俺の喉から独特の音が聞こえる。  苦しいと気持ち良いが同時に自分の中に混在していて、けれどこれをやり切れば奴が褒めてくれるから……。と、夢中でしゃぶっていると先程よりもより上体を倒した家村の両手の指先が器用に俺の邪魔をしないように伸びてきて、ピンと立ち上がった両乳首にあたったかと思うと指先で弾くように遊び始める。 「ン゛ン゛ッ……ングゥ……アッ、止め゛……」  咥えていた屹立を離し止めるように訴えるが、見上げた奴の表情は楽しそうに口角が持ち上がっていて 「ン~? そんな顔してやめて欲しいとか、冗談だよな? ホラ、気持ち良いって……」  含み笑いで言いながら倒した上体で首を伸ばして俺の頭にチュッとキスを落とすと 「Gasping」  『喘げ』のコマンドに、ビリビリと体中に電流が走る。  ……クソッ、今まで……こんな、事……ッ。  何度も家村とプレイをしてきたが、触れられる事やコマンドにこんなにも敏感になった事は無かった。なのに……。  俺は自分の変化に戸惑いながらも、コマンドされて素直にそれに応える。もう一度奴のモノを喉奥まで咥えて首を振りながら、奴が俺の乳首を爪で搔いたり、潰したり、抓る度に鼻から甘い矯声が漏れてしまう。 「フ……ン゛ン゛ッ……ングッ、……」 「上手に出来てるね……」 「ン゛、ン゛……♡」  耳元で家村に褒められ、嬉しさに喉が震えて無意識に絞り上げるように喉が閉じると 「………ッ、クゥッ」  家村の腹が力を込めるようにブルリと震えた直後、乳首を弄っていた指先に力が入ってギュウッと抓り上げた瞬間、ビュルルッ、と奴のモノから勢い良く白濁が俺の喉へと注ぎ込まれる。  同時に俺も腰を揺らしてボクサーの中で果ててしまった……。  嚥下するしか出来ない白濁に、喉を鳴らして飲み込んでいるとそれもまた奴のモノを締め付ける刺激になっているのか、ユルユルと最後まで出し切るように家村の腰が動く。 「……ちゃんと飲めたか、見せて?」  ハァッ。と一度溜め息を吐き出し、再び俺の耳元で囁く奴の台詞に俺はズルリと口からモノを出し、大きく口を開いたまま家村に見せると 「ン、ちゃんと飲めて偉いな」  と、乳首から両手を離して頭に移動させると、奴にワシャワシャと髪を揉みくちゃにされる。たったそれだけの事なのに、俺の中に広がった多幸感は凄まじく、俺はむずがるように背中をくねらせ額を家村の太腿にくっつける。  ヤバイ……、コイツから与えられるモノ全てが気持ち良い……。  太腿に額をくっつけて熱い息を吐き出し快感を逃がそうとするが、次々に湧き上がってくる気持ち良さにどうする事も出来ない。 「ホラ、Look」  『見ろ』とコマンドが落ちてきて、これに応えればまた褒められる……。そうなれば俺は……。  次の快感が想像できてゾクゾクと背筋を震わせながら俺は額を太腿から離し、奴の顔を見上げると 「ハッ……、可愛い顔になってる……」  嬉しそうに呟く家村の目の奥に、獰猛さがチラチラと透けて見える。優しく俺に接しながらも酷くしたいと本能が言っていて、達してしまった俺のモノはそれに反応するようにピクリと芯を持ってしまい……。 「言う事聞けて偉いな。今度はこっちおいで? Come」  言いながら家村は両手を広げて俺を呼ぶ。俺はその動作にフラリと立ち上がり奴の太腿を跨いでベッドへと上がると、膝立ちになり家村と向かい合う体勢になった。 「そうそう、いい子だね」  ニコリと俺に笑いかけながら、奴は脱ぎ捨てた自分の服を手に取りイラマチオでグチャグチャになった俺の顔を綺麗に拭うと、項に手をかけグイッと自分の方へ引き寄せてキスをしてくれる。そうして 「全部、貰って良いんだよね?」  と、最後の確認を俺に聞いてくる。  俺は奴の目を見詰めながらコクコクと小さく頷けば、優しい笑みを向けて再度俺の唇を奪う。  キスを交わしながら合間に「Hug」と囁かれ、俺は家村に抱きつくと項にある指先がヨシヨシと上下に揺れて、嬉しさに奴の舌を軽く吸ってしまう。 「舌……出して……」  顔を後ろに引いて俺の唇から舌を抜き、家村が楽しそうに呟く。俺は奴の言う通りにオズオズと口から舌を出せば、奴もまたユックリと舌を出しながら俺に近付いて……。舌先が合わさるとチロチロと俺の舌先を愛撫する家村に合わせ、俺もまた舌を動かす。レルレルと互いのを絡ませ、唇を合わせて深く口付けしてまた舌先を遊ばせていれば、もう片方の奴の手が俺の太腿からスススと上へ滑りボクサーの中へと差し込まれる。そうしてそのまま尻へと移動して臀部を揉みしだかれ徐々に指先が中心の孔へと近付く。  ニチャ……ッ。  孔の襞へ指先が触れれば、先程達してしまった精液がモノを辿って孔まで伝っており 「俺の咥えてイッたの?」  キスを止め離れた唇からツッと糸を引き家村に尋ねられ、俺は恥ずかしさに目を泳がす。それが肯定と解った家村は広角を上げて 「気持ち良かった? Say」  と、意地悪く聞いてくる。コマンドで『言え』と命令されてしまえば、俺に選択肢は無いワケで……。 「………ッ、ち…………かった……」 「ン? 聞こえないよ」 「~~~ッ、気持ち、良かったッ」 「ハハッ、ちゃんと言えて偉いね」  と、言い終わらないうちに濡れた襞をスリスリと撫でていた指がグチュリと内壁へと侵入してくる。 「ア゛ッ……、~~~♡ ハァ、ァ゛……」  意外にもすんなりと中へと入ってきた指は、キツさを確かめるように蠢くと次いではすぐに二本目が挿入される。 「ア、アッ……、ンゥッ……持ち、良い……ッ」 「ン? 気持ち良い?」 「良い……♡ 気持、ち……良いッ」 「Goodboy」  GaspingやSayのコマンドで、俺は素直に喘ぐしかなくなる。それでも家村は俺の反応を注意深く見ているのだろう。その証拠に中で蠢く指は、久し振りに受け止める俺の事を想って、優しいほど丁寧な愛撫だ。  俺の方が焦れて乱暴に自分で腰を振ってしまいそうになるほどに……。 「……ッ、こうされたかった? 久し振りなのに、柔らかいね……」 「言う………ッな、ァ……」  快感を煽るような言葉にフルッと緩く首を振る。奴は俺の態度にクスリと笑って内壁に入れた指で探っていた前立腺を見付けると、指先で上に掻くようにコリュ、コリュッと動かす。 「ァ゛ッ! ア~~……♡♡♡ ゃだッ」 「嫌? 何が嫌?」  潤滑油代りの自分の精液を塗り付けるようにしていた指が、徐々に動きを早くして強く押し付けるように愛撫してくる。俺は過度な快感に呑み込まれる事が怖くて、ギュッと奴の肩に縋るように手を伸ばして掴むと 「き……持ち゛ッ、良いから……怖い゛ッ」  素直な気持ちを吐露すれば、良い子だと言わんばかりに前立腺を押していた指がソコをギュッと摘んで左右に振動するような動きに変わり、俺は喉を仰け反らせて舌を突き出す。 「~~~~~♡♡♡ カハッ……ァぅん゛ッ」  快感に耐えられず家村の頭を抱きかかえるようになった俺に、奴は近付いて目の前にきた乳首に舌を這わせる。 「ヒ、ィ゛ッ……♡♡ 止めッ……ア、ァ゛ッ……」  這わせた舌を先端をすぼめて細くし、先程愛撫されて赤く熟れた乳首をピンピンと舌先で舐めねぶってくる。かと思えば口に含んで吸い上げるとチュバッと下品な音を立て離し、次いではもう一度含んで前歯で甘噛みすると、先端を舌で転がす。そうしていても内壁に入っている指はずっと前立腺を執拗に愛撫していて……。 「あ゛、ァ……、ックる゛ッ♡♡ ……キち゛ゃ……ッ♡♡♡」  大きい波に飲まれそうになり少しの恐怖に奥歯がカチカチと鳴ると、項に回っていた奴の手が俺の口に入り舌を挟んで扱く。それだけの事でも気持ち良さはプラスされ、内壁はキュンキュンと痙攣しだしそれに合わせて臀部が上へと持ち上がる。  もうッ……♡ もう、駄目だ……ッ♡♡♡  家村の指を内壁がギュウッと絞った瞬間、俺の状態を見極めていた家村がチュルリと乳首から唇を離し 「Cum」  『イケ』と言われた途端、下から上へと突き抜ける波にガクガクと全身を震わせて、俺は中でイッてしまう。 「あ゛、ア゛ァ~~~♡♡♡」  キツイ波が引いて余韻にビクビクとしながら、力が入っていた体から徐々に固さが抜けると、俺はクタリと家村に体重をかける。 「上手にイケたね」  言いながら頭にチュッとキスされ内壁からユックリと指を抜かれる。そうしてそのまま後ろにズルズルと尻をずらして移動した奴は、俺を横に押し倒しベッドの上へと着地させた。 「ア~……、もしかしてサブスペース入ってる? ………イイ顔してる……」  俺の顔を上から見詰め嬉しそうにそう呟く奴に、どんな顔だよ。と心の中で突っ込みを入れながらも、イッた余韻で瞼が重く息も荒い。力の入らない俺の体から家村は器用にボクサーを脚から外し、ベッド横のチェストへと手を伸ばす。  中にはジェルとゴムが入っていて、案の定それらを取り出した奴は、ジェルの蓋をパコッと開け自分の手の平ヘ落とすと何度かにぎにぎと握り温めた後、再び俺の孔へとジェルを塗り付けるようにする。 「フゥ……ンッ、……ァッ、ァ……」  中でイッた余韻で敏感になっているのに、ジュポ、ジュポッと厭らしい水音と共に広げるように指を三本に増やして内壁を愛撫され、俺は堪らず背中を捩る。  それが合図になったように指が抜き取られると、俺の痴態を見て再度張り詰めた怒張が中途半端にずらしたせいで窮屈そうにパンツの中に収まっていたが、家村は再度下着ごとずり下ろして傍らにあるゴムを手にすると、パッケージを破ってクルクルと素早くゴムを装着する。そうしてジェルを自身の怒張へ流すと、俺に見せ付けるみたいに濡れた片手で掴んで扱く。 「イイ?」 「………ッ聞く……なよ……ッ」  こんなにも俺の体はお前を受け入れる準備ができているというのに……。そこで最後に確認を取ってくるのは卑怯だろ? と微かに眉間を寄せれば、フゥ。と小さく溜め息を吐き出した奴が俺の頬に自分の頬を擦り付けながら 「入れるね?」  呟いて俺の唇に軽くキスを落とすと家村は名残惜しそうに上体を起こす。  ヌルヌルとぬるついた先端を孔へと擦り付け、先端が襞を押し上げるようにユックリと俺の中へと入ってくる。 「ア……ッ、ハァッ……♡」  張り出したカリ首が入口を通り過ぎれば、幾分かスムーズに奴のモノは俺の中へと呑み込まれていく。と、先程まで指で押し潰されていた前立腺にカリが引っ掛かりあたった瞬間、ビリビリと重い刺激が走りそれは背筋を伝って脳まで響く。 「~~~ッ♡♡♡ ア゛ッ、ハァ……♡」 「気持ち良いトコ、あたった?」  尋ねられ、強い刺激にコクコクと首を上下に振る事しか出来ない俺は、強烈な快感を逃がそうと咄嗟に枕の端を掴んで荒く吐息を吐き出す。 「Sayって、コマンドしたよな?」  少し声のトーンを落として言った家村に、言う事が聞けなかった事で不機嫌にしてしまったと思った俺は、快感に閉じていた目を開くと、目正面に獰猛な雄の顔を目の辺りにしてゾゾゾッと寒気にも似た悦楽を拾ってしまい、腹の奥がゾワリと収縮する。そうしてハクハクと何度か唇を動かし空気を噛んだ後 「………ッすって……、中、擦って……♡♡ 気持ち、良ぐ……して……♡」  言い終わった直後に引っ掛かった切っ先がドチュンッと奥まで刺さり、俺はヒュッと息を吸い込む。 「ア♡ ぎもぢ、良い゛ッ……♡♡ ~~~♡♡♡ 中、……気持ぢ、良い゛よぉッ」 「………ックソ、可愛い過ぎだろ……」  張り出したカリが、家村が腰を振る度に前立腺に引っ掛かり押し付けられ俺は矯声を止める事が出来なくなる。 「フ、ウぅ゛~~ッ、イイ゛ッ……♡ 怖い゛ッ……、~~~♡♡♡」  与えられた事の無い中での快感は、強過ぎて恐怖をも感じてしまう。それにプラスして家村から与えられるプレイの多幸感にサブスペースに入っている俺は、経験した事の無い感覚に涙が溢れる。けれど決して『Red』では無い。 「良い子だ……ホラ俺に掴まって」  家村は初めての過度な快楽に混乱している俺の腕を自身の首へと導き、頭にあった枕を取って俺の体を横にすると、両膝の裏に腕を差し込み腰を浮かせて枕を腰の下に差し込む。そうして浮き上がった臀部に腰を打ち付けた。 「ア゛ッ、~~~♡♡♡」  先程よりも更に奥へと家村のモノが入ってきて、俺は喉を仰け反らせて息を止める。ピンッと爪先に力が入って足の指が開いたが、次いではユックリと息を吸い込む為に丸まり、腹が小刻みに痙攣する。 「~~~~~ッ」  奥まで迎え入れた家村のモノを痙攣の波に合わせて強弱をつけながら内壁がギュウッとしゃぶる。その気持ち良さに奴も息を詰めて快感に耐えると、再び腰を動かし始めた。 「アッ、も、もぅッ♡ 無理ッ……む、り゛ッ♡♡♡」 「ン、もぅ少し、我慢して……」 「ヤッ……、イ゛ヤだ……♡ お゛かしぐ、なるッ♡♡」 「大丈夫だから……ッ、気持ち良いだけ……」 「ンぅ゛ッ♡ ……ぎ持ぢ、良い゛~♡♡」 「そう、気持ち良いな……」 「イギた……ッ、もぅ、イギたイィ゛ッ♡」 「もう少し我慢な、……滅茶苦茶気持ち良くイコうな?」 「ハァッ……、大雅……♡♡ た、いがぁ♡」 「………ッ、クソッ」  家村に『イケ』とコマンドして貰わないと上手くイケない俺は、快感に朦朧としながら自分が何を口走っているのかよく解らない。だが、俺の台詞で俺の中にある奴のモノはグアッと嵩を増しビクビクと震える。  その振動に俺は奴の首に回した手を保っていられず太腿へと移動させ微かに爪を立てると、家村は俺の両膝に入れていた腕を解いて片方の俺の脚を自分の肩に担ぐ。担いだ手を脚から離し外側から俺の下腹部へと手をあててグッと力を込め、もう片方の手で先走りによってグショグショになっている俺のモノを掴むと大きく上下に扱き上げてきた。 「イ゛ッ、ァ゛……、無理ッ……も、ムリ゛ッ! ……たのむ……」  頭の中はもうイク事しか考えられない。 「ン、どうして欲しい……? Say」 「イ~~~ッ、ぎた……ィ゛♡ イカ、せて……下……さい゛♡♡♡」 「ン、上手に言えて偉いな……」  甘い声音で囁く家村がいつ『イケ』と言っても良いように俺は奴の顔を見詰めると、ユックリと唇が動き 「Cum」  と発した刹那、ビリビリと俺は大きな電流に打たれたような衝撃に頭が真っ白になって背中を仰け反らせると、勢い良く自分のモノから精液が飛び家村のモノを食い締めたまま臀部が痙攣する。長い快感の波に攫われジ…ンと頭の芯が痺れる頃、家村の唇の感触に息が止まっていたのだと解り空気を吸い込む。 「Goodboy」  上手にイケた事への褒め言葉に、俺は嬉しさに酔いながら意識を手放す。           ◇  目を開けば隣で寝ている家村の顔が飛び込んできて俺は一瞬ハッとするが、すぐに落ち着き奴の寝顔を見詰める。  まだサブスペースにでも入っているような感覚に、俺は額を奴の肩口に擦り寄せて長く細い溜め息を吐き出す。すると眠りが浅かったのか家村がこちらに寝返りをうちながら目を開き 「目、覚めました?」  と、聞いてくるので俺は無言のまま奴の鎖骨付近にキスをする。 「体、辛く無いです?」 「……ン、多分な……」  言い返した自分の声が思いの外ガサガサで、俺は先程までの事を思い出して居た堪れなくなり目を伏せる。だが、家村がそれを許してくれるはずもなく…… 「声……結構出してたもんね。水、持ってこようか?」  そっと頬に触れる手は温かく、少しカサついている。  俺は首を左右に振ってしばし無言になった後 「……新しくルールを決め直すか?」  と、家村に聞いてみた。  これは入院中に考えていた事だ。互いの気持ちが解りパートナーになった事で、以前のルールではコイツはどうなのだろうか? と思っていた。あれは結局俺に都合の良いルールでしかなかったから……。 「一つだけ……良い?」  俺の問いかけに家村が静かに答える。  俺は伏せていた目を持ち上げ奴の顔を見詰めると、家村は少し苦笑いに近い笑みで 「アンタがDomの時に相手にするのは、女のSubだけにして欲しい……。駄目、かな?」  家村からのその提案に、俺は微かに口角を上げてしまう。それはDomの時の俺も独占したいと言われているからだ。  Domの時であれば俺は男のSubを抱けるのだが、それさえも禁止して自分だけに縛り付けたいと、家村の欲に笑みが溢れる。  ……………だが、既に俺はもうDomの時に相手に男を選んでいない。家村との関係が始まってしばらくしてから、不思議とそういう欲が無くなってしまったのだ。  それは多分、満たされていたから……。 「返事……くれないの?」  何も言わない俺に痺れを切らしたのか、家村が少し拗ねた感じで聞いてくるので、俺はクスリと笑って 「言わせるのは得意だろ?」  まだ『Switch』だと言われていない俺は家村にとってのSubだ。  俺の返事に家村も微かに笑うと一度俺にキスをして 「アンタが俺をそうさせるんだけどね……」  と呟いて、俺に言わせる為耳元に唇を寄せる。 おしまい。

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