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第二幕・中也
太宰が可怪しいのは何時もの事だったが、閨の最中に嘔吐する姿を見たのは初めてだった
体調は悪く無ェと云うし、精神的な問題が有る様にも見えなかった
隠そうと思えば何でも上手く隠せちまうんだろうが、其の状態の奴を見て何かの罠であるとは考えられ無かった
彼奴自身も予想外みてぇな顔してやがったし、何依りも――
そういう時こそ柄にも無く傍で支えて遣りてぇなんて考えは為たんだが、俺が傍に居ない事が彼奴の為に成るんだと、理解した
傍に居て遣りたいのに居て遣れない、俺の胸に大きな穴が空いて居た
俺の手は無力だ、太宰一人救う事すら出来やしない
一番支えて遣らないといけねぇ時に傍に居てやる事も出来ない俺が、どんな顔して彼奴の恋人面をする?
――違う、俺は
俺が彼奴を支えてたんじゃなくて、俺がずっと彼奴の存在に支えられてたんだ
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