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第8話

「しょ…長嶺様とのお食事券って?」 「え?景品知らないで今までやってたの!?」 去年は食券だったから今年もそうだと勝手に思っていたが、違ったのだろうか。 信じらないモノを見るような目で見られた…え、そこまで? まぁあの景品を受け取った嬉しげな顔を見ればだいたい分かる。 「生徒会の皆様とご一緒にお食事が出来る素晴らしい景品なの!」 「…そ、そうなんだ」 食事にしか魅力を感じない俺は鼻息荒く熱弁する後輩に相槌をうつだけだった。 そして、考えていい事を閃いた。 後輩が他の生徒会の親衛隊じゃなくて本当に良かった。 あれから数日が経過した。 昨日の食堂は凄かったみたいだ。 生徒会と景品を手にした生徒達との合同食事会。 ちゃっかり俺達の親衛隊隊長は滝川様の隣をキープしていた。 一般生徒は合同食事会を眺めながら寂しく親衛隊の皆と食べた。 「あれ?お前いつも菓子パンなのに今日は弁当か?」 「うん」 「彼氏か?…なわけないか、どうせ母ちゃんの弁当だろ?」 生徒会長が作りました、なんて口が裂けても言えない。 いつも菓子パンな俺に健康を気にしたしょうちゃんが弁当を作ってくれるようになった。 しょうちゃんの得意料理の野菜炒めを食べる。 合同食事会の人達の群れでしょうちゃんが見えない、残念。 いつも以上の愛想笑いで疲れたしょうちゃんを放課後誰もいない生徒会室でマッサージをしてあげた。 そして次の日の昼休み俺は後輩をお詫びとして昼飯を誘った。 後輩はブーブー文句を言っていたが今日は目当ての人が食堂に来ないから食堂に行く理由がなくついて来た。 そしてやって来たのは誰も使われてない空き教室…中はなかなか綺麗な場所だった。 教室の中に入ると後輩はカチコチに固まった。 「ごめんね、授業長引いちゃった」 「構いませんよ、さっちゃんを待ってる間…さっちゃんの事を考えてられて嬉しかったですから」 相変わらず恥ずかしいな、と思いずっと入り口で固まる後輩を中に入れた。 しょうちゃんには前にパートナーに迷惑を掛けてしまったからお詫びをしたいと伝えたらしょうちゃんも責任を感じて頷いた。 後輩がやりたかったお食事会をしようとなった。 机をくっ付けて、後輩を座らせるとハッと我に返り俺に詰め寄ってきた。 「ちょっ!!どういう事なの!?な、なななんで」 「…サプライズ、迷惑掛けたから…」 「………ありがとう、僕のために苦労したでしょ」 初めて後輩が素直になって可愛く思えて頭を撫でる。 しょうちゃんにお願いしただけだから苦労はしていないが、俺達の接点を知らないと当然なのかな。 とりあえずしょうちゃんとは友達だと言ってある。 しょうちゃんの親衛隊は過激じゃないから俺と知り合いでも酷い事はしないと思う…滝川様の親衛隊だって知ってるだろうし、多分。 しょうちゃんの視線が痛くて離れる。 「じゃあ、食事会始めようか」 しょうちゃんの合図で三人だけの食事会を始めた。 それは昨日の食事会より楽しい思い出になったとしょうちゃんは話した。 今日の食事会は内緒だと後輩に言い満足した後輩は手を振り帰っていった。 まだ昼休みの時間があり、二人っきりでのんびり過ごした。 今からは恋人の時間。 指を絡めてしょうちゃんの肩に頭を乗せる。 俺は一人だと思っていた、両親にも愛されない俺なんか好きになる人なんていない。 でも、俺は勘違いしていた。 …身近にその人はいたのに気付かなかった。 「さっちゃん」と呼ぶ大切な人が… その人と俺は身分が違う。 でも、それすらも乗り越えた先にあるのが真実の愛だと思う。 …彼と共に歩もう、明日への道を… 「しょうちゃん大好き」 「俺もさっちゃんが大好きです」 (END)

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