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その後のおまけ

 盛大すぎて腰が引ける結婚式の当日。  あいさつ回りをするリケから少し離れた。  俺はリケほど社交的ではない。  公爵家の人間になったので今後はそんな弱音も吐いていられなくなる。    果実酒を飲んで、気が緩んだところに思いもかけない来客。    俺はリケのことを分かっていたと思っていたが、ディーアグェ家のことはまだまだ知識不足だった。  知ることになる最低な現実が俺にはまだ残っていた。    公爵は亡くなってなどいなかった。  周囲の目を気にしながら移動して、招いていない来客と部屋の中で向き合った。  変装なのか腰の曲がった演技をして杖を突いていた公爵は部屋の中に入ると背筋を伸ばした。  着席を進める前に堂々と座る姿は幽霊には見えない。    リケは確かに毒を盛ったが、公爵はリケの毒が理由で死んだわけではない。  そもそも目の前にいるので死んだという話が誤報。  いいや、公爵という肩書きを捨てるために死んだことにしただけだ。    自分を死体に偽装するのも死体を偽装するのもリケに気づかれてしまう。  リケに殺した思わせることが重要だという。  自分が殺した父親の死体をわざわざ念入りに調べたりしない。    生きたまま公爵の地位をリケに継がせると報復が怖いという。  死んでいればこれ以上は復讐のしようがないので安全だ。  その上、公爵には公爵のままでは成せない夢が出来た。  どういうことかというと亡くなったという思い人が聖女の養父をしている人だった。  そのことが三年前に分かったという。    反逆者として処刑されたことになっていた王兄が実は生きて聖女の養父をしていたというのだ。  聖女の手前、養父である王弟は安全だといっていい。  今回の事件が聖女に手を出した人間がどんな目に合うか見せつけてくれている。    つまりリケが俺を手に入れるために動くことも含めて、性格の悪い公爵の手のひらの上で踊らされていたことになる。    ネタ晴らしをしに来たのは俺への嫌がらせかと思ったが、リケへの贖罪だという。  自分と違ってリケは情けが深いので気に病まないように自分が元気であることを俺から伝えてくれという。  本当は息子の結婚式を祝いたかったのではないだろうか。  素直に言わないのは恥ずかしいからなのか。  ディーアグェ家の呪いとはこの回りくどさか。    リケも同じように性格が悪くなってしまうのだろうか。心配だ。  俺にはいつでもどこまでも優しいリケだから、認識がおかしくなってしまう。    妹ですら容赦なく利用するリケだが、彼の父は女神の化身である聖女すら利用して思い人と共にいようとした。  王弟には聖女を人質に取る形で近づいているに決まっている。    罪深いことを平気でするディーアグェ家の彼らを性格が悪いと思うが、嫌いにはなれない。愛に正直すぎる。呆れるほどに。 -------------------------------------------------------- 現在Twitterでメモ感覚でツイート垂れ流したりします。 ツイート後に(不完全な形の掲載が)居たたまれなくて消してしまいました。 8千字ぐらいの短編にすればいいと自分で反省ツイートしていた通りに書きましたのが本作品。 美形×平凡のネタメモが見たい方はhttps://twitter.com/hadumi2020へどうぞ。

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