61 / 85
エール5-17
「何してたのかなあ?」
三十分遅れた密紀の手を引いて聖堂に戻った千秋に、半笑いで細くした目を向けながら水野が意味深に言った。
水野の言葉に含まれた別の意味は無視して、千秋が橋野と元宮のことをザッと説明する。
「団服をこんなにしてしまったこと、本当に申し訳なく思ってます!」
密紀が団員の前で深く頭を下げる。水野が「うーん」と唸った。
「ロッカーに入れて、ちゃんと施錠した。これ以上何かやりようがあるか?」
水野が二階堂を振り向く。二階堂はいつもの笑みを崩さないままだ。
「こじ開けた時点で器物損壊だからねえ」
「タバコまで吸っていたとはな」
二階堂のあとに続けたのは眉間に皺を寄せ、腕を組んだ可南だった。
「吸うならもっとうまいことやらんと」
そう続けた鳥越に全員が無言のツッコミの目を向ける。
「冗談やんか」
鳥越の乾いた笑いを無視して、水野が密紀に破れた団服を脱げとジェスチャーする。
ともだちにシェアしよう!