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第78話 滔滔汨汨 ❹
烈は目を醒ますと見知らぬ天井が広がっていた
だが烈の横にはレイが丸くなり寝ていて、烈は笑顔になった
そして少しずつ思い出す
烈は携帯を手にして開くと、ラインが入っていた
両親や兄達のラインに烈は涙ぐんだ
そして祖父母や瑛太や京香からもラインがあった
一生や聡一郎、隼人、慎一からもラインが入っていた
「還りたいにゃ………」
烈は呟いていた
レイが目を醒ますと烈を抱き締めた
烈は涙を拭い「レイたんおはよ!」と言った
「おはよー!れちゅ!」
二人はベッドから下りるとドアを開けた
配信していた部屋には………酔っ払いがゴロゴロ寝ていた
まさか……クーとプーまでデローンと寝てるとは………
烈は竜馬の傍へ行き起こした
「りゅーま!りゅーま!!」
「う〜ん??烈どうしたの?」
竜馬は寝ぼけながらも烈に問い掛けた
「ボク帰らないと駄目なのよ!
ジョセフィーヌにレイたんの事を頼まなきゃ!」と言うと竜馬は
「なら俺が話をするっす!
レイのパスポートの話だよな?」
「そーなのよ!」
烈が言うと竜馬はジョセフィーヌに連絡を入れ、レイがこのままじゃ密入国になってしまっていて、烈と共に飛行機に乗れない事を話した
するとジョセフィーヌは「その件は此方の方でも把握しております!
なので烈様もレイ様も帰国される時は私も同伴致し、便宜を図らせ政府専用機を飛ばさせて貰います!4時頃に迎えに参りますのでお願いします!」と伝えられた
烈は「マンションに還るわよ!」と言うと竜馬はメンバーを起こしてマンションへと還って行った
マンションで4時頃までメンバーと色々と話し、書類選考したりして過ごし、4時少し前にジョセフィーヌが迎えに来ると、烈は立ち上がった
「じゃ、ボクは還るわね
此れよりは熾烈で怒涛な日々となるけど、乗り越えるわよ!」
メンバーはリーダーを抱き締めた
昨日の生配信はかなりの反響があった
イギリス本国ではナイトの勲章着けて……の生配信に騒然となった
ナイトの勲章は受け継がれ引き継がれる勲章ではない
その人に女王が与える勲章で…………その人が死してしまえば終わる勲章だが……簡単に授けられる勲章ではないから……だ
倭の国の者達は【R&R】が、と謂うか烈が置かれる立場に騒然となっていた
週刊誌にすっぱ抜かれたのは周知の事実だが、家に押しかけられ、普通の日常が送れない……
そんな異常さを感じ取って、やり過ぎだ
子供相手に何やっているんだ?
と、家の周りを彷徨く者達に対して辛辣な言葉を投げかけた
飛鳥井建設の社員達は、ここ最近烈の姿を見なかったのは、そんな事情があったのか…………と胸を痛める事となった
【R&R】の動画配信を受けて、翌日のニュースでの話題はその事ばかりが議論されていた
康太はそのニュースを見て「おっ!烈やんか!やっぱうちの子はイケメンやんか!」と親バカ全開に言う
榊原は「正装とナイトの勲章、こう言う肩書って烈が一番嫌いそうですが、効果的に見せましたね
事態の鎮火を狙い、それでも駄目ならば本格的な引っ越しを考えているんですかね?」と動画を見て烈の想いを感じ取っていた
兄達は烈の動画を見て「烈!!!」と弟を想った
だけど動画の烈は遠くへ行っちゃったみたいで………何だか愛する弟と違って………悲しかった
清隆や玲香、瑛太や京香もやはり動画を見て、この事態に胸を痛め何とかしようと訴えている烈の想いを知る
だから「烈、元気に還っておいで!」とラインを送った
一生や慎一、隼人と聡一郎もラインを送った
隼人に至っては「オレ様はオーディションに応募してやるのだ!」と挑戦状とも言えるラインを送った
烈は家族の想いを受け取り、倭の国へ還る時を迎えていた
【R&R】のメンバーは政府専用機を飛ばすと聞き、ならば我等も倭の国へ行こうぜ!と言い出した
竜馬もロードにお願いして3日間の休みをもぎ取り帰国する事を決めた
当然兵藤も一緒に還る事を決めていた
その日の夕方、烈とレイ、【R&R】のメンバーと竜馬と兵藤はジョセフィーヌと共に政府専用機に乗り倭の国へと還って行った
空港に到着すると空港関係者の手により、極秘ルートで空港の外に出た
夕刻に飛行機に乗ったのに、倭の国へ着いた時にはすっかり暗くなっていた
【R&R】のメンバーは最終のリムジンバスがあるからそれで還ると決め別行動となり、烈とレイと竜馬と兵藤はジョセフィーヌのお迎えの車に乗り込み菩提寺まで送って貰った
烈は倭の国へ到着した時に「帰国したわ!菩提寺に還るわね!」とラインした
菩提寺に到着すると、駐車場側に車を停められ、車から降りると康太と榊原が迎えてくれた
ジョセフィーヌは康太の顔を見ると深々と頭を下げ、その場から離れ車を走らせた
康太は「烈、レイお疲れ様!
取り敢えず飛鳥井の家の近辺は落ち着いたらしいから、家族は家に帰ってるから、オレ等も還るとするか?」と言った
烈は母に抱き着くと、何も言わずギュッとしがみついた
康太は我が子を抱きしめ背中を撫でた
そして「さぁ還るぞ!」と言うと烈は顔を上げて笑った
康太は「竜馬も貴史もお疲れ様!」と声を掛けて車に乗り込んだ
榊原の車は皆が乗れるベルファイアだった
ベルファイアに皆で乗り込み飛鳥井の家へと還る
飛鳥井の家の周りは静かになっていた
そして何故か少し離れた場所に警官の待機所みたいな建物を発見した
「母しゃん………あれ………」と問い掛けると康太は笑い
「あれな、犯罪抑制の為に一時的に建てられたらしい、定期的にパトロールも強化されてるし……
一時的にはなんとかなるけど、長い目で見たならば飛鳥井の家に住み続けるのは不可能なんじゃねぇかって………今は想ってる」
康太の視る果てが狂っていたのだ……
当然 建て替えてこの地に住んだとしても……
狂った果てにいるとしたら?
それは変革期の今、吹き出る問題として今後を考えねばならない事となるのだ
康太は「まぁそれも追々話さねぇと……とは想っている………」と言った
烈は「メンバーは久し振りの倭の国だから、リムジンバスに乗ってこっちに来るのよ!」と伝えた
飛鳥井の家の地下駐車場へ車を停めると、車から降りると聡一郎が出迎えしてくれ
「【R&R】のメンバーは横浜駅いるから、今 一生と慎一がお迎えに行ってる!」と伝えてくれた
榊原は家の中へ入ると「春先に暑いかもですが、鍋にしました!」と伝えた
烈達が還って来るから大土鍋で鍋を作り待っていたのだ
少し遅れてメンバーが一生と慎一と共に飛鳥井の家に到着!
皆で鍋を囲み和気藹々と団欒の時間を楽しむ
兄達はクーの顔や足を拭いてやっていて………隣にいる同じ様な子に目を止めた
翔は「……えっと………烈、その子は動画の時膝の上に乗っていた子だね………ぬいぐるみじゃなかったんだね………名前は何というの?」と尋ねた
烈は「この子はね、プー!にーに達の為に遣わされた子なのよ!」とご紹介
「だけど手とか足とかあまり強く拭くと怪我しちゃうかもだから気を付けてね!」と言った
康太は「ひょっとして最新のヤツか?」と尋ねた
クーは「その言い方辞めろよ!何か俺が旧式みたいやんか!」と嘆いた
流生はクーを撫でて「そんな事ないからね!」と言った
プーは「少し位手を拭いても爪は出したりはしないねん!」と言った
烈は「プーが喋った…………でも何か話し方がデビにソックリなのは何故!!!」と衝撃を受けていた
クーが「あぁ、ソイツ、デビと意気投合していて言葉を教えて貰っていたからな!何ヵ国語かは話せると想うぜ!」とサラッと言った
烈は「ボクが寝た後でそんな事してたのね……やられたわ!!」と残念がった
プーは「プー言いますねん!よろしゅー頼みます!」と自己紹介した
家族は爆笑した!
デービットは「何かリーダー怒ってますがな……」と言った
プーは「気にせんでも良いねん!」と受け流し美味しいお酒を飲んでいた
兵藤は「飛鳥井の猫ってクセが強いよな!」と笑った
烈の肩と頭に乗る虎之助と小虎もそうだが、本当にアクが強い子達だと兵藤は言う
烈は「プーはにーにの猫だから面倒見てあげてね!」と言う
音弥は「学校にも連れて行くの?」と問い掛けた
「そうよ、誰かが持ってればプーは対応出来るからね!」
4月から中等部へ上がる兄達の護衛だと烈は言う
兄達は「ならば皆で大切にして行くわ!勿論クーちゃんも大切だからね!」と想いを伝えてくれる
プーは流生と音弥を視て「お前等二人は力の制御の仕方を少し叩き込むねん!」と熱血指導しそうなキャラになりつつあり、兄達は苦笑した
康太は鋭い所を突いて来る猫に
「其処を突いて来るか………制御の仕方………お前が教えられるのか?」と尋ねた
「誰にモノ言うてますねん!
吾輩は出来ない事は口にはしない!」
プーはすっかり飛鳥井や家族やメンバーに馴染んでいた
康太は「ならば頼むな、お前は翔達の為にいる存在ならば、前を向ける様に導いてやってくれ!」と頼んだ
プーは「ど~んと任しときなはれ!」と笑った
クーは「デビの所為でアクの強い猫になってるやんか………」とボヤいた
大空は「クーちゃんはクーちゃんだから!
僕達の大切なクーちゃんなのには変わらないわよ!」と言いお顔を拭いて貰っていた
烈は「小虎がボクの頭の上で寝ちゃった!」とボヤくと太陽が小虎を下ろしてやった
お座布の上に寝かせると虎之助を横に置いた
榊原は「良くもまぁ頭の上で寝られますね……」と呆れていた
その夜は久し振りの楽しい時間となり、家族は安堵の息をやっと着けた
この先引っ越しするにしても、大変な日々なのは間違いなしだが、皆がいるならば、家族がいてくれるならば、乗り越えられない壁はない!と想っていた
烈は疲れも重なって早々に眠気に負けて寝落ちした
流生は烈を背負い客間を後にした
烈の部屋へと向かいベッドの上に烈を寝かせると、パジャマに着替えさせ、着替えをリネンの籠に入れ部屋を出て行った
烈は疲れ切った体を癒やすべく深い眠りに着いた
烈は翌日の昼近くまで眠っていた
起きた時には寝ぼけ過ぎてて少しの間ボーっとしていた
だが段々意識が明確になって来て、烈は起きた
起きて風呂場へ行きシャワーを浴びて着替える
着替えをリネン籠から取り出してネットに入れ、明日洗って貰える様に準備する
そしてスーツに着替えると、キッチンまで降りて行った
烈の分と書かれた昼食をラップを剥がしチンして食べる
昼を食べていると竜馬がレイと兵藤と共にやって来た
兵藤は「起きて大丈夫なのかよ?」と問い掛けた
烈は「大丈夫よ、少し怠いけど動けない程じゃないからね!今日は会社に顔を出し様子を見たら、母しゃんと話をしないと……だから!」と忙しそうに言う
竜馬は「書類選考に隼人がギリギリ応募して来たみたいで、メンバーはめちゃくそ喜んでいたっす
今はメンバーはマンションの方に移り、3日間は皆で動画撮る気満々でいるみだよ!」と伝えた
「少し会社に顔を出して夕方にはマンションに行くわ!」と伝えた
昼を食べ終えると烈はケントを呼び出し会社へと向かった
忙しそうに出て行く烈をレイは寂しそうに見送り
「れちゅ………」と呟いた
兵藤は何も言わずレイの背を撫でてやった
竜馬は「さてと俺はマンションへ移るっすが、貴史とレイはどうするっすか?」と尋ねた
兵藤は「俺もマンションへ行くとするわ!」と言うと竜馬は兵藤とレイを乗せてマンションへと向かった
この日はレイも書類選考に当たる為だった
烈は会社へと顔を出すと3階までエスカレーターに乗り社内を歩いて見て回った
途中、城田が烈を見かけて「烈!!帰っていたの?昨日の生配信はイギリスにいたよね?」と問い掛けて来た
烈は「昨夜遅く還って来たのよ………まぁ怒涛の日々だったわ……」とゲッソリ言う
烈が会社に来ていると噂を聞いた栗田と陣内がやって来て、烈を抱き締めて泣いていた
烈は「ほらほら、お仕事中よ!」と言い発破を掛けると、涙を拭い仕事に戻った
遠くからそれを見ていた社員達は、烈の姿に何と声をかけて良いのか?………解らずにいた
動画は何度も見た
ニュースでもノーカットで動画が流されていたからだ……
烈は社員達に顔を見せ、最上階へ上がるべく5階からエレベーターに乗り込んだ
最上階へ行くと社長室のドアをノックした
かなり低めのノックに康太はドアを開けた
「寝てなくて大丈夫なのかよ?」と康太はドアを開けて問い掛ける
「怒涛の日々に突入する前に、少し話を……と想っているのよ!」
「だな、オレも今日が無理ならば近いうちに話をしようと想っていた所だ!」
康太は烈を招き入れドアを閉めるとソファーに座らせた
康太もソファーに座ると、榊原は秘書に内線で
「珈琲と紅茶と薄めのジュースお願いします!」と頼んだ
暫くすると西村が其れ等を運んでやって来た
康太の前に紅茶、烈の前に薄めのジュース、榊原の前に珈琲を置くと一礼して戻って行った
康太は足を組むと覚悟を決めた瞳を烈に向け
「やっぱ………オレの視て来た果てが悉く……狂って来てるんだなって………トラックを突っ込まれた辺りから痛感している!」と切り出した
烈はその覚悟の瞳を受けて
「あの地にこれ以上飛鳥井が住むのは……近隣住民も不安に想っている!
この先……些細な事が起きれば、出て行けと謂れ兼ねないとボクは想っている………それが現実で間違いないかしら?」と確かめる様に言葉にした
「あぁ間違っていねぇ……その通りだ
今までも隼人のスキャンダルや、オレの伴侶が男だとすっぱ抜いたスキャンダルにより、野次馬やパパラッチがウヨウヨ湧いて出たかんな、近隣住民は迷惑していた
そしてお前が初等科入学の前から、暦也が巻き起こした騒ぎで多国籍の男が彷徨く現状に不安視する発言は出ていたんだよ!
それを証拠に飛鳥井の道向こうの家は、数件引っ越して行ってしまって………今は空き地と売家の看板が出ている状態になっちまっている
何軒は転勤や相続税が馬鹿高く売り飛ばしたってのもあるけど、娘さんが怖がって還りたくない…………と引っ越した話は近隣住民には有名な話しだかんな……」
「でも……あの地を引っ越したら裏の兵藤きゅんちの美緒たんはショックよね……
そして今、あの家に再び引っ越し家を建てる財力はないわ!」
「だな………美緒の会社も一時期の威勢はねぇからな、そして貴史が政治家になるまでに……あと一歩足りねぇかんな………現状維持しか無理だな!」
「だから、其処までは遠くへは行けない
でも現実的に飛鳥井の家は弥勒や紫雲、母しゃんの結界で何とかなっているだけでセキュリティ的には低いのよ!」
「あ~其処突っ込むか………それはオレも痛感している!
真矢さん達の家を見て飛鳥井ってセキュリティ低くない?って想ったし……セキュリティが高ければ源右衛門は殺されなかった………と今も想っている!」
「………それは違うわよ、母しゃん
其処へ結びつけるの辞めてね、源右衛門はセキュリティ高くても、あの日あの時、死す運命だったのよ、人の運命は変えられない
刺されなかったとしても、病か事故で逝く運命だったのよ!」
「烈…………」
「過去の後悔は引きずらないのよ母しゃん!
でないと前に進めず、立ち止まり後ろを振り返っちゃうから!
そりゃ後ろを振り返るのは大切な事よ
でも今は進まなきゃならない時だから、断ち切り逝くしかないのよ!」
「解ってんよ!烈……」
「2年を目処に引っ越しするわよ!
今の家はローン残ってるのかしら?」
「隼人がめちゃくそ頑張ってくれて世界的に有名な企業数社とCM契約して、その契約金で支払いは終えてる!
親孝行の我が子が建ててくれた家なんだけどな……」
「母しゃん、ならばボクが親孝行してあげるから、そしたらまた親孝行な我が子が建ててくれた家に住めるわよ!」
康太は烈の言葉に姿勢を正すと
「目星つけてる土地あるのかよ?」と問い掛けた
「母しゃんはボクの駒だった男、覚えてる?
土地転がしさせたらピカ一の天才の【転がしのテツ】ってヤツ!
今はね飛鳥井廉斗と謂う名前で、奇しくも神威と同い年で、神威の学友でガード下の飲み仲間してるヤツなんだけどね
母しゃんが通い続けたファミレス覚えてる?
あの土地を買い叩き手に入れてくれたのよ!」
飛鳥井哲太 別名 転がしのテツ
彼はその地を見るだけで【価値】を見出し土地の運用をして来た男だ
その男の力があればこそ、宗右衛門の事業は成り立っていられ、飛鳥井建設も土地の入手に困る事なくやって来られているのだ!
そして……時代の流れに乗れなかったファミレスは閉店となり系列店総て閉店となり、運営会社は倒産した
厳しいコロナ禍を生き残りを掛けて持ち直そうとしたが…………住宅街に建つファミレスの客足は年々途絶え倒産したのだった
康太は「テツならば知ってるぞ!神威と同い年で……って………お前が生まれるべき運命はズレてるのが丸わかりやんか………で、そのファミレスがどうしたのよ?」とボヤいた
「テツにファミレスの土地を買い叩かせ、系列店の土地を幾つか手に入れさせたのよ
で、あのファミレスの地にセキュリティ万全のビル建てようかしら?と考えてるのよ
それを飛鳥井の家にする計画、実行しようかと、母しゃんに相談中にゃのよ!」
康太はファミレスの敷地を思い出し、店舗、駐車場全てひっくるめてかなりの土地だと思い浮かべた
「かなり広い土地だよな?それ総てビルにする気か?」
「地下2階、地上5階建てのビル建てるのよ!
セキュリティを特化させ建てるのよ!
にーに達が妻子を娶ってその子に引き継ぐまでは、住める家を建てるわよ!」
「5階建て?何故に?あんなに広いなら平屋でも間に合うじゃねぇかよ?」
「母しゃん、平屋だと音は横に漏れるわよ!
そしたら家族やちっこいのまでも、母しゃん達の新婚の音漏れ聞こえちゃうわよ!」
そう言われたら平屋は止めとこう……と想う
「まだ決定でも確定でもないけど、あのファミレスの周りは飛鳥井記念病院の裏って言う事もあり住宅街と謂うよりオフィース街に近いからってのと、少し先に警察署あるからね
変なの彷徨いたら即分かる利点もあるのよ
じぃたんちにはもっと近くなるけど………兵藤きゅんちは遠くなるのよね………」
「歩いて行ける距離ならば母ちゃんも美緒も納得するだろうさ!
ならば其処に移り住むとして、何年掛かる?」
「更地にしないと駄目だからね、2年は必要かしら?」
「…………2年か………2年彼処に住めるかな?」
「難しかったら他を探さないとならないのよ
我が家は大人数だから………ワンセットで貸して貰えるか?が、問題なのよね!」
「だな………あの家はじぃちゃんの想いもあるし………壊したり売り飛ばしたりするのは………嫌だな……」
「ならばボク等が引っ越したらしづちゃんに貸し出せば良いにょよ!
そしたら神威も有栖連れて住ませれば大切に受け継いでくれるでしょ?
そしてしづちゃんに頼んで預ける子がいるならば部屋は多い方が良いからね!
リフォームして玄関や入口分けて住み分けすれば不可能じゃにゃいわよ!」
「そしたら病院の上の部屋、売りに出せるな!
んなに部屋を持ってても仕方ねぇかんな!
そもそも今世は………と謂うか宗右衛門が消えていなくなったから……頼れねぇからマンションや部屋を幾多と持っていたんだけど、もう宗右衛門いるし、オレが持ってなくても大丈夫だよな?」
「そうね、部屋ならば多少ならば用意出来るし、今 神威が住んてるビル、弁護士事務所が入っていたんだけどね、ビル買って移動したからね
本当なら神威も移動して貰い、建て替えしたかったのよ!
だからしづちゃんちで引き取って貰えるならば、建て替えも出来るし助かるのよね!」
「ならば資産整理するから、そのお金を新居の建築費用の足しにしてくれ!」
「それは助かるわ
あ、そうそう、九鬼がやっていた病院の跡地、ビルが建ったのよ!
一階は宗右衛門の事業の薬局が入ってね
2階と3階がディサービスが入ったのね
で、4階から上、10階まで特養老人ホームにしたのよ!」
と貰った土地は、その土地に合わせて活用していると母に報告!
康太は「今の時代に特化してるやんか!」と感心していた
榊原は仕事をしつつ二人の話を聞いていた
が、暫し疑問に思い口を開いた
「あの、少し良いですか?」
問い掛けられ烈は「何ですか?」と聞いた
「【R&R】とオブライエン©Japanの建設予定地の横にどうして医療ビル建てるのですか?」と問い掛けた
「あれはね開業したい医者をくどーせんせーが募ってくれたのよ!
耳鼻科と泌尿器と皮膚科と小児科をメインに募集したのはね、くどーせんせーの病院へ休診日に診察に行きやすくする為にゃのよ!
総合病院に母しゃんと一緒に行き見回りしたら、頭痛して来る医者がワンサカいたからね
キッチリ正して来た恩を受け取らなきゃ!って医療ビルに応募する医者を探して貰ったのよ
総合病院も全面協力してくれ、3つの病院で協力体制を取り、緊急時の受け入れをする事を条件で何とか成立したのよ!」と説明
そして更に続ける
「しかもあの医療ビルが入る土地、飛び降り自殺が多発してて廃ビルになっててね
何度建て替えても飛び降り自殺や部屋での自殺もなくならないって言うから医療ビルならどうかしら?って想ったのよ、安かったし
まぁね……ウヨウヨいたわよね………母しゃん
彼岸もあやふやだったし………」
と烈はウンザリとした顔でボヤいた
康太は「だな、ウヨウヨ湧くから臭いし、纏わりつくかんな!
んとに嫌で燃やしまくっちまったもんな!」とボヤいた
榊原は本当に似たもの親子は一緒にいるとロクな事しない!!と想った
「今後は………霊障とかないのですか?
医療ビルで飛び降り自殺だなんて縁起悪いですよ!」
榊原が言うと烈は「今後はないわよね?母しゃん!」と問い掛けた
康太は「おう!今後は霊なんか寄り付きたくねぇ清らかさだもんな!
めちゃくそレイが頑張って清めてたもんな……
だから死にたいと言う奴も今後は出ねぇよ!」と言う
「ならば今後は安心ですね!
あ、君がhellとイギリスに行ってる間に飛鳥井設備株式会社の社長さんがご挨拶に来てくれました!
お義父さんがエスカレーターのメンテの契約をしたとかで、書類を持って来られました!
我が社は正式に契約した事を報告しておきます!
それと清和鋼業、特許は死守していました!
特許以外は総てが適当に入ってました
私財は宛には出来ません、総て抵当が付いてますから……諦めるしかない
裁判所の方は実務は元妻側の親族が握っていた事を把握していて追求し、もと妻側の親族も資産を総て差し押さえたそうです!
今の会社も無論抵当が付いてます
ですが、和実さんは特許を死守して、着いて来てくれる社員達と希望を繋げたいと言って来てます
暦也に調べさせたら、報告書と相違ないので、真摯に真実を述べているのだと想います!」
と報告した
烈はそれを聞き「ならば盤上に上げて動かさないとね!」と言った
康太はそんな烈の言葉を聞き、ずっと表に出ない存在を口にした
「なぁ烈よ、豊の弟の忠は今後は表舞台には出ねぇのか?」と問い掛けた
「もぉね表舞台に出てるわよ!
さっき話した九鬼の病院跡地に建ったディサービスと特養老人ホームの管理運営は忠が社長となり回しているからね
そして豊、忠兄弟と朔人達はね、何時か悦郎が社会復帰を出来る日を夢見て今もサポートしているのよ
一人じゃ乗り越えられない事だって皆で力を合わせれば乗り越えられない壁はない……と、信じてね」
そうなれば良い未来を口をして紡ぐ
康太は「皆が支えてやるならば、乗り越えられない壁なんてないさ!
オレも伊織もこれからは協力する!
だから皆で支えようぜ!
そして何時か………善之助に忠………ちゃんと…合わせてやれよ!」と言う
「そうね………何時か合わせたいわ………ぜんちゃん………逢ってくれるかしら?」
地鎮祭の時、あの二人は同じ場にいたのに………目も合わそうとはしなかった……
まぁ常に綺羅三姉妹の周りはマスコミがまとわりつき取材していたから………寄る事さえ無理だったけど………
「きっとアイツだって逢いたいだろうさ………今まで尽くしてくれた忠義までは忘れちゃいねぇかんな………あの洗脳のテレビで見て知ってる奴ならば顔にボカシ掛かってても東城の弟だって解るだろうし………善之助だって気づいてるさ!
不幸な………出来事だったんだよ
誰が悪い………なんて和華子と結婚した今ならば言わねぇだろうさ!」
「そうなら嬉しいわね………」
「あ、それとそろそろ神野達と連絡取ってやれよ!毎日毎日飛鳥井の家に来てたし、メールや電話鳴り止まねぇんだよ!
後 若旦那にも連絡してやってくれ!
週刊誌飾っから心配して電話して来てるんだよ!」
康太はボヤきつつ言った
「解ったわ、ボク名義の携帯で連絡取るわ!」
烈が答えると、榊原が「榊原の祖父母の方も連絡して下さいね!
生配信の動画見たとかで号泣でしたから!」と頼む
「解ったわ、これでボクは還るわね!
【R&R】のマンションへ行き書類選考やらないとならないのよ!」
「おっ、そろそろ完全覚醒の儀を視野に入れて動いてるんだろ?」
「そうね、それを終えてやっと一息にゃのよ!」
康太は「あー!!」と思い出し
「若旦那、部屋の譲渡お願いします!との事だ!
で、譲渡されて以降の費用は幾ら位掛かるのか?
詳細が聞きたいとの事だぜ!
すまん、真っ先に言わねぇとならねぇのに忘れてたわ」と言った
烈は「自社ビルの譲渡だけど、管理費やメンテ代はいるのよ、今は管理費とメンテ代が幾ら掛かるとかの詳細は解らないけど、家賃要らないからね
家賃よりは安くはなるわよ!
あの新築で2フロア借りるとしたら、かなりの金額は支払わないといけないからね
総て無料でサービスしときます!とは行かないのよ、他がそれ知ったらなら自分達もそうしろ!と言い出すからね…………
難しいわね………譲渡しない方が円滑な関係だったかしら?」と人付き合いの難しさを口にする
康太はそんな我が子をそっと抱き締めて
「んな哀しい事言うなよ!
あの話題のビルを借りるとしたら、かなりの賃料は必要となるのは理解している
地鎮祭の時に管理費やメンテ代は幾ら掛かるのか?と言っていたから、理解していると想う!
まだ建ってもいねぇかんな、費用は解らねぇとも言ってあるかんな
追々話していけば大丈夫だ!」
「多分、主要なビルは2年だけどトータルで他のビルを入れると3年近くは掛かるってのが、なっちゃんとえーちゃんの見解よ!
これからは本格的なビルの建設になるから企業共同体を結ぶ建設会社を選ばないとだし、父しゃんもこれから社長としてかなり忙しくなるわね」
と今後の見通しを口にする
榊原は「副社長となる綺麗は妊娠中ですよね?怒涛の忙しさを妊婦が乗り切れるか……不安なのですが?」と予想外の事態だとボヤく
「あれね、ボクも予想外にゃのよ………
だからしづちゃんを副社長に据えるしかないのよ…………栗栖の立場の存在を見付けたら繰り上げで栗栖を副社長に据えれるけどね
まだレイたん達ちっこいのも勉強や送り迎え必要だからね………」
烈が言うと康太は「だよな………大きな腹じゃ副社長は無理だな
産休 育休取られたら副社長やる1年がすっ飛ぶもんな…………
予想外か………だよな、誰もが綺羅三姉妹の結婚と妊娠を予想出来る筈ねぇよな………」とボヤいた
烈は遠い目をして…………
「東城の星を詠んだ時に妻とは正反対の存在と知り合い結婚するかも?とは出ていたけど、何せ本人達が不安定な未来だったから詠み切れてなかったのよ!
綺麗が東城を、美麗が弟を、綺羅が蔵之介を殴り飛ばし説教し、泣きながら一晩中説教した……あの時………風向き変わって恋に落ちたのかしら?
あれれれ???と想った時には生きる気力に満ちてたから、まぁ良いか………と想ったんだけどね
ボクの敷いた未来が狂って来ちゃってるのよ…」
烈の苦悩が垣間見られる
一人で生きて行くにはあまりにも辛くて刹那過ぎるから、人は誰かを愛して共に逝こうとするのかも知れない
一人だと一歩も歩けなくても………愛する人がいてくれれば立てるのだから
榊原は「最悪 西村を副社長に据えても良いので、深く考える必要はありません!
ちっこいのも日々スクスク育ってますし、サポートは欠かせませんからね!
栗栖が繰り上がるなら世話してくれる存在は康太が探してくれるでしょうから、心配しなくても大丈夫です!」と烈の負担を軽くしてやる
康太も「会社の事はオレ等もいるから大丈夫だ!
世話してくれる存在も探しておくから、後は追々微調整して逝けばなんとかなるかんな!
それよりはお前は夏に向けて全力で進んで逝けよ
大きな足跡をドカッと遺してやれよ!
オレも伊織も家族も……全面協力してやるかんな!
アメリカで行うイベント、全員で一度は見に行くかんな!」と背中を押してやった
「母しゃん………」
榊原も「問題山積ですが、一つずつ片付ければ良いんです!
我が子は片付けは得意なので、皆で力を合わせれば乗り越えられない壁など存在しません!」と背中を押してやる
「父しゃん………」
両親の愛を身に受けて背中を押され歩き出す
烈は立ち上がると「メンバーは明後日に帰国するわ!それまでは飛鳥井で食べさせて下さい!」と言った
榊原は笑って「無論です!今夜は何を食べますかね?」とおもてなしをする料理を思い浮かべる
烈は笑って社長室を後にした
烈を見送り榊原は「運命を変えられたのですか?」と問い掛けた
康太は笑って「違げぇよ!烈は破天荒な綺羅三姉妹の未来なんて端から詠んでねぇんだよ!
さっきも言ったやんか!
東城の星を詠んだ時は………って、星は本人の運命とリンクしているんだよ
己の足で立てねぇ奴の未来は映し出してはくれねぇんだよ!
そして本当に綺羅達姉妹は飛鳥井と謂う枠の中に閉じ込められるのが嫌で、高校出るなり家を出て大学は己の力で稼いで出た奴等ばかりなんだよ
美麗なんかアマゾン制覇して来る!と一族に宣言して行方不明だ……死亡説まで出てたの知ってるやんか!
オレも綺羅三姉妹の未来は視ねぇよ
思い立ったら決まった未来さえ踏み付けて出て行く奴等だかんな………視るだけ無駄だからな…
しかも綺羅達の親は【本家】支援派の連中でな、男尊女卑が強い親だったんだよ
【本家】を断つ前には三姉妹は、飛鳥井から離れた
綺麗だって天宮と結婚して一度は飛鳥井から戸籍が抜けてるかんな………
それでも飛鳥井へ戻って来たのは……宗右衛門がいたからだろう………
宗右衛門が切り開く明日の飛鳥井の為にならば礎になってやる気概で出戻りし、宗右衛門は承認した
アイツ等の親は………飛鳥井へは戻れねぇのにな………」と初めて聞く綺羅三姉妹の話をしてくれた
榊原は「初めて聞く話です!」と言った
「飛鳥井の闇の部分だかんな………言えねぇよ……
昔はもっと酷かったの知ってるやんか……
何度、宗右衛門と共に正しても、死した後好き勝手されて来たかんな………
しかも綺麗達はそんな飛鳥井の犠牲者だ…………
アイツ等の親は本家に踊らされ、真贋を産ませる為だけに政略結婚までさせられていたんだからな……愛もへったくれもない夫婦は本家の消滅と共にバラバラになったんだよ
何でもかんでも思い通りにさせ、【諾】と謂わねば消して来た腐った一族の話なんて……出来たらしたくねぇよ
だけど綺羅三姉妹の話をするならば、一度は言っとかねぇとな………と想いしたんだよ!」
榊原は綺羅三姉妹は、だからあんなに強くて、芯が通った心を持つのか……と理解した
榊原は果てを見て「我が子に継がせる飛鳥井は少しでもクリーンな環境になって貰いたいですね!」と言った
「だな、だからオレは必死こいて来たんだよ
でも、やっぱし宗右衛門がいるかんな
任せられる部分は任せるに限るな!」と悪戯っ子みたく笑った
とても可愛い笑顔に榊原の股間は熱を持ち熱くなるのだった
「あ~食べてしまいたい!」
想わず口に出る欲望
康太は無言で机の上の山の様な書類を指さした
あぁ………こんな書類燃やしてしまいたい!!
そう想いながら榊原は我が子に継がせる明日の為に、せっせと仕事を片付けるのだった
会社を後にした烈は両親に作って貰った携帯で神野に電話を入れた
その番号を知らない神野は少し警戒して
『もしもし!』と電話に出た
「あきましゃ?ボク、烈!話があるから事務所に行っても良いかしら?」
急に烈からの電話に神野は言葉もなかった
「あきましゃ!!聞こえてる?
怒ってるのかしら?…………」
悲しそうな声にやっと神野は正気に戻り
『烈!!ずっと電話を待っていたんだよ!
お前………今 イギリスじゃねぇのか?』
確かに昨夜の生配信の後ろの窓にはエッフェル塔がライトアップされ映し出されていた筈………
「夜には還って来たのよ!
めちゃくそな強行軍で帰らなきゃならなかったのよ………母しゃんが3日しか時間くれなかったから、他事に2日も使用したから残り1日で生配信して帰って来たのよ!」
聞くだけでも大変な………そう謂えば竜馬と兵藤が狙撃されたと聞き飛鳥井へ駆け付けた時に、3日時間をやるから………的な話をしていたな……と思い出す
「でね、あきましゃ話があるのよ!
これから事務所に行っても良いかしら?」
『おー!何時でも良いぞ!
今日はずっと事務所にいるからな!』
そう謂うと「ならこれから向かうわ!」と言い電話を切った
母には「これから神野に逢って来ます!」とラインで送信し、ケントを呼び出して会社を後にした
ケントは烈を三社共同事務所へと向かった
ケントは烈を事務所の前で下ろすと
「終わる前に連絡下さい!
そしたら迎えに来ます!」と言い走り去った
烈は事務所の中へ入り受付けスタッフに「飛鳥井烈です、神野社長にアポは取ってあります!」と言うと、受付けには連絡が通っていて
「どうぞ!エレベーターで上がって下さい!」と言った
烈はエレベーターのボタンを押すと、直にドアが開くと、エレベーターに乗り込んだ
3階に止まると烈はエレベーターから降りた
事務所のベルを押すと小鳥遊がドアを開けて応接室へ通してくれた
応接室には神野、須賀、柘植、相賀が待ち構えていた
皆………目が座ってて少し怖かった
小鳥遊は烈をソファーに座らせて飲み物を用意しに向かった
須賀は「ここ最近、私達と距離を取っていましたね……それは何故ですか?
私達は地鎮祭に呼ばれなかったし………」と少し拗ねて言う
柘植も「私もずっと烈とお茶がしたくてラインや電話していたのに………ある日突然携帯が繋がらなくってしまい………君を怒らせる事をしたんじゃないかって悔やみました!」と涙ながらに訴えられた
神野も「話してくれねぇか?」と言う
烈は「………小鳥遊が病に倒れた辺りから………ボクはね悪意の匂いを感じていたのよ………
そして堂嶋に蠱虫を寄生させられ一度息の根を止めて生き返らせた時にね、正義しゃんの大切な存在が入院してるって聞いて……それは確信に変わったのよ
そして………何より飛鳥井の未来が今世で途絶えるかも知れない現実を目の当たりにして、ボクは竜胆の魂の覚醒の儀を優先にする事にしたのよ
総てをストップして総てを竜胆の覚醒の儀の為に注いだ………その間は誰とも連絡を取る気はなかったのよ………また巻き込むかも知れないし、何よりボクに心の余裕はなかったのよ………」と話した
相賀は「ならば覚醒の儀は終わられたのですか?」と問い掛けた
「まだ完全覚醒の儀は残ってるし……問題は山積してるわ!
でね、地鎮祭呼ばなかったのはね、ボクもね悩んでいたからなのよ
ボクとの関係性はハッキリ言ってマイナスよ
断ち切った方が良いに決まってる
でもね皆とお茶したり、飛鳥井の家で宴会やるのはとても楽しいからね……出来なったのよ」
烈が本音を吐露すると神野は泣きながら
「俺は離れねぇからな!
マイナスでも俺は構わねぇんだよ!
誰に何を言われても俺は………」と訴えた
小鳥遊は神野にタオルを渡し
「考え直して下さいませんか?」とお願いした
「たかなち………」
「僕らは康太や君がいてこそ果てへと繋がれたと想っているんです!
だから断ち切らないで下さい!!」
そう言い小鳥遊も泣くから………烈は困った顔をした
相賀は「残り少ない儂の人生から烈が消えたら………相談役なんてもうやらない!」とシクシク泣かれた
「あのね、あきましゃ、今日はね事務所の名前変更しないかって来たのよ!」
「え?事務所の名前?今のじゃ駄目なのか?」
「きょーちゃんの事務所、Effort芸能事務所にしたのは耳障りと知名度上げる響きがあるのよ」
「烈が言うなら変える!」
神野は即答した
須賀も「ならば私の事務所も変えて下さい!」と申し出た
烈は紙を数枚テーブルの上に置いた
Le Lian(絆) Unite(一致団結)Pour vous(あなたのために)Ever Yours(あなたの友である)
Speranza(希望、願望 期待)
「この中から選べと言ってるんじゃないのよ
自分の今の事務所の名称と比べて耳障りが良いでしょ?と言う意味で出してるだけだから!
タレントの紹介の記事とか事務所の名前が載るからね、その時はやっぱ聞こえの良い名前が一番なのよ
あ、それ、フランス語とイタリア語、英語とか混じってるから!」
神野と小鳥遊と須賀は紙に釘付けになっていた
小鳥遊は「この中の貰っても構いませんか?」と問い掛けた
「構わないわよ、それともう一つ話があったから来たのよ!」
と烈が言うが聞いちゃいなかった
柘植は「私がお聞き致します!」と言った
「きょーちゃんは地鎮祭の映像TVで見たのかしら?」
「はい、あの場にいられなくて残念でした……」
「あれはね半分がマスコミを招待したから警備上、招待客減らされたのよ
クリストファー・オブライエンが来日して来たからね………警備に人数持って行かれたのよ
そしてやっぱし……ボクの傍にいると危なかったのもあるのよ
覚醒の儀は無事に終わったけど神威と弥勒ともう一人の助っ人は切り裂かれ、傷だらけで入院を余儀なくされていたのよ!」
柘植は「え?神威に連絡付かなかったのは忙しかったんじゃなく入院してたからなんですか?」と驚いていた
「ボクも神威達も一週間入院したわ!
神威と弥勒は今も消毒に行ってるわよ
傷跡が痒くてかいて化膿させたからね
そんな何処で狙われてるか?解らない状態だから距離を取るしかなかったのよ」
言葉もなかった
須賀は「それでも地鎮祭出たかったです……」とボヤいた
「クリスが来てるから警備体制は重々しいし、イギリスから魔術師や国際警察とかも周りを取り囲んでて………そんな所………あんましいたくないわよ
ボクなんか地鎮祭の後の祝賀会早めに出てホテルの部屋で父しゃんのお弁当食べてたにょよ!
でももう地鎮祭は出られないから、完成披露の時は呼ぶわね
そしてボクの話はこれからなのよ!」
烈が言うと神野と小鳥遊と須賀はソファーに座り直した
烈は1枚の紙をテーブルの上に置いた
皆はその紙を見て「これは?」と問い掛けた
「これはね【R&R】とオブライエン©Japanのビルの完成予想図なのよ!
ココ見て、このビルはね、【R&R】がスタジオとして使う一番大きな建物になるのよ
この予想図のココ見て!」
烈はそう言い指で指し示した
「ココ入口分かれてるでしょ、このビルは30階建てのビルになるのよ
このビルのこっちの入り口から入る5階迄を三社共同事務所に譲るわ!
そしたらこのビルは貰うから、譲ると謂うよりも交換かしら?」
ニコニコと言われて言葉もない
烈は更に続ける
「5階迄のスペースでも、このビルよりは広いわよ、そしてセキュリティに特化してるからね
どうかしら?考えてみてくれないかしら?」
神野は「どう考えてもお前が損する話だぜ!」と言った
「あきましゃ、ボクは損得とかあんまし考えにゃいのよ!常に最適解を求めて行動出来るか否か、それしかないのよ!
まぁ2年後ビルが建ってからの話になるからね
それまでに考えてくれたら良いのよ!」
須賀は「地鎮祭の時のワイドショーの話では、一般企業の募集はない!との事ですよね?
そんな中に蔵持運送株式会社が入る事は既に決まっているとお聞きしました!」と問い掛けた
「ぜんちゃんには………菩提寺が燃やされたとき、骨董品を売って建設資金にしても良いと………言ってくれたのよ
会社の為のお金以外は総てボクにくれたのよ……
だからボクはぜんちゃんに報いる為に、ぜんちゃんの会社のビルを建ててあけると約束したのよ!」
持ちつ持たれつ、助け合って来たと言うのか……それならば納得だった
「ボクはね、直くんやきょーちゃん、あきましゃや、おーちゃんの事務所は、【R&R】のビルを建てるならその中に入れちゃおうと考えていたのよ!四人には沢山協力して貰ったしね
それにタダであげる訳じゃないのよ、あっちのビルに移動したら、このビル貰うし、ブツブツ交換にゃのよ!」
相賀は「ならばブツブツ交換致しましょう!
皆もそれで異論はないか?」と問い掛けた
神野は「異論なんかあるかよ!ブツブツ交換の対価にもならねぇのに………大丈夫なのかよ?」と言う
烈は笑って「あのねボクねあのビルの横に医療ビル建ててるのよ!
10階建ての医療ビルにゃのよ!
おーちゃん、その上にお部屋あげるから住んだらどう?何かあった時即座に対応して貰えるわよ!
まだまだ元気に生きて貰わないとね!
きょーちゃんがお嫁さん貰ったら、孫の面倒見ないとね!」とまだまだ楽にさせる気は皆無な言葉に相賀は嬉しくて笑った
「そうじゃな、柘植の嫁を探さねばな!
誰かおらぬのか?好いた奴とかおらぬのか?」
相賀は柘植に問い掛けた
柘植は困った顔をして「そんな時間……中々なくて………」とボヤいた
烈は「そろそろ出会える筈にゃんだけどな………???」と首を傾げた
柘植は「え!!誰と???」と驚いて問い掛けた
「それは内緒、そしたら直くんとタブルで挙式………いや、あきましゃも挙式あげようよ!」
烈にそう言われ神野はたらーんとなった
神野の恋人は男なのだ………それを知らないのか?
困ったなどうやって説明しよう………と悩んでいたら
「たかなちの、花嫁衣装なら似合うの由香里が探してくれるから!」とサラッと言う
知っているのか!!
驚きだった
小鳥遊は「僕が花嫁衣装………それは嫌です!」と言った
「あきましゃ見たいのに?」
心を揺さぶる
神野は「見れるなら………見たいかな?康太達が羨ましかったからな………」と言った
烈は「アメリカで挙式挙げてあげるわ!
神父も呼んで結婚証明書も発行するのよ!
完全プライベート空間で誰にも解らない様に挙げてあげるわよ!」とイベントの後は報道陣シャットアウトして結婚式場挙げるのも良いわね
と考えていた
小鳥遊は「………晟雅……考え直せって……」と言うが、神野も烈も聞いちゃいなかった
相賀は「皆の手が必要ならば、まだまだ頑張るとするかな!」と楽しい事が沢山あるならば、皆の手助け位ならば出来る………
烈は「今夜は宴会しにゃいの?」と問い掛けた
須賀は「しますよ!しますとも!ならばお金徴収して慎一捕まえて買い出しに行きますよ!」と言った
烈は「少し待っててね!」と言うと竜馬に電話した
ワンコールで出た竜馬に「りゅーま、今ボク、あきましゃの所にいるのよ!
でね今夜は楽しい時間を送りたいのよ、駄目かしら?」と問い掛けた
「烈、レイが頑張って書類審査手伝ってくれたから、後はリーダーが判断下すだけにしてあるから!メンバーも楽しい時間過ごしたいに決まってるよ!」
「ならお買い物お願いね!
レイたんは飛鳥井の家に置いて行ってね
ボクもうじき還るから!」
「了解っす!メンバー全員で買い物は目立つから、俺と貴史とで逝くっす!
で、幾ら徴収するんすか?」
烈は神野に「幾ら出してくれるの?」と問い掛けた
神野は「なら物価高だし一万で!」と言う
「ならあきましゃ、直くん、きょーちゃん、りゅーま来るからその車に乗って行ってね
おーちゃんは奢られておけば大丈夫よ!」
「え?儂も出せるぞ!」
「ならその分、またお茶したりする時奢ってね!
おーちゃんも飛鳥井に逝くわよ!」
とケントを呼び出し烈はさっさと事務所を後にした
須賀と神野と柘植は竜馬と合流すると、慎一に連絡して、買い出しへと向かった
ケントは飛鳥井の家へと向かって走った
犬の散歩道付近を車が通り掛かると烈は頭を低くしてやり過ごした
ケントは「ったく蛆みたいにウヨウヨ湧いて来てますね………流石に飛鳥井の家の周りは近付けないみたいですが……」とボヤく
烈は「本当にね、あれだけ忠告して………これなのね………」と言う
相賀は「これは酷いな………」と眉を顰めた
飛鳥井の家に還るとレイが待っていた
兵藤は「飛鳥井から少し離れるとまだ人がワンサカいるやんか!」と烈の顔を見ると言う
烈は「レイたんを頼むわね」と言うと応接間を後にした
暫くすると康太と榊原が帰宅した
応接間に顔を出すと榊原は「あれ?烈は?」と問い掛けた
兵藤は「自分の部屋じゃね?」と言った
そして「この家の周りは静かでも、少し離れた場所にウヨウヨいるのな、轢きそうになってめちゃくそ怖かったぜ!」とボヤく
康太は「意図が掴めねぇ…………何の為にしてるんだ?」と此処まで警告してるのに、止む気配すらない現状に頭を抱えた
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