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エール1-2

「…はあ」  密紀は溜息を吐いた。仕方ない、美術部見学はまた今度でいいか、思いながらノートを持って教室を出る。廊下に出ると、隣りのクラスになった幼なじみの竜也がちょうど部活に行く所だった。 「竜也!」  密紀が声を掛けると、気付いた竜也が笑顔で振り向いた。 「おお密紀、日直?」 「ああ…いや、うん」  抱えたノートを見て問う竜也に、またしても密紀は曖昧な笑みで返す。 「それより竜也、サッカー部地区予選突破おめでとう!」  密紀が嬉しそうに言うのを受けて竜也も嬉しそうに笑う。 「まあ一年の俺はなんもしてないから、すげーのは先輩たちなんだけどな」 「でも聖院のサッカー部に入りたくて頑張ってたんだから、憧れの先輩たちが結果出すのは竜也も嬉しいでしょ?」  聖院学園のサッカー部は全国レベルで、聖院でサッカーをやりたくて高偏差値の入試をを死ぬ気で頑張る者も多い。密紀の幼なじみの竜也もその一人だった。 「うん嬉しい!俺も続こうって思えるからな!」  じゃあ練習行くわと手を上げて、竜也は廊下を駆けて行く。竜也が誘ってくれなければ、今自分は聖院学園にいなかっただろうなと思って密紀は竜也の後ろ姿に感謝した。  密紀がノートを抱え直して再び歩き出そうとした時、頭上で校内放送が響いた。 『今週末、十六時より、第一体育館にて応援団によるサッカー部壮行会を行います』 「わ!」  廊下に備え付けられたスピーカーを見上げて、密紀は思わず嬉しい悲鳴を上げた。

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