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第7話
「しょうちゃん、もう笛鳴ったけど行かなくていいの?」
「…大丈夫ですよ、さっき先生に体調が優れないと連絡したので」
あれから数分の時が流れた。
しょうちゃんでもサボったりするのか…クールなカリスマ生徒会長様なのに…
しょうちゃんは赤く腫れた目元に触れる。
俺は今、仮眠室のベッドに押し倒されている。
しょうちゃんとやっと心が結ばれた…片思いは長かった。
…これからする事も何となく分かる、分かるが…
「しょうちゃん、男同士のやり方知らない」
「大丈夫です、俺に任せて下さい」
えっ…それってまさか既に誰かと…?
疑いの眼差しでしょうちゃんを見るとしょうちゃんは慌てて「ち、違いますよ!いつか佐助様と結ばれる日が来たらと勉強していただけで…」と言った。
しょうちゃんは勉強熱心だなぁと頭を撫でると頬を赤くして照れていた…そういうところは昔と変わらないな。
唇を合わせる…俺のファーストキスだ、しょうちゃんもだったら嬉しいな。
…あ、そういえば子供の頃ふざけて唇にキスしたっけ…じゃあしょうちゃんのファーストキスは俺のものだ。
「…何考えてるんですか?」
しょうちゃんは楽しそうに笑う俺を見てなにか勘違いしてるのか、不機嫌そうな顔をした。
俺はしょうちゃんの首に腕を回し…耳元で「しょうちゃんと再会してからしょうちゃんしか頭に入らないよ」と言った。
しょうちゃんは嬉しそうに微笑み再び唇を合わせた。
俺の口の中にしょうちゃんの熱い舌が入り絡められ変な感じになった。
「ふぁっ、あ、んぁっ」
「…佐助様、綺麗です」
上はシャツ一枚で第三ボタンまではだけていて、下を全て脱がされしょうちゃんの指が三本入ってる。
そんなところに入るのかと驚いていたが、女性とは違うし…やっぱりソコを使うのかと恥ずかしくなった。
顔を隠したいのにしょうちゃんは「素顔が見たい」と言い俺のメガネを取り前髪を上げられた。
真っ赤になった顔をしょうちゃんに見られてゾクゾクした。
…だってしょうちゃんのそんな欲情した男の顔、初めて見た。
生徒会室に何故かあったローションで滑りが良くなった指はもっともっと奥に進もうと動く。
最初は違和感しかなかったのにとある場所に触れると我慢できなくなるほど快感が脳を痺れさせる。
「あぁっ、や…やだそこっ」
「佐助様にもっともっと感じてほしいんです、側にいられなかった分までご奉仕させて下さい」
そうやらしく笑うしょうちゃんは指を入れたまま俺のものに舌を這わす。
くちゅくちゅと耳を塞ぎたくなるほどの恥ずかしい音で俺の頭は沸騰寸前だ。
俺の下半身からしょうちゃんは顔を出す。
「佐助様、俺…」
「うん、いいよ…俺だってしょうちゃんになら何されたって嬉しいんだから…」
今のしょうちゃんの考えが手に取るように分かる。
触れるだけのキスをしてしょうちゃんのが俺の中に入ってくる感覚がした。
痛みは念入りにしょうちゃんがひろげてくれたからないが、指とは違う圧迫感とそれを上回る快感が一気に押し寄せる。
しょうちゃんの包帯の腕にしがみつくと爪が食い込みまた血が流れた。
びっくりしたがしょうちゃんは嬉しそうに微笑み俺の腰を掴む。
「あ、あ、ひぁんっ」
「はぁ…さっちゃん、俺…さっちゃんとやっと繋がったんですね」
しょうちゃんが俺を昔のように呼び、より腰に早く打ち付ける。
…さっちゃんって呼ばれるだけで体が熱い。
俺、意外とさっちゃん呼び好き…かも…
「し、しょうちゃ…んっ、も…イクッ!」
「はいっ、さっちゃん」
また呼ばれてもう我慢出来ず俺は絶頂を迎えた。
後からしょうちゃんがイッたのは何となく分かった。
…またする時があったら直にしょうちゃんがいるのを感じたいからゴムなしでもいいのにとゴムを外すしょうちゃんを眺めていた。
俺の視線に気付いたしょうちゃんは照れたように微笑んだ。
「そういえばしょうちゃん、鬼だけど捕まえなくて良かったの?」
「あー、いいですよ…一番捕まえたい人を捕まえたんですから」
そう言うしょうちゃんは裸のまま俺を抱きしめた。
しょうちゃんはこういうセリフは恥ずかしくないのか…言われた俺の方が恥ずかしくなってきた。
狭いベッドで男二人はちょっとキツいかも…
俺を落とさないようにしょうちゃんが支えてくれていて、愛を感じた。
それにしても食券だけは悔いがある。
…バイトの給料日まだだし、そろそろ菓子パン生活も飽きてきたなぁー…
「さっちゃん」
「ん?なに?」
「俺に出来る事があったら何でも言って下さい、俺…さっちゃんのためなら何でもしますから」
「う〜ん、それじゃあ」
俺は考えるフリをしてしょうちゃんの耳元で囁いた。
ー今度はナマでしようねー
しょうちゃんの顔が面白い事になったのは言うまでもない。
生徒会で仕事があるみたいでしょうちゃんは生徒会に残り俺だけ生徒会室から出た。
ずっと腰は大丈夫か、痛いところはないかと過保護だったから元気アピールで飛び跳ねてやっと分かってくれた。
そこでなにか忘れているような気がして首を傾げた。
トイレ方面を見て思い出した。
そうだ、後輩と逃げていたんだった。
もういないかもしれないが一応確認でトイレの中に向かう。
すると、個室が一つだけ閉ざされている。
まさか後輩はまだそこにいたのかとドアを叩く。
「後輩くん?大丈夫?」
知らない人なら邪魔してごめんなさいと思っていたら、ギィッとトイレの個室が開いた。
そこには涙と鼻水で顔がぐちゃぐちゃの後輩がいた。
後輩は俺の顔を見るなり抱きついて来た。
…かと思ったらポカポカと殴ってきた。
「うわぁん!!何処行ってたんだよバカァ!!」
「ごめんね、なにがあったの?」
どうやら後輩は俺の言いつけを守り、ずっとこの個室にいたみたいで…何度か運動部の鬼がやって来てドアを殴る蹴るして中にいた後輩を出そうといろいろして怖かったみたいだった。
後輩から与えられる痛みを受けながら紐で足を結ぶ。
最初と最後だけだが、ちゃんと二人三脚をしてグラウンドに戻った。
後輩の顔が大変だったからトイレの洗面台で綺麗にして、少しまだ目元が赤いがなんとか生意気さを取り戻したようだった。
グラウンドでは生き残った生徒達を発表していた。
笛に間に合わなかった俺達は勿論失格…鬼ごっこしてなかったから当然だけど…
悔しそうにする後輩に悪いと思い、今月…なんとかセール品のパンで節約すれば1日ぶんくらいは…と計算する。
「がんばったで賞で1日ぶんの食券をプレゼント」
「…はぁ?何それ、意味分かんないんだけど」
後輩にバカにされてしまった。
後輩は食券が欲しくて頑張ってたのではないのか?
周りの生徒を見ると、生き残った生徒達が頬を赤らめてとても嬉しそうに捕まった生徒に自慢している。
俺の場合食券を貰えたらああなるんだけど?
「あーあ、長嶺様とのお食事券…」
「え?」
「…僕、長嶺様の親衛隊なんだよね…下っ端だけど」
いや、そんな事じゃなく…え?しょうちゃんとお食事券?
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