1 / 4

第1話

 ――俺、天馬司は最近とても心を乱されている。 「神代、ちょっといいか?」 「神代先輩、伺いたい事があって……」  体育祭以降類の校内評価が上がった。いや、それはいい。類が皆に受け入れられるという事は俺にとっても喜ばしい事だ。  声を掛けられれば類はそれに対して逐一丁寧に対応をするし、相手を不快にさせない対応というのも流石類! といえる程完璧で、相談に乗れば乗る程類の評価が上がっていく。それは構わない、ああ勿論構わないんだ。類との時間が減った事でいちいち気に病むような器の小さい男ではない! 断じて! 「助かりました、あの……これっ、お礼です!」 「いつもありがとう、大切にいただくね」  それだ! それ! ただでさえ顔が良くておまけに頭も良い、そして優しいともなれば類に好意を持つ奴が居たっておかしくはない。類も類でそれを分かっているのかいないのか、笑顔で受け取ってしまうものだから余計に相手を勘違いさせてしまう。女子が手作りのお菓子を渡す意味にそろそろ気付け!  最近はこういった光景ばかりだ。こんな光景を見る度俺は声を大にして言いたくなる。類は俺の恋人なんだ! 「司くん」  俺が居る事に気付いた類の表情がパッと明るくなる。類にそんな顔をさせられるのは俺だけであると自負したい。今日も女子生徒からのプレゼントを山のように抱えて――勿論いただいたお菓子は類がワンダーランズ×ショウタイムの皆に分けてくれる事もあるが、大体は類が深夜の作業中に食べ尽くしているぞ! 「お、おお類……今日もモテるな」  ぽてぽてと俺に駆け寄ってくる類からは、歩く度に花が散っているように俺には見える。どうだ、これが俺だけの類なんだ、可愛いだろう。と以前話したら彰人には微妙な顔をされたが、冬弥は力強く頷いてくれたぞ! ちなみに寧々には適当にあしらわれた! 「そうだね、最近はこうやって貰う事が多いから、深夜の完食に事欠かないよ」  その子たちは単純にお前の腹を満たす為だけにあげている訳では無いのだがな、気付いてやれとも思う事はあるが気付かないままでもいいかと思っている事を俺は自覚していた。  ――と、これだけなら俺も心を乱される事では無い。

ともだちにシェアしよう!