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第84話 苦難を超えて ❸
ヨニー©イギリス本社ビルに三木竜馬は堂々と入って逝く
社員達と話しをしフレンドリーに対応して、ズンズン社長室へと向かう
竜馬の横の兵藤も堂が入った風体で歩いていた
ヨニー©イギリスでは兵藤貴史は社長や副社長が一目置く客人として扱っていた
だが最近、国王の妹、第一王女の娘であるシャルロット王女が結婚を見据えたお相手としてバッキンガム宮殿から兵藤貴史の存在を明らかにして護衛する様に………と言い使った様だとテレビで公表された
それもあり、物凄く丁寧な対応をされていた
ヘンリーは社長室のドアをノックするとドアを開けて中へ入った
「オリヴァー兄さん、此方の方がリーダーが依頼した安曇貴之さんだよ!」と紹介
オリヴァーは「リーダーはどの部署辺りが御所望なんだい?」と問い掛けた
兵藤が「この男はこう見えてハーバード大学のダブルメジャーを選考し政治学と、経済学を学んで学位記も所持している!」と説明
オリヴァーは「リーダーから聞いてるよ!竜馬をライバルと射程範囲に入れてるんだろ?
ならば其れ位は当たり前の事だから聞くまでもない!」と一蹴した
ヘンリーは「………あのさ皆がそんなに出来る存在じゃないんだから、相手の気持くらい思いやりなよ!兄さん!」と苦言を呈した
オリヴァーは「だってリーダーが僕の所へ寄越したって事は使える様に磨きやがれ!って事なんだよね?ならば研磨する為に事前調査しただけだよ!
己の持つ能力を相手に知らせるのは当たり前の事だからね!
なのに彼は借りて来た猫ばりに大人しくてさ、リーダーの猫なら猫パンチしちゃうよ!」とボヤく
ヘンリーは爆笑した
兵藤は「まぁあの猫なら猫パンチするわな……」と苦笑した
オリヴァーは「と謂う事でローテーション部署異動の実地訓練の始まりです!
使える男だと言うならさ、証明してよ!
この会社での日々は貴方の政治学人生の糧となると我等は信じて、貴方を迎え入れます!」と宣言する
その後秘書を呼び出し安曇貴之は連れて行かれた
人気を払った部屋でオリヴァーは「まぁソファーに座りなよ!少し話があるんだよ!」と言った
竜馬は嗤い「それは鳳城葵の事だろ?アイツの事はリーダーが何とかするさ!」と吐き捨てた
「だけど仕事にも影響出てるんだよ?」
「ならば今直に葵に電話しなよ!
そしたら俺が直接話す!
ほらほら、早く電話しなよ!」
んとに烈がいないとタチの悪い奴だと痛感する
オリヴァーは鳳城に電話を入れた
ワンコールで電話に出ると『何かありましたか?』と電話に出た
竜馬は「何か在ったから電話したんじゃないか!
仕事する気あるの?葵!
僕の配置がミスだったなんて謂わせないでくれよ!」とキツい一撃を初手でかました
兵藤はキッつ!と想った
鳳城は『烈に連絡が着かないんだ………』と泣きながら話す
「当たり前じゃないか!そんなのは!
烈は極秘裏に入院していた、その間は両親でさえ連絡する事は禁じられていた
そして世界中の殺し屋が倭の国に集結して烈の命を狙っていたんだ!
お前だってそのニュースは聞いていたんじゃないのか?
そんなに易易と連絡なんか取れる筈ないじゃないか!下手したら銃口に狙われて即死になるかも知れない危険と隣り合わせにいるんだよ?
解ってたら精一杯、烈に迷惑かけずに仕事しろよ!
………其れが出来てないって事は、お前を副社長に配置した僕の事も甘く見てるって事なのかな?」
竜馬は普段は一人称は【俺】だ
だが冷静に話しをすれば、する程に一人称は【僕】となる
鳳城は泣いていた
なのに竜馬は「泣く暇に仕事しろ!」と冷たく言い放った
「お前の事はリーダーが総て判断を下す!
その日まで死ぬ気で働いて下さい!
僕の顔にも、烈の顔にも泥を塗る事は絶対にしないで下さい!解りますか?」
『あぁ………済まなかった………取り乱した………』
「仕事して下さい!
より良いレーダーでもセキュリティでも開発して特許取って僕と烈を唸らせて下さる事を期待しております!」
そう言い電話を切った
オリヴァーは恐れていた
こんな風な竜馬なんて見た事もないから……
兵藤は「竜馬!」と名を呼ぶが聞いちゃいない
兵藤は烈のラインに「ヘルプ」と書いて送った
すると竜馬の携帯が鳴り響き、竜馬は慌てて携帯を取り出した
烈の表示に竜馬は通話にスライドした
『りゅーま!牙剥くならへし折るわよ!』
と怒りの声がする
「烈ぅ〜だって………」
『葵は放置で良いのよ、そのうちケジメ着けさせてやるから!
りゅーまは残りの日々を悔いなく過ごすのよ!
イベントの分だけ日程伸びるからね!
ロードはりゅーまが帰国してる日数計算して、その分は帰さないって言ってるからね!
秋になっても冬になっても………イギリスかもね』
「え〜烈ぅ〜!!」
半泣きの竜馬の声に烈は
『なら頑張るのよ!
自信をなくした貴之が自信を取り戻せる様に協力して、ターゲットにして、人はどうやったら自信を取り戻せるのか?心理描写交えてを本にでもしたら?
その収益をボクに貢ぐにょよ!りゅーま!』
「頑張るよ!烈!!収益金を烈に貢ぐよ!」
『イベント前はデカパフェよ!』
「解ってるよぉ〜!」
メロメロのデロデロの竜馬だった
兵藤は「痴話喧嘩してる新婚か!」と、ケッと吐き捨てた
オリヴァーは笑って「やっぱリーダーは凄いよ!」とニコニコ
竜馬はそんなオリヴァーに携帯を渡した
「もしもし、リーダー?」
『少し気が緩んでるのかしる?お尻蹴り飛ばす?
それともお尻クーたんに齧らせる?』
「え!!僕は気が緩んでなんかいないってば!」
とオリヴァーが抵抗する
烈はURLを貼り付けて送信した
オリヴァーはそれを開いて見て………唖然となった
そのURLはヨニー©イギリスの精密レンズ工場の社員であろう者達の動画だった
レンズで卵焼きしたら?何度まで耐えられるか!とか
凍らせたレンズで、熱々の珈琲注いだら耐えられるのか?
レンズの太陽光だけで着火して、放火が出来るちゃうのか?
ビルの50階ヨニー©イギリス本社ビル屋上から落としたらレンズはどれだけ無事か?
等など、下らないレンズを使った動画だったが………
レンズを使った放火!!に関しては余波が続いていた
その動画を見た者達が、実際に家が燃えたのならば、それは犯罪行為だと騒がれていた
この動画の遣り方で火が起こせ家を燃やすまでになるのか?
実証実験が行われたりと………物議を醸していた
「何これ!」
オリヴァーは叫んでいた
『対応としては遅い位よ!
こんなに騒がれているのに、倭の国までその騒ぎが引火しているのに、何故に我が社は動いてすらいないの?
りゅーま、副社長としてキッチリとカタ取って賠償請求までやるのよ!』
「了解っす!」
竜馬が返事すると兵藤が携帯を奪った
「ひょっとしてお前を誘き出す為に社員を使われたのか?」と問い掛けた
『多分……ね、でも放っておけば、こんな事許しちゃう会社だと思われちゃうからね
法的制裁を取り、絶対に許さない姿勢を示さねばならないのよ!
況してや本社ビルの屋上から自社製品落とす馬鹿社員は要らないのよ!』と吐き捨てた
「あ~!だから安曇貴之か!」
と納得していた
オリヴァーは「何?何なの?」と泣きながら聞いて来たが………
兵藤は「ならば貴之の実力を存分に確かめるとする!」と言い電話を切った
そして携帯を竜馬に返すと
「安曇貴之と謂う男は真贋が叩き込んた男で、報道陣を使う対策に長けているんだよ!
そうか、貴之が自信を取り戻し、更に磨きかけて俺等と並ばせる気か!
うかうかしてたら負けちまうぜ!」と言い笑った
オリヴァーは追加でラインが届き見た
『貴之と葵、落ち着いたら合わせといて!
子種とかじゃなく、今世紀最大の相性の悪さ
体験させようかしら?と思ってるの!』とあった
オリヴァーは兵藤にそのラインを見せ
「相性悪そうなの?」と問い掛けた
兵藤は二人を脳裏に思い浮かべ
「どうなんだろ?相性……」と悩んだ
竜馬は「ズバズバモノ言う無神経な葵と、ド神経質の貴之か………相性は最悪だよね………」身震いした
オリヴァーと兵藤は其処まで!!と驚いた
そして兵藤の携帯に『今夜は一人で部屋にいるのよ!』と念を押すラインが届いた
「一人じゃなきゃ駄目なのか?」
『そうよ、ちゃんと一人でいるのよ!
でにゃいと母しゃんに当分無視しといてと言っちゃうからね!』
と弱点を突かれ言葉をなくした
「それは止めてくれ!
ちゃんと一人でいるから!」
烈からは笑顔の『 (⌒▽⌒) 』顔文字が送られて来た
総て配置され、我が道を逝く
烈は満足の行く答えを貰い北叟笑んでいた
烈に謂われた夜 兵藤は一人で過ごしていた
テレビも着けず、何の用だろ?と只管待っていた
だが何のアクションもなくて………
静まり返った部屋に何もせずにいるのも疲れ、テレビでも着けて待つとするか!と思い立ち上がろうとした時
眼の前に大天使ガブリエルが姿を現した
兵藤は「え??何でガブリエル?」とビックリした
ガブリエルは「さぁ私と共に来て下さい!」と言い有無を言わせずに兵藤の手を引っ張り、ベランダまで引っ張って逝くと待機していたオーディンの馬車に乗せ天界まで連れて逝く
天界の更の上に天上界が存在し、天空神が待ち構えていた
天空神 3神は兵藤を見ると神の扉の前に跪いた
ガブリエルは兵藤を神の扉の前に連れて行った
神の扉から神々しい光が溢れて兵藤を包み込む
"朱雀神よ、主は聖神の推薦により、倭の国を見守るバランサーになる事を許可された
今までは炎帝がバランサーとして亜細亜圏内を取り仕切って参ったが、どうしても人手不足だと申され人選を考慮して参った
そんな時 誰よりも人を見て、誰よりも正しい道を逝く男がいると聖神から申し出がされた
そしてその男こそが、倭の国のバランサーとして、死しても人の輪廻に携わり、人の世を正す存在となる!と申された
なので推薦者 聖神の名の元に朱雀神は倭の国のバランサーになる事を此処に定める!
ちなみに聖神推薦で地獄界、引いては中華圏は羅刹天が務める事となる!
二人は情報提供し合って、正しい道に導いてくれ!詳しい仕事内容は炎帝に聞くがよい!”
創造神の声が響く
兵藤は畜生!その内解るわよ!ってこの事かよ!と想っていた
が、「その役務、朱雀が有り難く快諾させて戴きます!」と答えた
創造神は笑い"聖神の推薦じゃから、キッチリと仕事してくれる日々を楽しみにしている
バランサーとしての証明書と印は後日炎帝に託すとする!炎帝からそれを受け取るがよい”と言い気配を消した
天空神 3神は「頑張るがよい!それでは元いた場に送ってしんぜよう!」と言うと元の部屋に戻された
兵藤は烈に「この前バランサーの話ししたのって、俺を推薦して役務に着かせる為だったのか?」とボヤいてラインした
『あ!創造神から話がされたのね、帰国する頃かと想ったけど、ガブたんが来て今夜告げる的な事を言ったから一人でいて貰ったのよ!
そうよ、あれはね事前告知みたいなものだったのよ』
「お前は俺の何処を見て推薦しょうと思ったのよ?」
『それは誰よりも平等に罪を下せる存在と判断したからよ!
ボクは母しゃん以外は朱雀しか思い付かないのよね!』
と返す
何か………嬉しいじゃねぇか!
兵藤は「やれる範囲で頑張るわ!」と返した
『ボクも母しゃんも父しゃんもいるわ!
赤いのも黒いのも金運上がるのもいるから!
そしてお仲間にらーくんもいるからね!
その都度、協力するから気負わず逝くのよ!』
何かこう言う台詞をサラッと言える所が…………本当に康太に良く似てるなって想う
兵藤は覚悟を決めた夜となった
翌日、オリヴァーは悪質な社員に対して総ての証拠書類を作成させ、対策に手を打つ為に動き始めた
そして総ての証拠書類が揃うと、安曇貴之を呼んだ
安曇貴之に膨大な資料を渡し
「此れから君には僕の秘書達や必要な人材を存分に使って良いから、この案件の報道対策をして貰います!
それが副社長から与えられたミッションです!」と言った
貴之はそれを飲み、真贋に叩き込まれた戦略を駆使して報道陣に対して強固なまでの姿勢で対策を取り、不届き者の社員達を解雇にして、損害賠償請求をした
そして報道陣には勤務実績を顕にして、その動画を撮影している時間帯は勤務中である事の証明をした
勤務中に会社に損益を与える動画を撮影し貶めたとして、毅然とした態度で三木竜馬が記者会見を開いた
その記者会見の司会進行が安曇貴之だった
難癖に近い質問を言う記者には徹底的に、流暢な英語で自ら記者を論破してぐうの音も謂わせなくした
その鮮やかな手法がまるで魔術の様で………安曇貴之は………東洋の魔術師………とまで謂わ示めた
いつの間にか安曇貴之は東洋の魔術師…としての異名を貰い有名になったのは言うまでもない
ヨニー©イギリスの名を掛けた裁判が始まる
事件は一通りカタが付き、以降は社内にYouTubeやSNS等を使った悪質な行為を見張らせる部署を立ち上げる様に、竜馬に命令した
竜馬とオリヴァーは即座に動き、オリヴァーの弟子のアンソニーを部署のトップに据えて、リモートで警戒させる事にした
不審な動きがあれば即座にオリヴァーの元に連絡が入り手を打つ、事になった
アンソニーは会社に出社する事はなくとも、会社の名を背負うと言う事で給料が出るし責任も伴う事になる!
だがアンソニーは快諾してくれ、アンソニーの仲間数人がヨニー©イギリスの社員となり見張る事を約束してくれた
そして其れ等が片付くと、満を持して鳳城葵と安曇貴之と逢わせる時が来た
竜馬は「リーダーから会わせろと謂われてるから逢わせる!あ!種馬とかじゃねぇからな!
お前とは今世紀最大に相性が悪そうだから逢わせてやる、との事だ!」と笑って言う
鳳城は眉を顰めた
見るからに相性が悪そうだ
竜馬は貴之に「コイツの下で仕事しろ!」と言った
貴之は「え!!冗談!」と言った
鳳城も「え!冗談だろ?」と言う
だが竜馬は「決定事項だ!リーダーの言う事が聞けないならば、今この場で退職しても構わない!
そして貴之、断るならば今後はお前と逢う気はないそうだ!
俺のライバルになるなら、ケツ捲るなんてしねぇよな?
俺はこんな一癖もある奴等と生きて来た!
そして嫌な想いもしたし、愚弄もされて来たんだよ!お前は生粋のボンボンとして穢れてなさ過ぎなんだよ!
それだと今後些細な事で挫折する……心がポッキリ折れたなら……お前はもう立ち直れないだろう……
と宗右衛門がお前の果てを詠んだんだ!
選ぶ権利はあるから選ばせてはやるさ!
だが逃げるなら………それで終わりだ!」と吐き捨てた
選ばせてやる……と言いつつ、逃げるならそれで終わりだと言う
矛盾してるじゃないか………と心の中でボヤき
「受けて立つよ!」と言った
竜馬は「葵、この男を育てろ!それがリーダーからのミッションだ!」と突き付けた
鳳城は「承知した!俺は………烈に会える日の為に日々努力する!」と宣言した
その顔はもう泣き暮らしていた顔ではなかった
「そうしてくれ!この男は光る原石だ!
そして俺のライバルになる男だ!」
「ならば、腕によりをかけて磨いてやるさ!」
そう言い鳳城はガハハハハハッと笑い飛ばした
貴之は何て癖のある奴らばかりなの………と想った
こんな癖のあるヤツ……真贋の傍に……あぁいたか
一生や聡一郎、隼人に慎一達は認めた男の為にしか動かない
たが、こいつ等は…………その上を行かないか?
彼等は康太の為ならば例え火の中水の中いくけど………
だけど、コイツ等は………例え火の中水の中、ズンズン止まる事なく突き進んで行きまくるじゃないか!
烈が宇宙の裏に逝けと言うならば、本当に宇宙船創り上げて宇宙の裏に行きそうだ………
「じゃ、そう言う事で健闘を祈る!貴之!」
竜馬はそう言い背を向け
「あ、御影の欠けた穴、貴之に埋めさせといて!」軽く言ってスキップせん勢いで帰って行った
鳳城は指をポキポキ鳴らし
「それでは貴之、お仕事の時間だぜ!
お前にはこの会社の成り立ちから仕事風景までも総て叩き込む!」と言い引きずって逝く
竜馬は、頑張れ!貴之!と胸の中で祈っておいた
そして烈に「記者会見は無事終わったよ!ヨニー©イギリス本社ビルの屋上からレンズ落とした社員 全員解雇にしたから!」と電話したした
電話に出た烈は『裏がないか調べないとね、イギリスにも【R&R】企業向け調査会社作ろうかしら?
今度 暦也にイギリスに人材いないか聞いてみるわ……表向きは馬鹿な社員の愚行でも、裏があれば手痛い竹箆返し来るからね………』と返ってくる
竜馬は「烈、暦也さんにツテないか聞いて貰えないっすか?」と問い掛けた
『解ったわ聞いてみるわね、ツテがないならクリスにそれなりの人選を探して貰い作るしかないわね!』
「了解っす!なら俺はヘンリー通して、クリスに聞いてみるとするね!」
『ボク、近い内にイギリスに行くから!』
「オーディションの件?」
『違うわよ、貴之の件で何処まで仕上がったのか?見に行くのよ!』
「あぁ……東洋の魔術師の異名を有り難く拝聴しちゃってますよ!」
『らしいわね、まぁ貴之は切り込むタイプじゃないのよね、でも論破は得意だから、それで良いのよ!同じタイプの政治屋を作っても仕方ないからね!』
謂われてみればそうだ!
「俺も貴史も正義もタイプは違うもんな
まぁまっしぐらに逝くタイプではあるけど………」
『それはそれで良いにょよ!
議論は相手がいなきゃ出来ないからね
切磋琢磨して逝くならば、貴之は少し物足りないにょよ!まぁ彼の兄弟も視てみないと解らないけど………純粋栽培なら危うさはあるのよね……』
「烈、俺も純粋栽培のお子様よぉ〜!」
『竜馬は捻くれ過ぎてて純粋栽培蹴飛ばしたんじゃない!
まぁ淳行もね………視てないから解らないけど………そのうち彼等は壁に突き当たるわよ
その時………どうするか?が見物ね!』
「親父の跡を継ぐヤツの事なんか知らないよ!」
『りゅーま 跡継ぐならボクの手は離れちゃうわよ?』
「俺は三木になんて留まらないっす!
それは烈が一番知ってるんじゃないか!」
『そうね、まぁ取り敢えず貴之が何とか出来たのなら、母しゃんの果てが其処まで狂わなくて良かったわ!』
総ては母の為
家の為
烈の総ては家族や仲間の為に在るみたいに、骨身を削って尽くす
竜馬は刹那くなり「烈、デカパフェ、イギリスにあるの見付けたんすよ!
今度兄弟とちっこいので食べに逝くっすか?」と話題を逸らす
『良いわね、オーディション終えたら遊びに行きたいわね!』と楽しそうな声の烈に安堵する
そして電話を切ると、竜馬は竜馬がやらねばならない事をしに向かった
やはりと言うか………鳳城葵と安曇貴之は感性から性格、総てが相反する存在だった
だから一目見れば絶対に近付きたくない存在だと嗅ぎ分けて近付かない
そんなタイプだと違いが解っていた
だが共に仕事をするならば………解り合おうと努力はするし、只管専務の仕事もした
が、真面目で神経質な貴之と、ガサツで鈍感な鳳城では水と油、並にあわなかった
だらしない所にもイラッ、話を聞いているか?聞いてないか?解らない所にもイラッと来る
モノは片付けない
仕事に夢中になると副社長業放ったらかし
貴之は良くもまぁ、こんなのが副社長で会社回ってるな………と想う程だった
竜馬と烈が社長なら回って当たり前なのだが………
些細な事で良く喧嘩になる
貴之は今 東堂御影の仕事をしていた
御影の仕事は…………鳳城のサポートも入っているのだ
イライラが募る
「いい加減副社長なら仕事してくれません?」と苦言を呈した
鳳城は「商品の開発が俺の仕事だ!雑務は専務がやる事になってるんだ!
お前は専務の代理なんだろ?ならばやれよ!」と一蹴する
「やってるさ!やってても次の瞬間、貴方がコロコロと変えて行くから書類の作り直しばかりです!僕をバカにしてるんですか?
貴方とは本当に合わないですね!」
と鬱憤が爆発する
鳳城の仕事をしなさ過ぎな部分が許せなくて………
結構キツい言葉になり鳳城を罵り始めた
鳳城はそんな貴之の言葉など戯言の様に処理して行くが………
心が傷付く言葉に………限界を迎える方が早く来た
どんな言葉でも受け流している鳳城が真顔で
「俺にならば、どんな文句言っても良いと思ってるのは…………お前だろ?」
と返され言葉を失くした
「俺は研究馬鹿だから、研究を始めたら他は見えない……そんな俺のサポートを東堂御影と言う男が請け負っていたが…………烈が御影は修行が足らん!と怒り修行させると倭の国へ連れて行った
それからは………俺は………暗闇に迷い込んだ様に………不安で悲しくて泣き暮らした時もある
そんな時に竜馬が『烈が合わせろと言ったから………』とお前を連れて来た
俺は必死にお前を託されたから頑張った
だけど…………空回りしていたんだな
済まなかった………」
深々と頭を下げ謝罪され貴之は焦った
「あ………僕の方こそすみませんでした
僕は……ずっと焦っていました
見るたびに変わって逝く貴史や竜馬を見て置いて行かれる様な焦燥感に囚われていた………
そして堂嶋正義まで明らかに今までと違う姿を目の当たりにしたら……明らかに開いてしまった差に…………焦るしかなかった
それを真贋に話した時、真贋は『アイツ等育ててるのオレじゃねぇから!』と謂われた
『貴史は鷹司の方から正式に宗右衛門に依頼があり受け入れ、竜馬は烈が3歳の時に出会い跳び蹴りかまし今に至る訳だから、オレはノータッチなんだよ!』と返された
ならば烈に逢いたいと申し出ると、逢ってくれたけど……何故かイギリスに連れて来られた………
自分から望んだ癖に……この状況を受け止めきれずイライラしてました!
僕の方こそすみませんでした!」と謝罪した
二人は互いに謝罪をし会い………そして顔を見合わせて笑った
鳳城は「何か肩に力が入り過ぎてたわ!」と言うと貴之も「僕も………成し遂げたら竜馬や貴史みたいになれるかも………と焦ってました」と言う
二人の前に在った壁はなくなっていた
その日から二人はその都度話し合い仕事をする様になった
自分なりの仕事を工夫する
そして互いを知る為に仕事終わりはカフェでお茶して話をした
貴之は自分の中の凝り固まった何かが崩れ去るのを確かに感じていた
そして想う
言葉も国も違う、表現の方法さえ違う、文化も、何もかも違う世界にいると取り残された様な不安がある………と。
アメリカに留学して卒業した事があるのに、それに今やっと気付いた
自分はアメリカ時代何して過ごしていたんだろ?
只管政治家になる為に勉強して友など作りもしなかった
…………【R&R】と言う絶対の友を作った竜馬と、只管勉学に励んだ貴之
罵るヤツは完全に無視して来た
だって解り合える筈などないから……と受け流して来た
人に揉まれ、人と付き合い、人脈を作り、生きて来た竜馬との差はそこなんだと貴之は想う
その日からは積極的に社員達と会話したりした
そして社員達から東堂御影と言う存在を垣間見る
まるでコンピューターみたいな男だと皆が口を揃えて言う
血肉が通ってないみたいに冷徹な存在
だが絶対に信頼をする烈にだけは違う、駆け寄りスリスリする程に溺愛している………と聞く
あぁ………東堂御影は………変革期を迎えていたんだ
そして自分も………この果てに何を掴むかはまだ解らないけど……
成果を掴まずに帰国はしたくないな………と想っていた
そして時はGWを間近に控えた4月下旬
東堂御影はGWが過ぎたら一旦、烈と共にイギリスへ向かう事が決まった
御影はすっかり竜胆に鍛え上げられ、身体も心も鍛え上げられていた
烈が襲われたり、殺し屋に狙われたりしていたから、御影の帰国がスッカリと遅くなった
一ヶ月の予定が2ヶ月近く倭の国にいる事になった
最近の御影は良く笑う様になった
竜胆に弟子入りしただけあり、熱い男になりつつあった
烈は夕飯を食べた後 お茶を飲みつつ
「そろそろ御影は次に駒を進めないとね!!」と言った
御影は顔を引き締め「帰国する時が来たのか?」と問う
「ウッズスタン社の方はね今、未来の政治屋投入しているからね
御影はローテーションでお仕事して貰おうかと思ってるにょよ!」
「どんな仕事だ?」
「カフェの従業員!笑顔大切よ、みかちゃん!」
「………うっ!笑顔………出来るかな?」
御影が不安そうに呟くと烈の兄達が援護射撃してくれる
翔は「大丈夫よ!御影ちゃん!笑ってるわよ最近!ちゃんと笑えてるわよ!」と背中を押す
流生も「最近冗談も言えるし、うちに来た頃はロボットかと想ったのに……凄いよ!」と御影を抱き締めた
音弥は「最近歌も口ずさめる様になって来たね!
今度カラオケに逝こうね!」と抱き締めた
太陽は「御影ちゃんは優しいもの、接客だって文句なく出来るわよ!」と抱き締めてくれる
大空は「カフェの店員の制服ねカッコいいからね、御影ちゃんは似合うわよ!」と抱き締めてくれる
烈の兄達から抱き締められ御影は涙を浮かべていた
人の優しさ、温もり………自分の知らなかった事ばかりだった
烈は最近「みかちゃん」と親しみ込めて呼んでくれる様になった
こう言う呼び方は特別だと御影は知っていた
殺し屋の脅威がやっと去った今 GWは思い切り楽しみたかった
「GW りゅーまと兵藤きゅん呼ぼうかしら?」
竜馬も兵藤も家族には人気があるのだ
竜馬なんて既に家族の一員だった
そんな事を考えつつ物思いに耽る
そんな烈の様子を楽しそうだな……と、見ていた康太の脳裏に突然果てが映し出された……
一度行った事のあるヨニー©イギリス本社ビルが爆破される瞬間の映像だった
焦った康太は「烈、ヨニー©イギリス本社にいるヤツ、間に合うならば………直に避難させた方が良いぞ!爆破されるぜ!」と言った
烈は「え?それ本当?」と唖然となった
「おー!お前の果てが今視えたんだよ
お前今 竜馬と貴史を思い描いたろ?
そしたらヨニー©イギリス本社ビルが爆破される映像が視えたんだよ!」と言った
烈は慌ててオリヴァーに電話をして、電話に出ると「シェルターに今すぐに避難するのよ!オリヴァー!!」と叫んでいた
烈が叫ぶと同時にプーは時空に消えた
烈は母に泣きそうな顔をして、ヨニー©イギリスで起こった事件をPCを開いて映像を見せて語った
「どぉーちたらいい?
兵藤きゅんもりゅーまも会社に缶詰になってるにょに……」と呂律も怪しくなり訴えながら泣いた
康太は「オレは漠然とした映像しか視えなかったけど………大変な事に突入するのは真実だ!
飛鳥井でもクビを切った社員の報復は受けた
それで源右衛門は………命を落としたんだから、他人事じゃねぇな」と言う
「本当にね、嫌になるわ…………
面白半分で、自分の会社の特殊レンズを使った下らない動画上げてる奴等を見付けて、摘発したら………報復するだなんて………許せにゃいわ
ソイツらを解雇して裁判に持ち込んだから………警戒はしていたのよ………」と説明した
「その動画ってどうして解ったんだ?」
「ヨニー©イギリス関係の動画は総て表示される様に設定してあるにょよ!
勿論 飛鳥井の会社関係の動画も総て表示される様にしてあるのよ!
飛鳥井の方はにーに達がチェックしてくれてるのね、だからヨニー関係を特に気をつけて見てて見付けたのよ
しかもアイツ等#ヨニー©イギリス入れてやがったのよ!」と伝えた
康太は成る程!と納得
御影は携帯を手にすると鳳城葵へと電話をかけた
「ヨニー©イギリス本社ビル、無事か今直ぐ確かめてくれ!」と電話に出た鳳城に言う
鳳城は『何か在ったのか?』と問い掛けた
「ヨニー©イギリス本社ビルが爆撃されると烈の母上が言ってる!」
『………っ!!!直に調べさせる待っててくれ!』
鳳城は電話を切ると貴之に頼み即座に調べさせた
暫くして鳳城から『会社の正面玄関は爆破で吹き飛んでるらしいが、皆は無事だ!
烈が日頃から避難訓練させてる成果が出たらしくて、皆電話を受けたと同時にシェルターに逃げ込み、無事だった
だが……竜馬が……足の悪い社員を誘導していて逃げ遅れて怪我をしたらしい
でも白い猫が飛んで来て竜馬を蹴り飛ばしてくれたから、其処までの怪我はしなかったとの事だ
だが、あの場には………兵藤貴史がいた……
王女との交際が正式に公表された今………こんな事になり………ヤードの威信に掛けて犯人を探すと言って騒然となっている!』と伝えた
烈は御影から電話を変わって貰うと
「犯人は特殊レンズで遊んでたバカ社員達の仲間か知り合いの逆恨みだと伝えてくれるかしら?葵!」と謂うと鳳城は泣いて烈!烈!と名を呼んだ
「葵、時間がにゃいから確り聞くのよ!
ボクが言ったの伝えるのよ!
そして映像は会社の前全体写せるのヨニーの入口の鉄塔に仕込んであるからそれを渡して!」
『了解した!直に動く!』
「竜馬の怪我が気になるからイギリスへ早目に逝くから、そしたら逢いましょう葵!」
えぐえぐ鳳城は泣いていた
泣いてる鳳城にかわり貴之が電話を取り『また何か解ったら電話します!』と言い電話を切った
烈は電話を切って「やってくれたわね!」と怒り狂っていた
レイが「ちにぎゃみ、よんできゅる!」と言い出て逝こうとするから、兄達は慌てて止めた
烈も「それしなくて良いから!レイたん!」と止める
「よぶと、ちゅぐちごと ちゅるわよ?」
「お国が違うと、色々と手続きがややこしいのよ!死神業界も今は大変なのよ!」
と止めつつ言うと康太は爆笑した
レイは「しょーにゃの?」と榊原を見た
榊原が困った顔をするが「そーなんですよ!」とヤケクソで答えた
レイは「そっきゃ………」と納得した
康太はレイの頭を撫で「良い子だ!」と言った
ニブルヘイムの魂は誰とも接してこなかった、長い間一人で過ごした孤独な時間に………
本当に赤子の様に純粋で無垢だと痛感する
そんな孤独な時間を過ごしたからこそ、烈は家族の愛を教えたかったのだろう……
人の痛みや哀しみ 焦り 苦しみ 生きる喜び
楽しみ そして愛を伝えたかったのだろう
烈は「それよりもGWよ!何処に行きたい?
今年はみかちゃんも一緒で何処か行きたいわね!」と言う
真矢と玲香と京香は嬉しそうに家族を見ていた
そして御影の頭を撫で「御影は何処か行きたい所はないのかえ?」と問い掛けた
御影は「倭の国………良く知らないから………」と言う
兄達も、玲香達も、御影に楽しく観光名所を教え話す
其処へ血だらけのプーが戻って来た
兄達は「プーちゃん!」と慌ててタオルを取りに行き、暖かいお湯で濡らして絞り、プーを拭いた
康太は「皆は無事か?」と問い掛けた
プーは「竜馬が怪我して病院へ運ばれたわ!
命に別状はないけど、爆破で煽られたガラスや瓦礫で切ってしもたからな!」と説明した
プーもあっちこっち怪我をしていた
タオルを何度も濯いで拭いてやるが、治らない傷から血が流れていた
康太は「【R&R】のメンバーや貴史は無事なのかよ?」と問い掛けた
「オリヴァーが即座に兵藤はん押し込めてましたわ!その後にメンバーがシェルターに入ったんやけど、竜馬は足の悪い社員を手助けしながらやったから、二波の爆撃にやられてしもたんですん!」と言う
烈は「火炎瓶?」と問い掛けた
「いやいや、ランチャーぶっ放してたから、咥えて武器共々ヤードに突き出してやったわ!
其処へジョセフィーヌはんが来たから、吾輩の身分は保証してくれたから、飛んで帰ったんですわ!」
クーがあまりの怪我の酷さに「プー直して来いよ!」と言った
「そんな力………もう残ってへんわ!」
と言うからクーがプーを咥えて………姿を消した
烈は「母しゃんが視た果てってあんまし、時差にゃいのね」と言う
康太は「それは烈、決まってしまった果てだったからだよ!
オレだって視える事には多少の時差はあるさ!
でも……オレが視たお前の果ては爆破された瞬間だったからな、お前がオリヴァーに連絡してシェルターに逃げ込む時間が在ったとしたら、それは本当に果ての映像だったんだよ!」と説明した
烈は母に深々と頭を下げ「ありがとう!」と礼を言った
康太は烈の頭を上げさせ「止せよ烈!」と言った
そして「オレはあんましお前の果てを視る事はねぇんだよ!
それは俺が視た次の瞬間、お前が変えやがるからだ!だから無駄な事はしねぇんだよ!
でも今は本当に偶然、脳裏にヨニー©イギリス本社ビルの爆撃の映像が流れて来たから言ったんだよ!間に合って良かったぜ!
んじゃ、明後日から始めるGW初日、イギリスへ逝くとするか?家族全員でイギリスおノボリさんツアーだ!
そして竜馬と貴史拾ったら帰国して温泉旅行だな!」と言った
烈は涙で濡れた瞳で母を見た
玲香は「イギリス旅行じゃと真矢、京香!服を新調せねばなるまいて!」と言うと真矢も
「そうね、姉さん!京香!ショッピングしに行きましょう!!」
と盛り上がる
清四郎も「ならば私達も服を新調せねばなりませんね!清隆、瑛太!」とやる気になっていた
清隆は「カジュアルな服を買わねば!」と言うと瑛太も「そうですね!頑張って見に行きますか!」とやる気になっていた
康太は「伊織、オレも服、新調してぇな!」と言う
烈は兄達に「ならホク達も服を新調するわよ!
おソロで買うわよ!にーに!」とやる気になっていた
御影は苦しみも喜びも分かち合い………支え合う【家族】を知る事が出来て本当に良かった……と想っていた
烈は凛、椋、レイに「おソロよ!」と言う
凛は「いやら!おまえのふきゅ あちゅくるちぃ!」と抵抗した
「紳士の国へ逝くならば服は絶対に脱いじゃ駄目よ!」
と釘を刺す
音弥は「あー!逮捕されちゃうもんね!」と言うと凛は「ちくちょー!」と泣いた
大空は「泣かないのよ凛、部屋でなら好きなだけ服脱いでも大丈夫だからね!」と言う
竜胆は「俺を変態みたいに言うな!」と怒った
家族は皆 笑っていた
聡一郎は家族全員の飛行機のチケットを手配した
烈はヘンリーに「明後日、家族全員、一緒に住んでる者全員イギリスに逝くわよ!お迎えお願いね!」とラインした
『烈、皆でイギリスに来てくれるの?』と問い掛けた
「ヨニー©イギリス副社長は二人なのよ!
揃って今回の爆破の件に記者会見開かなきゃね!
役職付いてるメンバーとで記者会見開くわよ!
そして遊びに行くのよ家族全員で!
無事確かめて、記者会見したら帰って温泉旅行に行くつもりだからね!」
『あ~ズルい!その温泉旅行僕達も参加したい!』
「自腹でお願いね!」
『解ってるよ!そんな事!』
「なら皆で行きましょう!
飛鳥井は人数多いからね、ケチな事、謂わないと費用が大変になにるのよね」
『割り勘大好きリーダーだって知ってるもん!』
「ならお迎えお願いね!」
『了解だよ!リーダー!
竜馬は少し酷くてね、今は入院してるけど、リーダーが来てくれるなら治しちゃうね!きっと!』
「………記者会見出来るかしら?」
入院しちゃう程の怪我だからな……と少し躊躇する
『包帯だらけでも座らせとけば仕事するだろ?
それが竜馬の仕事なんだし!
瓦礫と硝子と熱風で怪我が酷いんだよ!
でも命に別状ないし、多分温泉しみるけど行けない事はないと想うよ!』
「なら明後日、飛行機に乗る前にライン入れるわ!」
『了解!待ってるからね!』
電話を切ると「足は確保出来たわ!オブライエン家リムジンバス買ったのよ!
沢山来るから、そのお出迎えを一度で出来る様に、って買ったのよ
機会があったらオブライエン家逝くわよ!
貴族様の門から玄関まで30分は掛かる無駄な敷地に建つ屋敷見るわよ!
ゆーちゃん、豪邸の建設目に出来ちゃえるわよ!」とニコニコで悠太に話す
悠太は「それは楽しみだね!どんな建築技術なのか、見るのが楽しみだよ!」と謂う
「あの家はね中世の頃に建てられたのよ!
それを補強して今も使い続けているから、中々お目には掛かれないのよ!」
烈が言うと悠太は瞳を輝かせた
建築バカな二人は仲良く建築トークに花を咲かせ………
何故か家族は笑顔でそれを見守っていた
烈は「みかちゃん、倭の国に来て色んな建物目にしてどう想った?」と問い掛けた
御影は「外見は立派だけどセキュリティどうなってるのかな?とは気になる!」と答えた
「セキュリティは多分スカスカ多いわよ!」
「それは怖いよ………丸裸にされてるみたいなもんだよ?何故解らないんだろ!」
「お国柄なのかしら?
セキュリティを考える国はセキュリティを重視した建物を建てる
だけどセキュリティが然程どうでも良い奴等は、外見は立派なビルを建てる
その違いなのよ!」
「………それ程、セキュリティは重視しされてないって事かい?」
「前世の頃ならそうだね
此処最近、やっとセキュリティの重要性打ち出してるけど………まだまだ遅れは目にするわね」
生まれて来たお国柄も違えば、環境も違う、文化も違う……そう言う事なんだろう……
「想えば………僕は海外に出たの、この前セキュリティに来た時が初めてなんだよ………」
と御影は生きるのに必死に海外に来たのが、この前初めてだと気付く
大空は「なら温泉旅行一緒に行けこうね!楽しみだね!」と謂われ頷いた
玲香は「なら服はイギリスに行くならばHarrodsで新調せねばな!」と楽しげに言う
真矢も「姉さん!それは良いですね!私もHarrodsでショッピングしたいわ!」と嬉しそう
京香も「我もHarrodsは行ってないから、是非この機会にショッピングを楽しむつもりじゃ!」と言う
烈は「ママは最近 乳が育ち過ぎにゃのよね……
この前家に帰った時、ママが抱き締めてくれた時窒息するかと思ったわよ!
そんな大きな乳で着れる服あるかしら?」とボヤく
京香は「サラシ巻こうかな……」とショックを隠せない
康太は「大丈夫だ!京香!外国人はめちゃくそ豊満な乳持ってるかんな!」と慰める
真矢は「本当に烈も康太も乳は止めなさい!」と言う
翔が「烈はずっと乳だよ?ベビーカーも乳母車呼びだったし、ハンガーなんて衣紋掛けだよ?
乳あて………とか京香のブラ言ってたし……」とボヤく
宗右衛門は「儂もダウンロードせねば、文化が発展し過ぎじゃったのじゃ!」と言い訳をする
清四郎や清隆は爆笑していた
清四郎は「そうそう、今でこそ聞かないけど昔は、乳母車言ってましたね!」と謂えば
清隆も「そうですね、昔 母が衣紋掛けと言ってましたよ!忘れてました!」と懐かしそうに言う
烈はたらーんとなった
流生は「乳母車って玲香ばぁちゃまが好きな欣様が出てる子連れ狼で主人公が引いていたのだよね?」と思い出し言う
玲香は「そうじゃよ!海老様も良いが欣様もそれはそれは渋くて良い男なのじゃよ!」と惚れ惚れと言う
康太は「え!母ちゃん……オレの子に時代劇見せてるのかよ?」と聞く
レイが「ちとちとぴっちゃん、ちとぴっちゃん」と歌う
ちっこいのにまで見せてるのかよ…………
康太は言葉を失くした
「れいね、むらまちゃ ほちぃにょよ!」
と刀に憧れ言う
榊原は「危ないので駄目ですよ!烈が村正でリンゴ剥いたらどうするんですか?怒られますよ!」と言うとレイは「ちょっきゃ………にゃらやめりゅ!」と言う
烈は本当に器用な男で草薙剣でリンゴ剥いちゃうのだ
引っ越して包丁がない時
「此れ使う?」と草薙剣出した時は言葉もなかった
それを聞き康太が「おっ!それならオレの剣ならどうよ?」と始祖の御剣を出すから……
榊原に「ちっこいのもいるのに、そんな物騒なの出したらお尻ペンペンしますよ!」と怒られた
烈は即座に草薙剣をしまった
康太も直に始祖の御剣をしまった
でも最後にボヤく
「連通連夜30通夜やった時は此れで食材切ったにょに………」と言うから
「剣は包丁じゃありませんから!」と怒られお尻ペンペンしされたのは…………言うまでもない
その話を聞いた御影は軽い頭痛を覚えた………
破茶滅茶だ……この家族…………
でも底抜けに明るい
血が繋がった親子以外にもいるのに………
皆同等に愛され育っていた
烈は「ボクの剣、村正に負けてないのよ!レイたん」と剣を出す
康太も「オレの剣だって負けてねぇかんな!」と言い剣自慢
榊原に「出すなと言ったでしょ!」と康太の頭に軽く拳骨を落とし、烈のお尻をペンペンした
レイはペンペンされた烈のお尻を撫でていた
凛はコッソリ服脱いでいるから、お尻ペンペンの流れ弾が当たったのも………言うまでもない
そしてチケットを慌ただしく取り
イギリスへ飛び立つ日当日の朝
朝早くから着替えを数枚詰めてイギリスへと向かう
皆は向こうで服を新調するつもりで、軽装で空港へと向かう
兄達もリュックに着替えを数枚入れての旅行となった
御影はこのチャンスにマンションに行き着替えを取って来ようと想っていた
なのに烈に「みかちゃんもおソロよ!」と謂われれば………それを着たいと思っちゃうのだった
飛行機に乗ると烈とレイは直に眠った
兄達は静かに本を読んだり過ごした
イギリスに到着すると、ヘンリーから搭乗時間を告げられた執事が更に大きなバスでお出迎えしてくれた
烈は執事に「マンションまでお願いします!」と告げた
執事は「イギリス滞在中はオブライエン家に一度お越し下さい、との事です!」と申し入れた
「解ってるわよ、でもその前にボクは記者会見あるから、それが終わらないと無理ね!
家族にオブライエン家を見せてあげてよ!」と言いバスに乗り込んだ
烈はヘンリーに「お迎えのバスに乗ったわ!」とラインすると直ぐ様返信があった
『了解!記者会見の準備は出来てるから!
そして竜馬、退院して来て、倭の国へ帰ったらDr.久遠に診て貰うって言ってるよ!』とボヤいた
烈は「せんせーに痛い治療お願いしとかなきゃ!」とボヤくと、レイはうんうん!と頷いた
「記者会見のスーツ用意してあるかしら?」
『デービットが新作を用意しているわよ!』
「ならマンションに着いたら直に着替えて出掛けるわ!」
『了解!』
リムジンバスでマンションまで送って貰う
バスを降りると執事は深々と頭を下げ、皆を見送り帰って行った
網膜センサーで網膜をスキャンしてエレベーターを開くと烈は祖父母やちっこいのを先に乗せた
「エレベーター降りたら待ってて!」と言い見送る
そして空になったエレベーターがやって来ると皆で乗り込み最上階へ逝く
エレベーターを降りると祖父母やちっこいのは待っていた
烈は部屋のカードキーを取り出すと、一番大きな部屋に行きロックを解除して部屋に入った
すると部屋の中にはメンバーと包帯だらけの竜馬と兵藤が待っていた
竜馬は烈を見ると飛び着いて抱き締めた
「りゅーま、大丈夫なの?」
「記者会見するんだろ?
寝てなんていられるかよ!
キッチリカタは取らないとね!
さぁ着替て行くよ!」と竜馬は言う
デービットは「スーツは用意してあるから!」と言うと部屋に入り着替えを始めた
【R&R】の皆は変装はバッチリで新作のトンプソンのスーツを着ていた
榊原は荷物を部屋に適当に入れると、珈琲を淹れに行った
メンバーは榊原が淹れてくれる珈琲が大好きだった
烈には紅茶を淹れて冷ましておいてやる
トンプソンのスーツに着替えた烈がやって来ると、「ヘンリー、この部屋のスペアキー、父しゃんに渡して!」と言った
ヘンリーは「兄さんが一緒に行動するから必要ないよ!」と言う
康太は「オリヴァーは記者会見に出ないのかよ?」と問い掛けた
「副社長が二人出るなら、僕はお留守番で構わないんだよ!
しかも今回はヨニー©イギリスの役職付き全員で現状を訴えてくれるそうだからね!」
康太は、あぁだから全員トンプソンの新作スーツなのか………と納得した
榊原が淹れてくれた珈琲を飲み、烈も着替えを済ませると紅茶を飲み、一息付く
そして飲み終えると烈は竜馬に身嗜みを整えて貰うと、深々と頭を下げ、背を向けて部屋を出て行った
メンバーも竜馬も続いて部屋を出て行った
オリヴァーはそれを見送り、深い溜め息を着いた
「んとに………リーダー抜きの竜馬は厄介よね……」とボヤく
兵藤も「だな、聞かねぇからな人の話!耳に入るのは烈の声だけだからな!」とやはりボヤく
康太は「んなに厄介だったのかよ?竜馬?」と問い掛けた
兵藤は烈がいない間の竜馬を切々と語って聞かせた
が、康太は「んなもんだろ?竜馬だからな!
烈と出逢った頃の竜馬は酷かったぜ!
なんたって鼻に付くわ、癪に障る話し方するわ、で3秒で跳び蹴りかましたんだもんな!」と爆笑した
兵藤は「その話よく聞くけどな、あんで3秒で跳び蹴りかまされて懐くのよ?俺にはサッパリ解らん!」と言った
オリヴァーは………何も言えず……たらーんとなった
康太は「おい、貴史、それはヨニー©イギリスの社長に喧嘩売ってる様もんだぞ!」と笑った
「え?オリヴァー??喧嘩なんて売ってねぇよ?」
「烈に跳び蹴りかまされ、一晩中説教されハッカー止めて、引きこもりも止めたオリヴァー・オブライエン氏だぜ?」
オリヴァーは真っ赤な顔になり「辞めてよ!康太さん!」と言った
そして「本当に跳び蹴りかまされ一晩中正座させられ説教されたんだよね僕………泣いても許してくれないし………魂の邂逅やられるし…………」と遠い目で呟いた
兵藤は慌てて「すまん!ごめん!オリヴァー!!」と謝罪した
「良いよ………跳び蹴りされたのは本当だし……
でもやっぱり僕はリーダーが大好きだよ!
リーダーは僕に仲間をくれた、そして人の大切さや、温もりや優しさをくれたんだ!
大嫌いで………顔を見るのも嫌だった親と………今こうして普通の親子みたいにしてられるのは烈のお陰だしね!」
じゃなきゃ今も捻くれて孤独に殻にこもって、世の中を恨み………ネジ曲がっていた………
オリヴァーは「僕さPrimary schoolの頃は赤毛でソバカスがあって………親に似つかない子と謂われていたんだよ………成長するに伴いブランドになって来たし、ソバカスも消えたけどね
僕は………本当に貰われっ子だと想ったんだ!
それで虐められて学校に行かなくなり………引きこもった
そして一族の恥と呼ばれ…………
家督も譲られない事が決まったんだ
でも、そんなのはどうでも良かった
僕はその時には一人で暮らせるお金はあったしね
…………多少投げ遣りなお子様だったんだよ」と過去の話をした
康太は「竜馬も貰われっ子だと思っていたな
アイツの顔は祖母と瓜二つなんだよ!
両親とは似ても似つかないかんな………それで多少ネジ曲がったんだよな………」と言う
兵藤は「だよな、繁雄にも智美にも似てねぇよな?他の子はどっちかに似てるのにな!」と言う
「アイツの顔は五代雪乃にソックリで、その気質は三木敦夫が志を共にした従兄弟にソックリなんだよ!だから従兄弟の名を取り「りょーま」じゃく「りゅーま」と呼ばせているんだよ!」と教える
兵藤でさえ知らされていない事実だった
従兄弟なのに………其れは知らなかった
兵藤は「それ、俺、知らなーずだぜ?」と言う
「そりゃそうだろ!若くして他界したからな
美緒が竜馬を可愛がるのは、敦夫の従兄弟を知ってるからだ!」
んとに、美緒は教えてくれねぇよな!と想う
が今はそんな事はどうでも良いのだ!
「さてと、デパートに買い物に行くんだろ?
んじゃ、行くとするか!」
皆でお出かけをする!
Harrodsへ出掛け、服を見る
女性の憧れHarrodsだった
女性陣は目の色を変えて浮足立っていた
なんたってHarrodsなのだ!
女性の憧れが詰まったデザートなのだ
皆は買い物へと繰り出して行った
兵藤はレイと手を繋ぎデパートへと向かった
康太は「ほぼ手ぶらで来ても帰りは荷物が大変そうだな………」とボヤく
榊原も「仕方ありません、女性の憧れHarrodsですから!」と諦めモード全開だった
だが家族が笑顔でいられるならば、それは最高の時間となるのだ
康太は榊原に「オレも服買って貰おうっと!」と言うと榊原は「君に良く似合ったのを買いますとも!」と言った
いざHarrodsへ!
楽しい時間の………多分………始まりだった
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