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第77話 滔滔汨汨 ❸

烈は崑崙山へ出ると、八仙の屋敷に向かった 八仙の屋敷の中には正装をした羅刹天が烈達を待っていた 羅刹天は烈の姿を見ると「烈!!」と言い抱き締めた そして堂嶋を目にして「友よ!」と抱き締めた 堂嶋も久し振りの出会いを分かち合い、体を離すと羅刹天は「このレディは?」と尋ねた 「英国王室 女王の番犬をなさっているジョセフィーヌよ!彼女の名前は長いから読み上げるとボクの舌は確実に傷付くから省略ね!」と言い笑った 羅刹天は眉を顰めて「此方のレディからの話しが発端だったのですよね?」と警戒した顔をした 「らーくん!レディファーストよ! こんな敵意を剥き出しの顔しにゃいのよ!」と脛を蹴り上げた 羅刹天は「烈、痛いって!」と言ったが、後ろに控えていた神髄師が「それは貴殿が悪い!レディに対して失礼であろうが!」と諌めた 烈は「天ちゃんも行くの?」と問い掛けた 神髄師は「真意を確かめねばならぬ故、私も同行して宜しいかな?」と問い掛けた 「構わないわよ! それじゃ行くとするのよ!」 と烈が言うと八仙が「黒龍を呼んでおいた、そろそろ来るじゃろ!」と言った 丁度 八仙が言うと黒龍が「おーい!烈!行くか?」と呼びに来た 烈は八仙に「ありがとうね!八仙!」と礼を言い外に出た 黒龍は烈を見ると「乗せてくからな!」と言ってくれた 「黒ちゃん、ありがとうね!」 ニコニコと笑う烈の前で黒龍は漆黒の龍になった 「さぁ乗るわよ!」と言い烈はさっさと乗る その後に続いて羅刹天と神髄師が乗り込んだ 堂嶋はジョセフィーヌを先に乗せて、自分も乗り込んだ 黒龍は皆が乗ったのを確かめると静かに飛んだ 烈は堂嶋に「この黒ちゃんはね、父しゃの兄上にゃのよ!」と説明した 康太は何時も【オレの蒼い龍】と言っていた………と思い出した 兄弟でも色が違うのか?と謂うデリケートな質問を堂嶋は飲み込んだ 「ボクはね黒ちゃんの漆黒のフォルムはカッコいいと想うのよ!」と絶賛 烈に褒められるのは結構嬉しい黒龍なのだった ジョセフィーヌは龍に乗れて感激していた 「我が独身ならば結婚したい程じゃな!」と残念がっていた 堂嶋は苦笑した 「せーぎちゃん 龍酔いしたら言ってね」 龍酔いしたら………って………そんなのは一生に一度体験出来る人間は早々いないだろう……… 烈は慣れてるのか楽しそうに乗っていた 閻魔の執務室前の庭に下りると、黒龍は烈達を下ろし人の姿に戻った 黒龍は烈達を執務室へと連れて行った ドアをノックすると閻魔がドアを開けた 閻魔は既に正装を着ていた ジョセフィーヌは深々と閻魔に頭を下げると 「暫くしたらオーディンと申す神がお迎えに来てくれるそうです!」  と説明した 「オーちゃんも大変ね、でもあの馬車で全員乗れるかしら?」と、とんでもない事を謂う 孫が魔界に来たと妖精から聞いた素戔嗚尊が、閻魔の執務室に顔を出し、烈を抱き締めた 「じぃさん傷は治ったかしら?」 「もう大丈夫じゃ!」と孫の頭を撫でて 「烈はもう大丈夫なのか?」と問い掛けた 烈は「もぉ大丈夫だけどね、何かね色々と大変なのよ!」とボヤいた 素戔嗚尊は「何が大変なんじゃ?」と問い掛けた 「ただでさえ問題山積なのにね、次から次へと問題が起きてね私生活まで大打撃でね ………還って来るまでに事態が沈静化してなかったら本格的にお引越し考えないといけないのよ……」とついついボヤいた 引っ越しと聞き素戔嗚尊は驚いた顔をして 「引っ越し?何処へ引っ越しすると謂うのじゃ? お前が今の家が嫌ならば、お前が望む場に家を建てるから………離れないでおくれ!」と泣き出した 烈は「え?………違うにょよ!じぃさん!」と慌て説明しようとしたが、其処へオーディンがやって来て 「さっさと行くぞ!」と烈を担ぎ上げて連れて行ってしまったから、騒ぎは大きくなっていた しくしく泣く素戔嗚尊の姿に建御雷神は大慌てで話を聞く どんどん話が大きくなり、人の世から弥勒が呼ばれ、神威まで呼ばれた そして神威が真意を確かめに飛鳥井へ行ったら無人で、事務所のスタッフに探らせたら……大変な事態になっていた 神威は事態を聞き翌日魔界に行き、烈の置かれた事情を話した 引っ越しを考えているのは人の世の話で、魔界の話じゃない 風呂もあるならば、烈は此処に住むに決まってる!と父を安心させた 神威がこんな大変な目に合ってる頃 魔界を後にした烈は全員乗れる馬車でオーディンはやって来てくれたから、馬車に乗り込みhellへと向かった 閻魔は烈に「烈の正装を持って来ましたから!」と言った 「素戔嗚殿や父や母と相談して魔界の功労者と謂う事で勲章を着けた大礼も用意しました!」とニコニコで謂う 烈は「えんちゃんありがとう!」と礼を言った 神髄師はジョセフィーヌに「羅刹天と名乗る輩は捕まえているのですか?」と問い掛けた ジョセフィーヌが答えようとすると、オーディンが「捕まえてはいない!だが名乗る輩が出たのは確かだ!だからここいらで交流を持ち情報交換も出来る関係にならねば………と想いお呼びしたのもあるのじゃ! 後 hellにいる者ならば気配で解るであろう! 本物の羅刹天殿と傀儡との違いが解らぬならば、火種を消せぬと想うからな!」とボヤいた 閻魔は「我等も火種を燻らされ、あわや………と謂う所までやられましたからね! あの時は烈が虫入りの野菜を食べさせたから、犯人自ら苦しんで出て来ましたがね、易易と尻尾を出す輩ではないので、我等も羅刹天の傀儡は捕まえてはおりません! まぁ彼処で捕まえていられたら、hellでこんな事態になどなってはおりません!」とキッパリ言った 羅刹天は「現世での私の墓は荒らされて見る影もなく……墓の中は何も入ってはいませんでした… まさか己の骨を使い………傀儡を創られるとは想いもしませんでした! 我等は何処かで過信をしていたのかも知れない どの民族よりも優れていると謂う自負の元………他国とは連携すら拒否して来てしまった節がある」と悔いた言葉を吐いた 烈は「らーくん、此れからは連携して逝けば良いのよ!振り返っても道は正されないし、やり直す事なんて出来ないんだからね!」と謂う 羅刹天は「烈!!我等は前を向くと決めたのだ! 共に逝こうてはないか!烈、正義!!」と熱く語る 神髄師は羅刹天がこんなに熱い漢だとは想ってはいなかった 何処か冷めて、常に退屈そうにしていた…… 神髄師がそんな事を考えていると、ジョセフィーヌは「此方の方を御紹介して下さらないかしら?」と言った 神髄師の身なりは、衣擦れだけでも解る程に正絹と金をふんだんに使われ贅の限りを尽くした刺繍を施されていた そして装飾品は見る限り高価なモノだと解る宝石で、飾られ上品で尚且高貴に仕上げられていた そんな服を着た御老人が只者とは、思えなかったからだ 烈は「この御方は元始天尊殿で、道教の最高神であられる方なのよ!」と教えた ジョセフィーヌは「お赦しを!我等も他国の神はあまり存じませんので………御無礼を致しました! 私はジョセフィーヌ・アデレーゼ・フィッツロイ、女王陛下の命により皆様をhellへお招きする様に言い使った者です!」と丁寧な謝罪をし身分を明かし、1月上旬に羅刹天がhellでお越した数々の話を話した 羅刹天と神髄師は改めてその話を聞く 神髄師は「儂の傀儡もまだ見つかってはおらぬ……世界に向けて警戒する必要がありそうじゃな!」と言い負のラビリンスを烈の知り合いに掛けていた者の存在を明かした ジョセフィーヌは言葉もなかった まさか………人の世で傀儡が活躍してるなんて………想像も………あ、嫌……かの教団の教祖は死者だった事を思い出す かなりの速さでオーディンは馬車を走らせていた そして暫くするとhellの正面入り口に辿り着き オーディン「着いたぞ!」と告げた 烈は「早くで助かるわ、ボクがいられるのは3日間だけだから!サクサクやらないとね!」と両親の言いつけを守る発言をした hellは………中世の世の再現みたいな場所だった とても美しい街並み、貴族が住むであろう屋敷が光り輝く綺麗な屋敷 活気付く市場で働く者、そこはタイムスリップした中世の世の様に………貧富の差がそこに在った 痩せ細った奴隷の様な扱いされる者達が働きまくる 美しく着飾った貴族であろう存在は馬車に乗り移動し、それでない者は歩きで………下手したら靴さえないない者もいる………其処は明らかに貧富の差が一目瞭然な世界だった 綺麗な中世のドレスを着てお付きの者達と歩く姿を見て………遥か昔……素戔嗚の一族を思いだす 華やかな特権階級が蔓延る時代…………意識も記憶もシンクロする 烈は「何か………反吐が出る!」と呟いた 特権階級  カースト制 烈が最も嫌いな存在達がゴロゴロといた ジョセフィーヌは驚いた顔で烈を見た オーディンは「やはり其処を突くのじゃな……」と呟いた 烈は「hellじゃなく冥界へ行くべきだったかしら?」と謂う その眼は………蒼く光り輝いていた ニブルヘイムの蒼き輝きにオーディンは何も言えなかった 烈は「1日も早く終りましょう!さぁ我等を審判の場へ案内するのよ!」と言い捨てた あ~トラウマが刺激されるわ!母しゃん ボクは貴方がいてくれねば………今も復讐に囚われていたかも知れません……… ボクは貴方の望む果てへ行くと心に決めた 烈は歯を食い縛り拳を握り締めた 嫌な嫌な過去が………胸を抉る 嗚呼………何時の世も愚かしき者は存在する……… 利益を求め高位な存在を誇る立場の存在は、必ずやいる 解っているけど………虎と馬が刺激される 本当にこう言う場所は気分が滅入る 身分の上に胡座をかき、特権階級の権力を翳す奴ならば嫌だ言う程に見て来たし、味わってきたのだ オーディンは迎賓館へと烈達を連れて行った 烈は敢えて閻魔が持って来てくれた服には着替えなかった 平民、上等じゃないの! オーディンは迎賓館で烈は正装に着替えると想った だが烈はお気に入りのジャージに着替えた それを不思議そうに見て 「正装に着替えぬのか?烈?」と問い掛けた 「ボクね特権階級嫌いなのよ! 反吐が出るのよ!トラウマ刺激されちゃうのよ だからね、ジャージで皆の前に出るのよ ねぇオーディン、無礼なヤツ消しても良いかしら?まぁhellを更地にする訳じゃないから、良いわよね!」と見た事もない冷たい眼で言う 蒼さが更に濃くなり、怒りが滲み出ていた そして「らーくん、てんちゃん、ボク………1日で限界だわ……腐敗臭する世界にはいくないのよ!」とサラッと言ってのけた 閻魔は顔色一つ変えなった 聖神が復讐に身を窶したのは、一族を憎む為………特権階級の素戔嗚の一族を滅ぼす為だった オーディンは「hellにはhellの秩序がある!」と言った 烈はオーディンを射抜き「それは知ってるわよ!でも………ボクに手を出すヤツを見逃しはしない! それだけは言っておくわ!」と宣戦布告した 一歩も引かぬ姿勢にオーディンは「主に手を出すならば、儂が真っ先に消滅させてくれよう! それがhellで生きる我等が誇りじゃからな!」と言った 烈はサコッシュを取り出して着けて、何時もの格好になると満足していた 皆 思い思いの想いを抱き黙る 暫くしたら「御時間です!どうぞ大広間の方へ!」と呼びに来た執事に案内されて大広間へと移った そこは晩餐会真っ只中と言っても良い程の、豪華さを秘めていただった キラキラと高貴なドレスを着た淑女や燕尾服を着た紳士がオーディンの登場を待っていた 魔界と地獄界と英国王室の人間と、人の世の人間が来ると言うのだ 好奇心満々で来客を見ていた 其処へやって来たのは異文化的な服を着た青年と老人と、何度か国際交流の映像で見た魔界の閻魔と人間………一人は上質なスーツを着てもう一人は………平民の服を着ていた その場に似つかわしくない服を着た平民が何故にこの場に招き入れられているのか? 皆がざわめき………侮蔑の瞳を烈に向ける 烈はその瞳を真っ向から受けて嗤っていた そして誰にも聞き取れない程、小さい声で呪文を唱え始めた オーディンも羅刹天も神髄師も何も言わずに立っていた すると燕尾服を着て勲章を幾つも着けた男が 「そちらの子供は平民なのでは?何故に平民の子がこの場にいるのですか?」 と侮蔑の瞳で烈を見て言う オーディンは何も言わなかった 何も言わないから余計に回りがざわつき、騒ぎになって行く その時 大広間の出入り口がバンバンバンバン!と音を立てて締まり始めた こんな事は初めての出来事だったから皆が動きを止めた シーンと静まり返ると、そこに烈の呪文を詠唱する声だけが聞こえた 「此れより視界の共有をする! どうじゃ?視えるか?」 と宗右衛門が問い掛けた 羅刹天や神髄師、ジョセフィーヌ、堂嶋、そして閻魔とオーディンは烈と視覚共用して視ていた すると………大広間にはウヨウヨと黒い靄を纏った存在がいて………オーディンは言葉もなかった オーディンは「奴等は傀儡なのか?」と問い掛けた 宗右衛門は「傀儡と謂うより、闇に染まっているのじゃろう! 闇は何処にでも存在する! 心に虚無があれば闇は其処へ入り込み根付き、心も思考も支配されてしまうのじゃよ!」と言った 「我等は神であるぞ!」 「神でも私利私欲に走るから心が汚れておるのであろう! 何も崇高な思考を持ち合わせていろとは言わぬが、俗世まみれになり過ぎた結果じゃろ! 主の眼が節穴でなければ、闇は見えているのであろう?」 「…………!!嘆かわしい現実を突き付けてどうする気じゃ?」 烈は嗤うと「どうもしないわよ!ボクの領域じゃないからね、でも羅刹天の偽者はちゃんと見付けないとね!」と言う その為に来たのだ その為だけに来たのだ オーディンは言葉を失っていた どうしたら良い?? 黒い靄を纏った存在を目にして、どう出たら良いかさえ、解らすにいた 大広間にいた存在は始めは、何が起こったのか?解らずにいて、動けずにいた だが閉じ込められた………と言う状況に少しでも早く出ねば!と騒ぎ出す 「我等を閉じ込められてどうする気なのだ!」 「何を考えているのだ?オーディンよ!」 最初に騒いで火種を灯そうとするのは黒い靄を纏った存在だった こうして上手く操って行くのか?と羅刹天や神髄師は痛感していた ニャッと北叟笑む黒い靄を纏った高貴な存在が 「此処に平民がいるのがおかしい! つまみ出せ!この場に相応しくない存在が何時災厄を撒き散らすか解らないからな!」と言うとゾロゾロ皆が動き出した だが次の瞬間 その存在は悲鳴を上げていた 「うわぁぁぁぁ!何が起きたんだ!」と叫ぶ 白いクーガが時空を引き裂いて、存在の上に降って来て床に捩じ伏せていた 烈の肩に乗っていなかったのは出る【時】を狙っていたからなのだと想った 烈はクーに「どう?羅刹天の傀儡?」と問い掛けた 「だな、コイツからは羅刹天の気を感じる 金髪にして青い目のパーツを入れ替えれば別人になる、って事だな!」と言った 羅刹天はそれを聞き啞然となっていた オーディンは即座にラグナロクの戦士を呼び寄せ、クーが捕縛している男を捕まえた クーは烈の肩に飛び乗り「レイ、創世記の泉の水でこの場を浄化しろよ!」と言うと時空を切り裂きレイが姿を現した そして呪文を唱え創世記の泉の水を霧散させた バタバタ倒れる神と黒い涙を流す神 バタバタ倒れた神は烈が電磁波と超音波を同時に流したからだった オーディンはその現状を目にして「情けない………」と呟いた オーディンは「羅刹天殿、この者が確かに貴方の傀儡か確かめられよ!」と言う 烈は羅刹天の傀儡をサコッシュに忍ばせた携帯を取り出し、パシャリと写メを撮った その写メを編集する 青い目を黒に、金髪を黒に、そして羅刹天の髪型に編集する 編集し終わった写真を保存してフォルダーの中の写真を羅刹天に見せた 羅刹天は唖然となり「これは我ではないか!」と叫んだ 烈は「多分………何体も何体も羅刹天の傀儡は作られているのよ! 原始の書でこの地球(ほし)が蒼い焔で焼かれる前には何体も作られていて、出す【時】を狙っていたのよ 原始の書と創世記の泉の雨が降らされる前に、総ての駒は配置され小出しに妨害するを企てていたのよ!」と言った 羅刹天は「何がしたいんだ!」と叫んだ 見えない敵に苛立ちが募る 宗右衛門は「何がしたい、じゃない! 己はこの地球(ほし)を正す役目があると大義名分を振りかざし正していると想っている 信徒はそれを信じて暴徒と化してる事さえ気付かずにいる こうして人を弄び、人を惑わし、懐柔する 人の世は【光】と【影】がある様に【善】と【悪】が必ずやある! 炎帝達が【光】側の存在ならば、テスカトリポカは【悪】となる存在! 悪に染まった世界こそが我等が進むべき道だと、幾つもの地球(ほし)を消し去り……最期の蒼い地球(ほし)を己の死命で完遂しようとしておるのじゃ! 儂は詳しい事は解らぬがニブルヘイムは創生の時からこの蒼い地球(ほし)を見守って来たのだ レイの【敵】は儂にとっても【敵】じゃからな!」と言った 羅刹天は「それはあまりにも暴論で自己中過ぎやしませんか?」と叫んだ 其処へ黒いジャガーが時空を切り裂いて姿を現した 「来ると想ったのよ!」と烈が言うとクーが飛び掛かった 「喧嘩は外でやるのよ!」と言うとクーは天空へと駆け上がり姿を消した レイは烈を強く強く抱き締めた 烈はレイの温もに支えられ踏ん張った オーディンは「倒れてるのはどうなってるんだ?」と問い掛けた 「多分ね頭にチップが入ってるのよ 魔界の神で試していたからね、神でもチップが入る事が解ったから、入れたのよ 頭にチップを入れられてるのは政策を握る立場の強いヤツが狙われる そして中から操り魔界にでも戦争吹っかけて始める気だったのかしら? それとも地獄界とかしら?」 烈の言葉に神髄師が顔を青褪めさせ 「我等も狙われていたと申すのか?」と問い掛けた 「もう地獄界も頭のチップや傀儡がわんさか送り込まれているかもね………」 と無情な事を言われる 神髄師は「やはり我等も電磁波と超音波を導入せねばならぬな……」と呟いた 羅刹天は「その我の傀儡……引き渡して下され!」とオーディンに言った オーディンは「それは断る!この者は我等が審議をした上に判決を下さねばならぬ!」と言った 烈は「そんな悠長な事してたらhellは乗っ取られるわよ!そりゃオーディンのラグナロクの戦士がいれば勝てると高を括ってるのかも知れないけど、黒いジャガー相手にそれが言えるの? さっきいたクーはボクのクーじゃないのよ 創造神が爪を刃に改良した黒いジャガーに対抗出来る存在を創ったからね、その子なのよ!」と言う オーディンは「烈のクーでは負けると………申すのか?」と問い掛けた 宗右衛門は「我が飛鳥井の転生者の魂を改竄し分割させ竜胆と良く似た者に移植させ、助けに行った我等が本物を見殺しにし偽物を助ける絵図を描いておった それが切っ掛けで竜胆は本来の力が出せなくなり覚醒の儀をやらねばならなくなった 幾つかのダミーを作り儂は竜胆を連れて天界へ向かい、そこで覚醒の儀を執り行った そして人の世には烈と同じ血を持つ兄と、竜胆の魂の欠片を埋め込まれた律が覚醒の儀を執り行った…………その場に黒いジャガーが現れた その場には素戔嗚尊、転輪聖王、大歳神の3名がいたが………二人を守りながらの攻防戦は黒いジャガーの爪の刃に押され、3名はかなりの負傷を負った! レイが遠隔で素戔嗚尊の剣を飛ばし黒いジャガーを串刺しにしたのに……黒いジャガーは無傷で動いていた 貴殿等はこの先、そんな相手と闘わねばならぬと申そう! 魔界も戦闘訓練の練度を上げておる! ラグナロクの戦士も更なる練度をあげねば、何体も黒いジャガーに襲撃されれば、一溜まりもないとだけ申しておこう!」と吐き捨てる様に言った 魔界随一の剣術使いの素戔嗚尊と転輪聖王、そしてマサカリを吹き飛ばし自由自在に操れる大歳神がいて……かなりの負傷を負ったと言うのか…… オーディンは考え込んだ レイは倒れた存在の頭からチップを抜き取っていた 烈は血だらけになったレイの手を取るとサコッシュからウェットティッシュを取り出して拭いてやった 神髄師は頭からチップが抜かれる光景を唖然として見ていた レイがチップの場所を見てブスッと指を突っ込みチップを抜き取る その様はあまりにも衝撃が強かった 頭にチップが入ってる 魔界はその対策をしている 何処かで他人事で我等の身に降りかかる事すら考えていなかった だが……こんなにもアッサリと日常は破壊し………頭にチップを入れられた者がいて、闇に操られた存在がいた 神髄師は歯を食い縛り、踏ん張るように足に力を入れ立っていた 羅刹天も自分の傀儡を目にして他人事では済まされなくなっていた オーディンは「hellの事はhellの者で何とかするしかあるまい! 羅刹天殿、人の世の女王陛下には羅刹天殿の件は傀儡が成りすましていたと申し上げる! そして羅刹天殿の傀儡対策は烈に協力をお願いする!このまま人の世のヤードへ行かれ、モンタージュを作成するのに協力して完成させてくれ! ジョセフィーヌ殿、烈と人の子を頼めますかな? 羅刹天と神髄師殿と閻魔殿はどうなされますか?」と問い掛けた ジョセフィーヌは「直ちに本国へ還りまして女王陛下にはこの事をお伝えし、烈さんとレイさんと堂嶋さんをお連れ致します!」と伝えた 神髄師は「我等は本国へ帰還して今後の対策を練らねばならぬ!」と言った 羅刹天も「我等が地獄界は我等が守ると決めておる!」と言った 閻魔は「私は魔界へ還り今後は更ならる強化を検討せねばなりません!」と言った 皆様同じ方向を向いた瞬間だった 今後は足並みを揃えねば弾き飛ばされてしまうだろう! 其処へ傷付いたクーが戻って来て烈の肩に飛び乗った そしてもう一匹のクーもやって来て烈はその子も抱き上げた 烈はジョセフィーヌに「どうやって行く気ですか?」と問い掛けた 神の道はhellまで届いてはいないだろうし……… 閻魔は「地上に出してくれるならば、私は母上に頼み八咫鏡を借りて来てますから、光の道を通り崑崙山へ出ます! 神髄師殿も羅刹天殿も一緒に崑崙山まで還りましゃう!」と言った オーディンはラグナロクの戦士に 「この者達を地上へお連れしろ!」と告げた 烈達はラグナロクの戦士に連れられて地上へと向かった レイは「れちゅ だいじょびらった?」とトラウマを刺激された想いを感じ取り問い掛けた 烈はレイを抱き締めてクーを撫でた 烈はクーに「この子は還さないと駄目な子なの?」と問い掛けた 「お前の兄達が狙われない様に遣わされたヤツだ!名を付け家族の仲間にしてやれよ!」 クーに言われ烈は「ならこの子はプーね!宜しくねプー!」と言った でも爪の刃あるんだよな? そんな子を兄達の傍にいさせて大丈夫なのか?と不安になり 「爪に刃仕込んでるのよね?」と問い掛けた クーは「アレから訓練して完璧に仕舞える様になったから、お前の兄達の護衛に………と寄越したんだよ!」と言われ安堵した ラグナロクの戦士は地上に烈達を送り届けると、還って行った 閻魔は八咫鏡を取り出すと、光の道を開いた 「近々 魔界で話し合いを持ちたいと思うので、その時はお越し下さい!」と言い神髄師と羅刹天と共に還って行った ジョセフィーヌは女王に連絡を入れ現状を話すと、即座に部下に迎えに行かせます!と伝えられた するとあまり待つ事なく迎えの車がやって来て、烈とレイとジョセフィーヌと堂嶋は車に乗り込んだ 堂嶋は「俺は倭の国へ帰国するが、烈はどうする?」と問い掛けた 「ボク、ヤードに行って羅刹天のモンタージュ作らないとね、だからまだ帰れないわ!」 「ならば烈の母上には無事イギリスにいると伝えておく!」と言いジョセフィーヌに飛行機のチケットを用意してくれ!と頼んていた 車は迎賓館へと向かい、大きなお城みたいな屋敷に通された 烈は「あのさ、りゅーまに連絡してボクの正装とナイトの勲章持って来てくれる様に頼めない?」と言った ジョセフィーヌはhellではジャージで過ごしたのに……勲章要りますか?と想ったが部下の者に「三木竜馬様に連絡を取り、烈様の正装とナイトの勲章を持って来られる様になさい!」と命令を下した 部下の者は直ちに動き、警護対象の三木竜馬の居場所を探りコンタクトを取った そして三木竜馬を発見すると男達は竜馬を取り囲む様に近寄った 急に黒づくめの男達に囲まれて竜馬は焦った 兵藤が竜馬の横に立ち阻止しようとしたが、一番偉いであろう男が 「我等はジョセフィーヌ・アデレーゼ・フィッツロイの部下の者です! 貴方達に危害を加えたりは致しませんので、どうか烈様の正装とナイトの勲章を持って我等と共に来ては下さいませんか?」と問い掛けた 竜馬は「え?烈の正装とナイトの勲章?そりゃマンションの部屋にあるので取りに行くのは簡単ですけど………」と言うと男達は 「ならば直にお願いします!」と言った 竜馬は兵藤と共にマンションへ向かい烈の部屋へと向かった 几帳面な烈のクローゼットは常に整頓され、何が何処にあるのか? 直に解る様にしてあった 烈の正装と勲章をカバンに入れていると、ラインの通知が在った 開いて見てみると烈だった 『りゅーまも正装とナイトの勲章を入れて来るのよ!』とあり、自分の正装と勲章をバックに入れた 「貴史と行くけど貴史は正装必要か?」 『兵藤きゅんはレイたん連れて還って貰いたいから、正装は必要ないわ!』 「それ貴史に伝えとく?」 『逢ってビックリが良いのよ! あ、でも着替えは用意させてね!』 「了解!」 烈の正装と勲章を入れると、自分の正装と勲章をバッグに詰めて竜馬は部屋を出た 竜馬は部屋に戻ると兵藤に「着替え用意して来た方が良いかもな……」と行った 竜馬のバッグは2人分らしき荷物でパンパンだった 長丁場になるならば、着替えは必要か!と想い兵藤は「少し待っててくれよ!」と言い部屋に着替えを取りに向かった そして兵藤が戻って来ると、黒づくめの男達と共にマンションを出て行った マンションの下に行くと車が用意されていて、竜馬と兵藤は車に乗った 竜馬が烈大丈夫なのかな?と、不安な想いを抱いている頃 倭の国にいる康太は烈のトラウマが刺激された想いを感じ取っていた 烈が魔界へ行きhellへ行って直にクーが 「俺達も心配だから影から見守る事にするわ!」と言った レイも「れいも!れちゅ ちんぱいらから!」とクーと共に行くと告げた 康太は「ならば頼むぞ!」と言いレイとクーを送り出した 烈………レイとクーが傍にいるからな……… と我が子を想った 榊原も我が子の刹那い思いを感じ取っていた 榊原は「hellって昔の魔界みたいな感じなんですか?」と尋ねた 「オレもhellは知らねぇんだよ! この世の中に幾つ似たような場所があると想っているんだよ! 独自の世界を持っている場所だからな、オレでもハッキリとは解らねぇ! だが兄者が少し前に協議の会場がhellで行った事があるって言ってたから、hellへ行きが決まった時に、hellってどんな場所か?聞いた事はある 中世の世をそのまま再現した様な場所、と兄者は言ってた………… そして烈がトラウマ刺激されなきゃ良いですけどね………って心配していたな」 榊原は中世の世をそのままと聞き、中世の頃のままならば貧富の差も激しい世なのかも…… 「カースト制 特権階級………ありそうですね ならば烈のトラウマ………刺激されちゃいますね」 と榊原も我が子を思い口にした 願わくば………元気な姿で還って来てくれ! 両親の願いだった 烈がhellへ向かって2日目 突然、閻魔が姿を現した 此処は飛鳥井建設の社長室だ そんな場に突然閻魔が姿を現すなんて……… 康太は顔を強張らせ「兄者!!烈に何か在ったのか?」と問い掛けた 「烈は無事です!ですがまだ還れません! イギリスに残りヤードに協力して羅刹天の偽者の可能性をモンタージュを作り、世界的に公表する、とかで今はイギリスです 今回 hellにいた烈は辛そうな顔をしていたので………今はイギリスなので携帯とかと言うのが使えるならば、連絡取って慰めてやって下さい! それを知らせる為に母者の鏡で魔界へ帰る前に伝えに越させて戴きました!」 と言いhellでの出来事を話した 虎と馬が刺激される………何か反吐が出る……と正装を持って来たのにジャージでhellの大広間に顔を出した事等、総てを話した そして「烈を支えてやって下さいね!」と言い、閻魔は八咫鏡を使い姿を消した 康太は唖然としていたが烈にラインを送った 「大丈夫か?辛かったら還って来て大丈夫だからな!」……と。 榊原も『烈、帰ったら水族館に行きましょう! なのであと少しだけ頑張って還ってらっしゃい!       君の事を愛する父より』 とラインを送る 榊原は兄弟達にもグループラインで 「烈が今 とても辛い思いをしてるので励ましてあげてくれたら、父は嬉しいです!」と送った 兄達はそのグループラインを目にするなり愛する弟にラインを送った 翔は「烈、大丈夫?辛い事話せば楽になるなら僕沢山聞くからね!」と送る 流生は温室の花の写メを沢山撮って 「GWは島忠でお花の苗と野菜の苗買うのよ! そしたら烈が野菜、レイが朝顔を育てるんだからね、ちゃんと還って来るのよ!」と送った 音弥は歌を沢山歌って聴かせた 「烈が元気になる様に沢山歌うからね!」と送る 太陽は「僕、父さんに水族館へ連れて行って貰える様に頼むね!そしたら烈が大好きなお魚を見ようね!」と励ます 大空は「僕 沢山カニパン用意しておくからね! それとヘルシーな方の井筒屋の羊羹食べようね!」と送る 我が愛する弟よ!僕達がいるから! 僕達が護るから! 兄達の想いは愛しい弟へ向かう 話は竜馬に戻る 竜馬と兵藤は黒づくめの男達に車に乗せられお城みたいな屋敷へと連れられて来た 男達は屋敷に着くと竜馬と兵藤を屋敷の使用人へ渡す 屋敷の使用人は「此方へお願い致します!」と言い連れて行った ドアをノックして入ると、ソファーには烈とレイが座っていた レイは兵藤の顔を見ると「たかち!」と名を呼んだ 竜馬は烈の傍に行き「烈、持って来たよ!」と言った 烈は「ジョセフィーヌ、部屋を用意して貰えないかしら?お風呂に入って着替えたいのよ!」と言うと、ジョセフィーヌは使用人を呼び寄せ 「この方達をお部屋に!」と言った 烈達は使用人に案内されて部屋へと向かった 烈は兵藤に「ボク、ヤードに逝かねばならないから、先にお風呂に入るわね! そして着替えたらヤードに行くから、兵藤きゅんはレイたんをお風呂に入れてやって! 血で汚れてるから綺麗に洗ってやって!」と頼んだ 兵藤はそれで着替えか……と想った 「了解!なら風呂に入って来いよ!」と言うと烈は竜馬と共に浴室へと向かった 竜馬に綺麗に洗って貰うとやっと日常が戻って来た気分になる 烈は竜馬に二匹の白い猫を渡した すると竜馬は「増殖した?」と驚いていたが、綺麗に洗ってやり血を洗い流してやった 白い猫を洗い終わると、烈は竜馬の背中を洗ってやり、皆でお湯に浸かり浴室を出た 入れ替わりに兵藤はレイを連れて浴室へと向かった 烈の髪をドライヤーで乾かすと、猫も乾かし、自分も乾かすと、ベッドの上に正装とナイトの勲章を並べた 「さぁ相棒、正装してヤードへ行くわよ! そして帰国する前に皆でYouTube撮るわよ!」 「烈………」 「デービット蹴飛ばさにゃいとね!」 竜馬は嬉しそうに笑った! そしてその後に「あのさ、どっちがクーなの? そしてもう一匹何で増えてるの?」と問い掛けた 烈は「もう一匹はプーと謂うのよ、あ~同じ白い猫だからね………区別着かないわね クリスに猫の首輪でも強請ろうかしら?」と思案しつつ言う そして想いた立つと即座にクリストファー・オブライエンに「ねぇ、クリス、うちのネコ2匹になったのね、だから区別出来る様に首輪が欲しいのよ!クリス作ってくれない?」とお強請りする 多少のお強請りは可愛いモノだと想い強請ったが………後で後悔するのを烈はまだ知らなかった 竜馬は「プーは喋れるの?」と問い掛けた 「それ、ボク知らなーず!」 烈が言うと竜馬はクーに「喋れるの?」と問い掛けた クーは「喋れるが人見知りなんだよ俺等は!兄達に渡す頃には話し出すだろ?」と言った 兵藤は浴室から出てレイの体を拭き拭きしてやる 烈は「あ、レイたんの着替え忘れた………」と言った 烈は正装を着て胸にナイトの勲章を着けて、竜馬に着崩れしてないか直して貰う 竜馬も正装をして烈同様ナイトの勲章を着けて支度をした 烈は「兵藤きゅん、レイたんの着替え買って着替えさせてくれないかしら? ボクは竜馬と共にヤードへ行くからね!」と言い竜馬に「カードを兵藤きゅんに渡して!」と頼んだ 竜馬がカードを渡そうとすると兵藤は 「カードは良い!レイの服位俺が買ってやる!」と言った 「ならお願いね!兵藤きゅん!」 兵藤は「了解!レイに着替えを買って、一緒にいるから、お前等は頑張って来いよ!」と送り出してやる 「母しゃんとの約束の時間があるからね サクサク片付けて来るわ!」 「俺はジョセフィーヌに頼んでデパートへ送って貰うわ! 買い物の後は俺はマンションの部屋でレイといるから、終わったら飯でも食いに行こうぜ!」と言った 着替えが終わると竜馬は「ならば貴史、このバックはお前の部屋に置いといてくれよ! マンションに着いたら連絡するから!」と言った レイは「れちゅ………」と心配した 烈は「大丈夫よレイたん……大丈夫だから……」と言った 烈は背筋を伸ばすと竜馬と共に部屋を出て行った その後を追い兵藤とレイも着いて行く 竜馬はジョセフィーヌに「ヤードへ行く車と貴史をデパートに送る車が必要となります!」と言うと、ジョセフィーヌは「直に手配致します!」と答えた そして車の手配がされ正面玄関に車が停まっていると連絡が来ると、部屋を出て正面玄関へ向かった 正面玄関には車が3台停まっていた ジョセフィーヌは「私は烈と共に行動するので、ご一緒させて下さい!」と言った ジョセフィーヌは烈の姿を見る 正装して胸にはナイトの勲章を輝かせていた その姿は英国紳士そのもので、正装した理由を知る ナイトの勲章に必要性は感じられないが、ヤードを相手にするならば、円滑に尚且立場を示す必要があるから正装と勲章を必要としたのだな……とジョセフィーヌは痛感していた 子供だとナメたら痛い目見るぞ!と康太は言った ジョセフィーヌは気を引き締めて車に乗った 烈と竜馬も車に乗り込んだ 行先はヤード、羅刹天のモンタージュを作らねばならないからだ 車に乗り込みヤード本部へ向かう車の中で烈は竜馬に謝った 「ごめんね……りゅーま、何かね辛くて竜馬の顔見たくて呼んじゃったのよ」 「別に良いさ!烈が呼ぶならば地球の裏側だって駆け付けて行くと決めてるからな!」 何があった?と聞かずにそんな言葉を掛けてくれる 烈にとっても竜馬は盟友であり友であり愛すべき存在だった 竜馬は泣きそうな顔をした烈を見て抱き締めてあげたいと想った だけど烈は自分の足で立てなくなる事を嫌うから、何も言わず見守る事にした 傍にいるならば黙って手を差し出してやれると信じているからだ 車はヤード本部へと到着し、烈と竜馬は車から降りた ジョセフィーヌも護衛の為に同行するから降りると、共にヤード本部へ入って行った ヤード本部はいきなり現れた正装してナイトの勲章をした存在と女王の番犬に上へ下への大騒ぎとなった 慌てて副所長が出て話を聞く事となった 既に女王の関係者から『これから向かう方々に無礼のない様に!もし無礼を働けば明日の朝日は拝めないと想いなさい!』と釘を差されているのだ それはそれは丁寧な歓迎をして応接間へと連れて逝こうとした が、烈は流暢な英語で『時間が勿体ない!我等は暇ではない!直にモンタージュの作製をしたい!」と言うと烈達を特殊班の所へ連れて行った ジョセフィーヌは特殊班の方々に経緯を話した 言葉も無くす現状に……それでも己の仕事をせねば!と気を取り直し取り掛かる 烈は羅刹天の偽者の顔の写メをPCへ取り込ませ、各国の特徴を取り入れてモンタージュを作製した 目尻一つ取ってもキツいお国と垂れ目系のお国で感じは変わる 金髪や銀髪、外国人でも黒髪や茶髪はいる それに合わせて目の色も変え、変われそうな予想出来る限りのモンタージュを作成する ジョセフィーヌはその各国向けに作られたモンタージュを政治家を通して警戒を促し、各国へと配信する 烈は其処まで終えて、ヤード本部を後にした ジョセフィーヌは正装と勲章は事をサクサク片付けるアイテムとばかりに立場と環境、状況と予想を的確に見定め取っている行動なのだと理解した 烈と竜馬はヤード本部を後にするとマンションへ還った 帰る前に兵藤に「もう直ぐ還るわね!」とラインした 竜馬は「このままYouTube撮る?」と問い掛けると烈は「そうね、でもマンション特定されたくないからホテルで夜景をバックに撮るのも最高かもね!」と言うと竜馬は俄然張り切り 「了解っす!ならばメンバーに部屋を取らせるっす!」とグループラインで一斉送信する事にした 「リーダーがイギリスにいるっす! リーダーは今 正装してるっすから、このままホテルに部屋を取りYouTube撮るっす! 誰かホテルの部屋を取るっす!」 そう送信すると直ぐ様オリヴァーから 『ホテルの部屋、僕が取るね!』と返信があった ヘンリーからは『ならさリーダー、ヘルシーなご飯はシェフに作らせるとするよ!』と返信があり メンバーは『やったー!リーダーに会える!』と喜んだ 烈と竜馬はマンションの前まで送って貰うと、車を降りてマンションへと向かった 烈は自分の部屋へ入ると、竜馬は兵藤とレイを呼びに行った 竜馬は兵藤の部屋に行くと「貴史、ホテルで御飯食べるからスーツで頼む!レイは……貴史に買ってもらったのかい?凄く似合ってるからそのままで良いよ!」と言った レイは英国男児ばりのパリッとしてて、尚且可愛いスーツを着ていた 兵藤は私服数点とスーツを買っていた 兵藤とレイは部屋を出ると、烈の部屋へと向かった 其処にはやけに疲れた顔をした烈がソファーに座っていた 兵藤は「烈、大丈夫なのか?」と想わず問い掛けた 「大丈夫よ………何かねトラウマ刺激されちゃったからね………中々立ち直れないのと、疲れてるにょよ hellへ行く前も結構大変で、hellではトラウマ刺激され、そのままイギリスに来てモンタージュ作製だからね………そして残りは1日しかないのよ 動画取らないと駄目だからね、まだ休めないのよ!」とボヤいた 兵藤は「めちゃくそ強行軍ですがな……」と呟いた 「母しゃんが許可した日数は3日だからね」 …………康太、おめぇめちゃくそ無茶振りしてますがな……と兵藤は想った だがそれだけ予断が許されない状況なのだろう…… 兵藤は「明日には還るのか?」と問い掛けた 「やる事が終わったら還るわよ! ジョセフィーヌにレイたんのパスポートの許可して貰わないと駄目だし………」 レイはクーと共に時空を通り来たから密入国になってしまうのだ……… その時、竜馬の携帯がラインの受信を告げた 携帯を取り見るとホテルの部屋番が書いてあった 竜馬は「部屋取れたみたいだよ!」と言うと立ち上がった 「りゅーまタクシー捕まるかしら?」 「俺が乗せてくから大丈夫だよ!」 「飲まない?」 「飲んだらホテルに泊まるから大丈夫だろ?」 「そうね、なら行くわよ!」 「あ、待って!烈のスーツとジャージと着替え入れてくるから!」 竜馬は兵藤が持って来てくれたバッグを受け取るとリネンの籠に入れて空にすると新しい着替えを詰めて行く そして準備が出来ると部屋を出て地下駐車場まで行き車に乗った 助手席に烈を乗せ、後部座席に兵藤とレイを乗せて竜馬は予約されたホテルへと向かう ホテルに着くと車止めに車を止めチップを渡して鍵を渡した そしてサクサクとホテルに入り、直接エレベーターへと向かう ホテルの中の人間は正装してナイトの勲章を着けた存在に深々と頭を下げお迎えした やっとの事で部屋へと行くと、其処には顔色の悪いデービットがいた 烈は「クーたん齧ってやるのよ!」と言いポッケからヒラヒラのクーのぬいぐるみを取り出すと投げつけた クーは本来の姿になるとガブッとデービットの頭に齧りついた デービットは「痛いから辞めるねんクーはん!」と言った 烈は「前哨戦もまだなのに、腑抜けは要らないのよ!」と叱った デービットはクーに齧りつかれたまま烈に抱き着き泣いた 「リーダーごめん………逢いたくて呟いたらとんでもない事になった!」 烈は「悪いと思うなら働くのよ!デービット!」と言うとデービットは瞳を輝かせ 「了解だよ!リーダー!!」と笑った 「で、働きまくって稼ぎまくって、ボクんちの仮の住居用意するのよ!」 「やっぱお引越しになるのか………」 「トラック突っ込まれ、門扉やドアは強化したけど、知らない人間がわんさか押し掛けられた家はセキュリティ低いからね……」 「静かな環境は壊れてしまった………騒ぎに乗じてなんての狙ってたらご馳走になってしまうやんか ならば引越し先考えてるんか?」 「飛鳥井記念病院の近くに在ったファミレス潰れたからね、其処にビル建てるつもりよ!」 「ならばそのビルの半分、【R&R】が暮らしても良いなら折半で買いたい!」 「出入り口完全に別でセキュリティ万全ならね 考えても良いかもね! 今 飛鳥井の家族は保養施設にいるからね 今後の事を考えにゃいと駄目だからね で、デビはボクんちの仮の住居用意してくれたら、家族に感謝されまくりで、もてなしてくれるわよ!」 とニコッと笑い言われればデービットは俄然やる気になっていた 「了解!リーダー!!用意するよ! 仮の住居!其処に僕も住もうかな?」 デービットが言うと他のメンバーは「ズルい!」と言った 和気あいあいと話が盛り上がり、もう蟠りもない 何時も通りの【R&R】だった 烈は別に家など用意してくれと本気で言うつもりはなかったが、罪悪感を抱いたデービットを蹴り飛ばしやる気にさせる為に言ったのだった 「さぁ動画撮るわよ! ボク早く正装脱ぎたいのよ!」 烈が言うとメンバーは撮影の用意をした メイクが間に合わないからメンバーはサングラスを掛けて自分なりの変装をする為にメイクをする 最近では慣れたモノで少しのメイクならば出来る様になっていた ソファーに向けてカメラをセットする 【R&R】生配信 inイギリスとタイトルを作りサムネを撮り生配信の準備をする そして準備が整うとメンバーは烈の座るソファーの回りに座ったり背後に立ったりした 烈は膝に二匹の白い猫を乗せて撫でていた メンバーは「増殖してますがな……」と唖然となった 竜馬の「はい、スタート!」の言葉に皆顔を引き締めた 烈は「今日はイギリスの地から生配信します! ボクは今、迷惑なファンを語る方々の悪意ある行動の所為で家に帰れなくなりました! 家族も今は家に住んでません! ボク等は【R&R】として活躍しているが、私生活まで皆の晒し者として生きる気はない! 本当のファンならばこんな事はしない! だからこんな軽率な行動は辞めて欲しくて、イギリスの地から生配信をする事にしました! ボクは【R&R】のリーダーではありますが、まだ未成年で初等科4年になる子供なのを念頭に入れて行動して下さい! 親や兄弟の迷惑になるので、今後は軽率な行動は辞めて下さい!」とキッパリ言った デービットも「僕が呟いた事が………こんな大事になるなんて………と悔やんで僕は先程まで入院していました……… 本当にリーダーやリーダーのご家族には迷惑をお掛け致しました!」と言い深々と頭を下げた そして「リーダーの平穏な日常を壊してしまい、僕は悔いて悔いて………泣き暮らしました だが我等は今世紀最大の喧嘩を売らねばならない!こんな泣き暮らす暇などないのだとリーダーに叱咤激励され気付きました! 我等は負けない!そうだろ?リーダー!」と言う リーダーは「【R&R】は負けない!絶対に!」と言う メンバーはその言葉に笑顔になる ヘンリーは「僕らはパフォーマンス集団として注目を集める存在なのは解るが、我等は私生活で注目を集める気は皆無だと申そう!」とキッパリ言う イーサンも「あの暴徒と化したファンの大群が総て【R&R】のファンなのか?も解らないから何とも言えないけど、ファンならば今世紀最大の喧嘩を売るんだから、イベントを楽しみにしていてよ!今回は本当に【R&R】としても初めての事ばかりなんだよ! オーディションやらないと駄目なのに………リーダーの生活がこんなままじゃ………遅れる一方なんだよ! だから皆に伝えたい………どうなファンならば見守って下さい………と!」と言い深々と頭を下げた フレディとダニエルは「「僕らはメンバーと同じ想いだから!」」と言った サムエルは「我等はパフォーマンス集団 【R&R】!陽の目を見るのはパフォーマンスの場だけで十分だから!」とキッパリ言う 竜馬は「我等は遊びで【R&R】として活動している訳では無い! プロ意識の元、皆で何かを創り上げる為に集まり活動している! 我等は私生活まで切り売りしてはいない! 況してやまだ初等科へ通う子供のリーダーの私生活を奪う事は許されしない リーダーは特殊な家に生まれ、子供らしさを百万光年彼方に置き忘れた様な生活を送っているが、世間ではれっきとした子供なのだ! どうか良識のある大人だったり、リーダーよりも年が上の方々ならば理解して下さい! リーダーの家族は今 押し掛けて来る存在の為に家に住む事さえ叶わなくなり、避難しています 何時までこの状況を続ける気ですか? 本当に辞めて下さい!お願いします!」 と言い深々と頭を下げた そして顔を上げると烈と竜馬は立ち上がった 正装をしてナイトの勲章を着けた二人が笑い顔を見合わせると 烈は「オリヴァー!」と謂う 竜馬は「貴史!」と言うと二人はオリヴァーと兵藤が座れる様に開けて座った オリヴァーと兵藤は中央に座った 兵藤は膝にレイを抱えたまま………座った レイはニコニコ笑っていた オリヴァーは「【R&R】の裏方オリヴァーです!大々的なオーディションの書類選考の応募書類を、リーダーが目を通し選別した後、オーディションの開催日を決めるので待ってて下さい!」と言った 兵藤は「オーディション会場はイギリス、倭の国、アメリカの3ヶ国で行います! 今、想ったより凄い応募のあった書類選考の最中です! 【R&R】は猿芸だとかワンパターン集団とか言われ続け、此処で大きな足跡を遺す事にしたのです!無名でも有名人でも応募は可能! だけどメンバーが選んでリーダーが【諾】と謂わない限り、どれだけネームバリューがあろうと落とされる! ワンフレーズのズレさえ聞き分ける音感のリーダーを唸らせられる兵は応募して来いよ!との事だ!裏方からは以上です!」と告げた 竜馬は「と謂う事で緊急生配信になったけど、我等の想いをどうか理解してくれると有り難いです!それではまた、個人配信で!」と言いカメラを止めた 烈はやっと大役を終えて正装を脱ぎ始めた ナイトの勲章をケースに入れ、正装を畳みカバーに入れると私服を出してやった 烈は疲れた顔で着替え「お腹減ったにゃ……」と呟いた 兵藤は「おい、何でクー増殖してますの?」と言った ヘンリーは「あ!この子の名前聞かなきゃ!」と問い掛けた 烈は「此方の目つきの悪いのがクー、そしてクーより少し丸っこいのがプーよ!」と紹介した ヘンリーは父に「クーとプーだよ!名前は!」と送信 プーはジーッと皆を見るだけで何も言わなかった クーは「俺も烈の所へ来て3日は無口だったな… でも烈の野郎がキャットフード食わせやがるから、こんな不味いの食わせるな!と怒ってから話し始めた様なもんだもんな………」と思いだしボヤいた 烈は「猫はキャットフードよ!あれは栄養バランス良いのよ!」と言う だがクーは「腹減ったhellから何も食ってねぇんだよ!」とボヤいた 烈も「そうね、hellからイギリスに来て何も食べてないわね、いい加減お腹減ったわ」と言う オリヴァーは慌てて料理を運んで貰った ちゃんとプーの席も用意され夕飯を食べる クーはワインを飲み楽しそうに話していた プーもワインを飲んでいた 烈はいつの間にか寝てしまい、竜馬は奥の部屋へと連れて行って寝かせた 激動の日々だったのだろう レイはご飯を食べ終わると「れちゅ!」と言い烈を追いベッドにin! メンバーと兵藤は夜更けまで楽しそうに飲み明かした

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