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第100話 五里霧中 ❺

家族や皆はそのニュースを、よく見るから頷いていた そんな野次馬の標的にされない為の移動なのだ 珍獣みたいにカメラを向けられたくはないし、平穏な日常がこんな事で壊されるのは………許せなかったからだ…… 取り敢えず 避難し夜は更け飛鳥井の家族は慣れたもので、日常を取り戻しつつあった 何処へ逝こうとも      家族がいれはそれて良い そんな想いで家族は日々を過ごしていた 飛鳥井の家族達は保育園の上のマンションに移り、騒ぎが収まるのを待った 家は移ったが、唐沢の意識改革は容赦なく行われる事となった 唐沢の長い夜が始まった 幼稚園の上のマンションに移った 翌朝  烈は会社へ出社する前に病院へと向かった 毎日消毒に通わないと久遠に怒られるからだ! 病院の立体駐車場へと向かう するとケントが「烈、駐車場へ入れません!」と言った 立体駐車場の料金所を塞ぐ様に車が停まり、空いてるスペースに所狭しと車が停められていた 挙げ句………緊急車両の搬入口から救急車両の停車スペースにまで、車が停められ………病院の入口前も違法駐車が停まっていた 烈は「此れじゃ……病院へ来た人が車を停められないじゃない!」と慌ててARЯK警備保障へ連絡して、違法駐車を通報して車を停められる様にして!と連絡を入れた マンションの住民も車が出せれなく、困っていた 烈は母に違法駐車の様子を写メで撮影し 「此れじゃ患者は来れないし、マンション住民は出勤も出来ないわ!母しゃん!」との言葉を入れ送信した そのラインを受け取り、康太は三木へ直ぐ連絡し 「飛鳥井記念病院辺りの違法駐車を取り締まってくれ!」と頼んだ 三木は『直ぐに動くとする!』と返信し、即座に動いた ARЯK警備保障の警備員がやって来て、違法駐車の車を現状を見て警察に連絡を入れ移動を呼び掛けさせた 撮影に夢中になっているのか? 警備員の呼び掛けに応える者はいなかった 康太の連絡を受けて、三木が寄越してくれた警察官が即座に動いてくれた 緊急車両のスペースにまで停めた車は、悪質と言う事で即座に駐車違反の切符を切った ARЯK警備保障の方からと、三木繁雄議員の方から同時に、警察署へ路駐を取り締まる様に依頼が来たから、警察署の方は即座に動き、違法駐車に対して警戒を強めて動いてくれていた 駐車場の料金所の出入り口を塞ぐ様に停められた車は、呼び掛けを無視したからレッカーで警察署まで運ばれて行った 烈は違法駐車を警戒して、取締る為に警備員を増員して見張ってくれ!と暦也にラインした 烈は違法駐車している車をナンバープレートが解る様に記録を残した そして施工の凛太郎に連絡して違法駐車をすると罰金が科せられる旨の看板を作ってくれ!と依頼した 『 飛鳥井記念病院からの注意勧告 病院の敷地内 緊急車両の駐車場、駐車場の出入り口に無断で違法駐車した場合は違反金10万円を請求致します! 人々の生命を脅かす行為には、警告と罰金を持って対処させて戴きます! 尚、罰金は弁護士経由で請求させて戴きます 無視された場合は訴訟となりますので、ご注意下さい!      飛鳥井記念病院 院長 』 と言う旨を書いて警告した看板を設置した また飛鳥井記念病院の方のホームページにも、その注意喚起を載せ徹底した 連日中継に来ていたテレビ局は、弾道ミサイルが撃ち込まれた様を放送していた そんな頃、東都日報の今枝浩二も烈を案じてコンタクトを取って来た 警察署の近くに家があると聞いた事があったから心配して連絡をくれたのだ 烈は今枝に「家族は無事だけど………連日、病院の駐車場には違法駐車が無くならなくて、警告の看板出しても…無視されてね…困ってるのよ! ボク等はそんな人間が沢山いると余計騒ぎになるから避難して別の家に移るしかなかったのよ」とボヤいた 今枝はその話を聞き、飛鳥井記念病院へと向かい現状把握をしに行くと……… 警備員が取り締まっても、注意している間に車を勝手に停めて行く者とのイザコザがあるのを目にした その中にテレビ局の下請けの取材班のロケ車を見つけた 今枝は東都日報の報道部の知り合いを見付けると 「この違法駐車をテレビで流してくれ…」と頼んだ そして烈から聞いたマンション住民や、病院へ来る患者も違法駐車で困ってる事を話した 頼まれた報道部のスタッフは即座に動いてくれ、違法駐車が後を絶たない実態を報道した その時、違法駐車をしている車の中に、堂々と駐車違反しているロケ車を見つけ、ニュースで流した 緊急車両のスペースに堂々と違法駐車しているロケ車の映像が映り込んでいる映像は見ている側に驚きを与えた このニュースを流したテレビ局のアナウンサーは 「病院側は迷惑駐車に対して、とても迷惑していて、警備員を増員したりして対応しているが、違法駐車が後を絶たず経費も嵩み大変迷惑しているそうです!」と言う旨を報道してくれた その放映中には他局のロケ車を堂々と停めている映像が流れ、その様子を見ていた一般人が、別の局のロケ車をInstaに上げた事により事態はかなり騒がれ、違法駐車をしたテレビ局は謝罪の旨をニュース番組で読み上げ謝罪した ちょっとした騒ぎとなり違法駐車したテレビ局はパッシングを受けて火消しに躍起になっていた 警察署は、そんな騒ぎを真摯に受け止め、駐車場のミサイルが落ちた穴は、即座に市民の目に触れぬ様に柵が設けられ目張りがされた そして一般人は近寄れない様にバリケードが設けられた事により、観に来ようとする野次馬は姿を消していた 其処までして、やっと野次馬はいなくなり落ち着いて診察を受けられる様になった また事態の沈静化を待っていた飛鳥井の家族は………病院の裏の家へ戻ろうか?と家族と話し合っていた 榊原が「用心に用心を重ねなければなりません! 騒がれるのは………家族の負担が大きいので慎重にならねばなりません」との言葉に家族は皆賛成し様子を見て安全と判断してから!となり 夏休みの間は幼稚園の上のマンションで過ごす事にして完全収束を待っていた 事態が落ち着いたからと言っても、まだ物見胡散に訪れる奴等はいるからだ! 完全に沈静化して静かになってから、移動する!それが家族の総意だった あれからガブリエルは天界に戻り天空神に日程のズレを話した すると天空神は「聖神達には3日早い日程を伝言させた故 ズレが出るのは当たり前の事!」と意図も簡単に言った ガブリエルは「その真意は?」と尋ねた ゼウスが「そりゃ頼んでおいたモノの設置をして貰う為じゃよ!」と言った ウラノスも「我等も何の考えもなく天界で世界会議を開くと申した訳では無い!」と申す アトラスも「あの小賢しいお子様二人には、人間側の対策の協力を願い、事前に来て貰わねばならないのだよ!」と言った ガブリエルは額に怒りマークを貼り付け 「ならば、あのお子様はそれを知っていてトボけたと言うのですか?」と吐き捨てた ゼウスは「まぁ先に地獄界へ行く気満々であったが…………暴動が起きると解っている暴風圏の中へ放り込むのは、座して死を待つ様なモノだから………予定を被せてみたのじゃよ!」と言う ガブリエルは「その暴動は確実なのですか?」と尋ねた ウラノスが「あぁ、確定した未来であるからな………阻止する為でもあるのだよ! それと人間側の対策として、自爆をされぬ様にする為の装置を依頼しておるのじゃよ!」と事情を話す アトラスは「今の所、賢人と賢者の弟子が一番熟知しておる故、依頼したのじゃよ! まぁかなりフッかけられたけど……仕方あるまいて………ヤツは全てにおいて等価交換を求める タダより高いモノはないと対価を要求する 我等も今回はかなり無理して要求には応えた だから最高のアイテムを天界に運んでくれる筈じゃろうて!」と笑う ガブリエルは「等価交換の対価とは?何なんですか?」と尋ねた お金かしら? それとも不死の寿命? それとも一攫千金、あ、お金か?それは? ガブリエルは想いに耽っているとゼウスが 「ヤツが金を要求すると想うか? 不死の寿命………それは既に持っておろう? なんたってヤツは神 聖神であるからな 多分………人の世を終えても魔界で神としての寿命を全うし、その後は冥府の地下深くでニブルヘイムと永遠の時を刻む気であろう! この地球(ほし)が存続する限り……ヤツはヘルメースと共に生きる そんなヤツが金や寿命など欲する事はまずない 金もあの年で資産はかなりあるからな、欲しがるかは解らぬ」と言う 「ならば何を望んだのですか?彼は?」 「まぁそれは見ていれば解るじゃろ!」 ゼウスが言うとアトラスとウラノスは頷いた ゼウスは「ヤツ等は……皆より早く天界へやって来る!天使達は今、人の世に向かい装置をバラバラにして運んでいる ヤツはそれを組み立てにやって来る……… 白い猫と設置に必要な人間を連れて来るらしい……ヤツ等はそのまま天界で過ごし8月1日、人間を天界へ迎える手助けをしてくれる! そして5日間 天界での会議は実現するのじゃよ!ヤツの知恵と努力なくして成功はせぬと言う事じゃよ! と言う事でガブリエル、明日は烈、レイ、クーと人を迎えに行くのじゃ! オーディンの馬車で行き乗せて来るのじゃ! 炎帝と夫殿は8月1日で構わぬ! 多分、炎帝はそれを視えていてトボけたのじゃろうて!」と笑った ガブリエルは「青龍も知っていたのですか?」と問い掛けた ゼウスは笑って 「あやつの意識は常に妻だけに向けられておる 妻が怒ったり騒いだりしなければ、奴は静観を決め込む!誠 バランスの取れた夫婦なのじゃよ! だから取り乱したりしなければ、何事もないと静観する!だから知っていたか?と聞かれれば【知らないであろう!】としか謂えぬがな!」と言う ガブリエルは本当に食えない奴等ばかりじゃないか!と心の中でボヤく! 一番食えないのは………ちっこいの二人 あのちっこいの………炎帝よりも食えない存在じゃないか! ガブリエルがそう思うと、鋭い嘴がガブリエルを突っ突いた ガブリエルは「痛い!」と突っ突いた奴を見ると…………聖鳥 朱鷺だった 「アイツはずっと【飛鳥井】と言う一族の中で生きて来た 転生したばかりの時は優しい……何処か非情になり切れないヤツだった だがそれだと炎帝に報う事すら出来ない……と転生する度に己を鍛え上げ、全ての感情を殺して生きて来た………とヘルメースが教えてくれた 今世 烈の魂を救い同化した時……烈の苦悩を知った………とヘルメースは教えてくれたんだ! だからそんな魂だからこそ………ヘルメースは哀しく輝いていて助けてやりたかった……と言った 今のアイツは………そんな哀しみの上に成り立っているんだ! 食えない……って一言で片付けるな!」 と………トリの癖に涙を流しながら言う ゼウスは聖鳥 朱鷺を抱き締め 「泣かずともよい……」と慰めた ガブリエルは朱鷺に「すみませんでした!」と謝罪した ウラノスは「人の世から職人がやって来るので、その手筈頼みますよ!」と死命を与えた ガブリエルは背筋を伸ばすと「はい!解ってます!」と答えた 天空神 三神は朱鷺と共に神殿へと向かった アトラスは「聖鳥 朱鷺は我が子の守護鳥であるからな……」と言い去って行った ガブリエルはオーディンを呼び出すと 「聖神とニブルヘイムとクーと必要な人間を連れて来て下さい!」と頼んだ オーディンは「今 何処の家に住んでるんだ? あのじぃさんの足取り追うのは至難の業だぜ? 儂だとて人間を追うのは無理がある……」とボヤいた ガブリエルも烈の傍へ姿を現すのは、大変だから探知機にもなるエンジェルリングに呼び掛け所在地を探り当てて姿を現すのだ ガブリエルは「僕が所在地を探り当てるので、乗せて行って下さい!」と言った オーディン仕方なくガブリエルを馬車に乗せて走り出した オーディンは「何やら大事な事態になって来たな………天界に人が来るなんて前代未聞の出来事だな………」とボヤいた 「三神がお決めになった事なので私には何も言えません…………私は総て三神の思いの儘動くだけです!」 オーディンは拗らせておるではないか………と想いつつガブリエルを乗せた その頃 烈は幼稚園上のマンションの屋上で優雅に茶をしていた 烈は少し前に白馬にいる桐生夏生に 「夏ちゃん、夏は何処か行く予定はあるの? 予定がないなら7月27日から横浜に来てくれる? 頼みたい事もあるし、駄目かしら? 白馬も猛暑でしょ? まぁ横浜も猛暑だけど、夏ちゃん癒してあげるわよ!」とラインをした 夏生は『特に予定がないから白馬でボーッとしてるつもりだったんだ! 烈が呼んでくれるなら、横浜に行こうかな! それに烈の頼み事ならば、何でも聞いてあげるよ!』と嬉しそうに返信があった 「おいでよ!夏ちゃん!」 そう言われ夏生は夏生は朝倉に送って貰い横浜へと、やって来たのだった 烈や翔達に大歓迎され飛鳥井の家にやって来た夏生は、寛いで過ごしていた 「夏ちゃんも来た事だし、ここいらで慰労会を開きたいのよね!」と烈が言うと 翔達や、北斗やちっこいの達は一緒に考え、話し合い、どうしたら家族に喜んで貰えるか?を話し合った 「夏ちゃんも来た事だし、暑い中お仕事頑張ってる母しゃん達は勿論、じぃさんやばぁしゃん達に感謝を伝えようと思うのよ!何かないかしら?」 流生は「大人って屋上とかでビール飲むってニュースで見たわよ!」と話題を振る 音弥は「あ、そのニュース見た事あるのよ! 仕事上がりの人達が夕涼みにビアガーデンに足を伸ばすから、毎日盛況だって!見た!」と言う 太陽は「ならビアガーデン再現しちゃう?」と言うと皆は大賛成だった 一生達に手伝って貰い屋上に観葉植物を置いたり、ライトアップしたり、ガーデンチェアとテーブルを置いたり 極めつけは大空の「作業現場に置いてある扇風機借りて来て、皆に風を行き渡らせれば、少しは涼しくないかしら?」だった 兄弟は頷いた 聡一郎が「なら遼一に聞いて大型扇風機借りて屋上へ運び込ませるよ!」と協力してくれた 一生と慎一兄弟は「ならば俺等は照明をビアガーデン風に頑張るよ!」と協力してくれた そして出来上がったビアガーデンを満喫する日 烈は皆に声を掛けていた 屋上には神野、須賀、柘植、相賀達も来ていた 真矢と清四郎と笙家族も呼ばれて来ていた 久遠と義泰、神威と志津子もやって来ていた 瑛太と清隆は「屋上にビアガーデン作ったわよ!」と言って出迎えくれた流生達に感激して屋上へと向かった 玲香の為に美緒にも声を掛けて呼び寄せていた 大人数でもゆったりした空間で飲めるビールは美味かった 烈は慎一に「ビア樽買って来て欲しいのよ! ビアガーデンにはビア樽でしょ?」と言うから買い付けて大型冷蔵庫で冷やしていたのだった 神野達は烈がアメリカから帰国して以降、中々連絡が取れなくて、こうして呼んで貰えて喜んていた 笙もこうして声を掛けて貰えて、嬉しくて仕方がなかった 皆一頻り ビアガーデンを楽しみ、ほろ酔いになりるとクーラーで冷えたキッチンへと場を変え向かう 大きなダイニングテーブルに皆腰掛けて、再び飲み始める 夏生は烈に世話を焼かれて始終笑い放しだった 流石にヨーコを見た時は「天使?」と呟いた程だけど………… ヨーコは飛鳥井の家族に服を買って貰ったり、玲香や京香に髪を結って貰ったりして可愛い格好をしていた あれから作法教室に通い始めた 礼儀と礼節を学び始め、賢いヨーコはメキメキと実力を発揮していた 「夏ちゃん 楽しんでる?」 烈が聞くと夏生は「楽しんでるよ!」と答えた 「もうじき夏ちゃんの旧友が来る頃だろうから、それに合わせて夏ちゃんを呼んだのよ! 飲み交わした事ないでしょ? この機会に一緒に飲むのよ!」 「…………え?………旧友………」 「そう、最近ボクのストーカーの様に現れるのよ!」 と笑う 康太と榊原は頷いていた 夏生は………そこ頷いちゃって良いのぉ〜と思った すると「誰がストーカーですか!用があるから来てるだけです!」とボヤく声がした 声の方を見るとガブリエルがオーディンと共に姿を現していた オーディンは神威の傍に行き 「儂も混ぜろ!」と言い飲み始めた 烈はビア樽からビールをコップに注ぐと、ガブリエルの前に置いた 「今は何も言わず飲むのよ! 要件は皆が寝た後でね!」と言い兄の傍に行き薄められたジュースを手渡して貰った 烈は「大成功だったね!ビアガーデン!」と言う 流生は「また今度楽しい企画を話し合いやりたいね!」と言う レイは流生に抱き着いて「れいも!やりゅ!」と言うと抱き締めた 竜胆は「あ~俺も一緒に飲めねぇのが残念でしようがねぇぜ!」と嘆いた 椋はそんな凛にジュースを手渡した 翔が「明日は屋上でビニールプールを膨らませるから、そしたら水浴びするのよ!」と言う ちっこいのは大喜びした 夏生は暖かい時間が流れる中にいるのが大好きだった 優しい思いやりに溢れた家族と共に過ごすのが大好きだった 神威は「ほれほれ夏生、お前は細っこいから食え!」と料理を前においてやる そしてついでにガブリエルの前にフルーツを置いて 「ほれ、そこのガブも食うが良い!」と言う 夏生とガブリエルは楽しく話し、美味しいモノを食べ最高の一時を送った 神野達も久し振りの時間に酔いしれていた 神野は「【R&R】のイベントとか、まだ予定も立ってねぇのか?」と問い掛けた 烈は「そーね、ボクは今忙しくて手一杯だから、それを片付けてからじゃないと……なのよ それと年末には、りゅーまも帰国するから、その後で考えようと思っているのよ!」と言う 須賀は「我等は何時でも全面協力するからね! でもイベントがなくても、用がなくても………時々はお茶して欲しいな………」と言う 烈は「何時だってお茶しましょうね! でもボク………明日から8月5日まで不在になるからね 還って来たら………ラインするわよ!」と歯切れが悪く言う 何かあるんだろうな…………と想いつつも 「それは楽しみに待ってるよ!」と答えた 柘植も「私も楽しみにしてます!」と言う どうかご無事に………と言う言葉は飲み込み……楽しい時間を過ごす その日 皆は泊まり、客間に布団を敷き雑魚寝をした 皆が客間に行って静かになった応接間には烈と康太と榊原とガブリエルと夏生が残った オーディンは客間で皆と共に酔い潰れて寝ていた ガブリエルは単刀直入に烈に 「人を天界へ連れて来られるのですか?」と問い掛けた 「可能な事だから、実行に移す時に来ているのよ!」と意図も簡単に答えた 「どうやって?………世界会議を開くと言うのは各国の要人が来ると言う事なのですよ?」 少なくない人数に………可能だとは思えなかった…… 「各国の要人達を指定した拠点となる地に行かせ、術者を立たせて魔法陣を出して天界へ転送するのよ! 倭の国は夏ちゃんに拠点に立ち魔法陣を出して貰うつもりなのよ! その為にお呼びしたのよ!」と言った 大体の話を聞いて了承した夏生は頷いていた 「地獄界と中華圏も術者に魔法陣を出させ転送する 欧米諸国はオーディンが連れて直接来るでしょ? アメリカは大統領府に転送装置があるから、それと繋いで天界へ飛ばすのは可能なのよ! 彼の国は特殊な文明の元に未知なる生物や未知なる領域に手を出しているからね! 大国でない国は世界を4つに区分して集まって貰うしかないから、その地へ足を運んて魔法陣の上に立って貰うしかないけどね!」 と意図も簡単に烈は言う ガブリエルは少し驚き 「人間を天界に………との話は何時位に出ていたのですか?」と問い掛けた 「事の始まりは、飛鳥井の球技場に宇宙コロニーから、大気圏を突破して弾道ミサイルが撃ち込まれた頃よ!」 え?そんな前から?…… ガブリエルは言葉もなかった 「宇宙コロニーから大気圏を突破して、弾道ミサイルが飛ばされた それは………この地球(ほし)に安全な地などない…と保証されたも同然! 今後 世界会議が開かれるとしたら…………必ずや妨害される可能性は捨てきれない! 常に狙われる脅威がある事になる この地球(ほし)の何処にも安全を保証する地は皆無となる………と、各国の国家元首が口々に唱え始めたのよ! 何時狙われるや知れない脅威があるからね だからこそ、冥府以外の所での【場】を模索し始めたのよ!」 「そんな前から……貴方は………果てを見据えていたのですか?」 「見据えているとかじゃなくね 其処へ逝くしか道はない………結論を出すしかなかったのよ ボクが冥府の間に出来た異空間を消しに行ったのは、そんな理由があったからなのよ あの異空間を消し去らねば、闇を自由に行き来出来ちゃうからね そんな自由は与えておいてはならない! だから無くしたのよ! 自由に宇宙に行かれ弾道ミサイルまで撃ち込まれたら………溜まったもんじゃないからね 実際………宇宙に逝かなくても弾道ミサイルは飛んで来たけどね でも宇宙の果てから飛ばされるのとでは、天地の差があるのよ! 地球からの弾道ミサイルでは天界にまでは飛ばせないからね……… そしたらもぉ本体が来るしかない 多分………各国の神々はそれを【狙って】いるのよ この地球(ほし)の為に命を賭しても……刺し違えてでも……その脅威からの解放される事を選んだのよ! ガブリエル、既に【その時】を迎えているのよ我々は……」 【その時】………を迎えているのだと言う言葉を、ガブリエルは黙って聞いていた 天空神 三神を天界に存在させた頃から、ガブリエルも薄々感じていた事だった 創造神がそれを許された事に……何か在ると感じていた それは総ては【その時】の為だったのだ 康太は黙って座っていた 榊原も何も言わず横に座っていた その静けさが………全てを物語っていた 烈は子供の様にニコッと笑うと 「ボクは母しゃんが護るべくこの地球(ほし)が好きだから…………レイたんと共に護ると決めたのよ!だから横槍は許さない! それが………例えガブたんだとしてもね…」と言う 夏生もニコッと笑って 「烈の進む果てを邪魔するならば、この身を賭したとしても排除する気だから!」と言う ガブリエルは「邪魔なんかしませんよ! そんな事したら炎帝に消されます! 嫌、その前に三神に消されますから、邪魔なんでしませんよ!」とボヤく 「ガブたん、8月1日までにボクが渡した魔法鏡を各国の拠点の神々に渡してね! その魔法鏡を魔法陣の上に重ね、光の道を切り開いて天界に呼び寄せるから! そのアイデアはね、あまちゃんの八咫鏡をヒントにして、それに近付いて考えて師匠達に日夜実験して貰いやっと出来上がった今世紀最大の発明だからね!」 「はい!大役を仰せ付けられたので頑張ります!」 ガブリエルが答えると夏生が「頑張らなくて良いと烈なら言うよ!」と笑った 烈も「そうよ!頑張らなくても良いのよ! 気負うと失敗するから、泰然自若でね! さてとボクはもう寝るわ! 母しゃん、父しゃん、夏ちゃん、ガブたんおやすみ!ガブたんは夏ちゃんの部屋で寝ると良いわ!」と言い自分の部屋に行ってしまった 榊原は「それでは私達も寝ましょう!夏生、ガブリエルをお願い出来ますか?」と言う 夏生は笑って「はい!僕の部屋で一緒に寝ます!」と答えた 康太は「ならば今夜は寝ちまえ!お休みな!」と言うと立ち上がり榊原と共に応接間を出て行った 夏生はカードキーを手にすると 「僕は皆が帰還するまでこの地に留まるから、お部屋を与えられるんだよ! 案内するからさ、一緒に寝ようよ!」と笑って言う ガブリエルは「貴方と雑魚寝するのは………天界におられた頃………以来ですね……」と呟いた 大天使の役に就く前、教育中の頃は何時も何方かの家へ行き共に寝て共に過ごした事がある……… 夏生は何も言わずガブリエルと共に部屋へと向かった お布団に入っても、他愛もない話は続き……何時しか寝落ちした とても幸せな時間だった 翌朝 烈は朝食を終えると施工の社員を呼び寄せた 「道具を持って集合よ!」とラインを送ると施工の社員5名がやって来た 慎一は施工の社員達にも朝食を取らせ腹を満たさせた 朝食を終えると烈は母に 「それではボクは一足先に行って来ます!」と告げた 7月28日朝の出来事だった 康太は「おー!気を付けて行って来い!オレと伊織が逝くまで無茶するんじゃねぇぞ!」と釘を差しておく 烈は「ゲートを作りに逝くだけだから大丈夫にゃのよ!」と言う 榊原は「何かあれば呼びなさい!そしたら父は龍になり駆け付けます!」と我が子を案じて口にする 烈は父に抱き着き、父の胸に顔を埋めた 父の………暖かで安心出来る胸に顔を埋めるのが大好きだった 烈は父から離れるとニコッと笑って 「はい!なら行って来るわね!」と言った 榊原は頷いた 烈は屋上へ皆と一緒に上がるとレイとクーと唐沢と施工の社員と共に、オーディンの馬車に乗り天界へと向かう 馬車の中は定員オーバーしそうな程だから、仕方なくガブリエルは飛んで天界へと向かった かなり飛んで、施工の社員達は馬車酔いしてクラクラになっていた 施工の社長の凛太郎も来ていたが 「うっ………馬車ってこんなにも不安定で………揺れるのですね……」と口を押さえながら言う 唐沢の方を見ると平気そうな顔をして馬車に乗っていた 烈は「唐ちゃんは大丈夫そうね………」と呟いた 唐沢は「あぁ俺か?俺は夜行列車とかトラックの荷台とか乗って移動とかあったからな 自衛隊にいた頃はセスナに乗って飛び降りてのミッションもあったからな 案外平気なんだよ!」と笑った 施工の社員達は耐えながら、唐沢に負けずと頑張っていた かなり飛んで、やっとこさ天界の入口に到着した 天界の入口は………かなり広い敷地面積を要し、綺麗な迎賓館と会議をするホールが建っていた そして人が天界へ入らない様に、境界には目には見えない壁が作られ、侵入出来ない様になっていた 烈はオーディンの馬車から降りるとガブリエルに 「馬車酔しちゃってるから、少し休憩させて!」と言った ガブリエルは「ならば此方へ!今宵お泊り戴く部屋に案内します!」と言い迎賓館へ向かい、部屋の方へ先に案内された 烈とレイとクーと唐沢で一部屋貰い、施工の社員で一部屋貰い、荷物を置くとラウンジに出掛けて一休みした 唐沢は「此処が天界か?」と問い掛けた 烈は「天界の入口よ、後で唐ちゃんはガブたんに頼み天界を案内して貰うわ!」と言った 「どうして……俺に……見せる?」 「唐ちゃんは色んな世界を知るべきなのよ この地球(ほし)の仕組みを知り、種族を知る そして総ての成り立ちを知るべきなのよ 今回は本当に良い機会だからお連れしただけよ 唐ちゃんは、そんな色んな世界の努力を知り 和平を貫いて貰いたいのよ! 種族は違えど………願う心は同じだからね!」 「烈…………」 「世界は広いのよ! 本当ならhellも見せたかったし、地獄界も見せたかったけどね、それを一ヶ月で成し遂げるのは無理だから、せめて魔界と天界と仙界は知って貰おうと想ったのよ! そしたら自分の仕事の意味を知るでしょ? 唐ちゃんの仕事は他の誰かが出来る仕事じゃないのよ! だからもっと誇りを持ち、胸を張るのよ!」 唐沢は烈の言葉を噛み締めていた 「唐ちゃん、世界は広いのよ! 小さい島国だけ見てちゃ駄目よ! 事件は電波して感染して行くんだから!」 「あぁ、今回良く解ったよ! ありがとう烈、俺に色んな世界を見せてくれて!」 烈は何も言わずに微笑んだ 暫くすると復活した施工の社員がラウンジにやって来た 凛太郎は「さぁ、此処に来た本来の仕事をしょうじゃないか!」と言う 烈は立ち上がるとクーにレイを託して、施工の社員と出て行った クーは「ガブリエル、唐沢に天界を見せてやってくれ!俺とレイは少し部屋で寝て来るとする レイが少し熱っぽいからな!」と言うと、ガブリエルは唐沢を連れてラウンジを出て行った クーはレイを連れて部屋へと戻った クーは「少し寝ろよ!烈が心配していたからな!」とベッドに押し込んだ レイは「くーたん……」と言いベッドに押し込まれた 「ほれほれ、少し寝ちまえ! 俺が添い寝してやるからな!」と言いレイの横に寝てやった レイはクーに抱かれて眠りに落ちた 烈は施工の社員と共にゲートとなるべく場所に出向いた ゼウスが出迎えて作業を見守る 烈は「人を迎える場は此処で良いのかしら?」と問い掛けた ゼウスは「あぁ、人はゲート前の魔法陣に転送されるから、このゲートを通らねば入れぬ様に、ゲートが完成したら境界を張る事になる!」と言う 「このゲートは頭にチップと脳を弄られた対策にはなるけど、洗脳は無理なのよね……」 「洗脳された存在を見抜くのは難しい じゃが不審な行動をすれば、オーディンのラグナロクの戦士によって始末される事となる! どんな手を使って妨害して来るかは解らぬが、我等だとて無策で出迎える訳では無い! 自爆対策だけしておきたい、そんな所じゃからな!」 「自爆されたら………巻き添えを食うからね それは避けたいのよね、ボクも!」 烈はボヤきつつ、施工の社員達に指示を出しながら、ゲートを作って行く 天界の時間の流れは人の世と近い だから天界へ到着した日を込みで3日で作成せねば、各国の要人達が来てしまうのだった キビキビとした動きでこの日は基礎を作る 明日はゲートの枠を組み、明後日は太陽石と敷き詰めたパネルを埋め込み、星石を通す そして電磁波と超音波を組み込んだ電磁結界を閻魔が来たら雷を注ぎ込んで貰い完成させる その為に閻魔だけ1日早く天界へ来て貰うのだ! その為にせっせと基礎を作り上げて行くのだった 電気がないから発電機を持参し、電動系の作業道具を使い組み立てる 充電は太陽石と雷石で電気に変換出来る様に、師匠達と実験し完成させ持ち込んでいた 基礎まで出来上がる頃には辺りは夕焼けに包まれていた 雲の上の空の上に天界は在る 大気圏の外じゃないから、時間の流れは人の世とは少しズレるだけで、日も暮れるし、夕焼けに染まる天界を見る事も出来るのだ 太陽に近いだけあって、夕日が濃い 目映い金色に天界が包まれる それは神秘的で美しい光景だった だが烈は地下深くにある魔界が大好きだった 祖父のいる魔界が大好きだった 今は太陽石の光に頼らずとも、世界樹が目映い光を運んで来てくれ、魔界を照らしてくれる 日が昇り、日が沈み、夜になる 世界樹は魔界時間に合わせて光を蓄積して放つ そして日が暮れる……… 世界樹がくれるぬくもりと光に魔界は活気付き、生まれ変わりつつある そんな風景を見るのが大好きだな、と、烈は思った 仕事を終えると烈と施工の社員は来賓館へ戻った 来賓館へ戻ると食事の用意がしてあると謂れ食堂へと向かった ガブリエルが烈を待ち構えていて 「烈、天界もクロス殿に何度も来て貰い、妖精達にも手伝って貰い作物を作り始めました 今はもう霞を食べているのではなく、ちゃんと美味しい野菜も果物も出来上がっているのです! まぁ世界会議では、野菜ばかり食べさせる訳にもいきませんからね 人の世にお肉とか料理を買い付けに行き、オーディンに頼みシェフも貸し出して貰えるそうなので、食事をして下さい! 無論ヘルシーなのをご用意してありますから!」と言い食堂へと案内された 施工の職員達と食事をしていると、レイとクー、そして唐沢もやって来た 烈は「レイたん大丈夫?」と問い掛けた レイはコクッと頷いた 皆で夕飯を食べ終えるとラウンジへと移動して、施工の社員達と明日の工事の工程を確認して、道具の確認をする 明日はゲートが設置されるのだ 失敗は許されない仕事をせねばならなかった 凛太郎は「俺は堅物と言われるけど………俗世にまみれた生活が好きだって再確認出来たかな…… 人の世に還ったら少しは柔和な存在になれるように努力しようと想う!」と今の想いを述べた 美しい、心まで磨かれる美しい世界にいても、想うのは飛鳥井で仕事をしていた日々ばかり…… お前、人間じゃないんじゃね? と謂われた事もある程、面白味のない人間なのは解っていた が………こうして天界の美しさに触れ…… 自分の生活は今更ながらに恋しいだなんて…… 人を愛そう そして子を成し 家庭を持とう そんな想いで一杯だった 絵を見ている様な世界は憧れるが………その場にいたいとは思えなかった 烈は笑って「ボクだって母しゃんや父しゃん、にーに達やばぁしゃん達のいる世界が好きよ! その場に大切な人がいなきゃ、世界なんて何処にいたって同じだからね! だから皆 還ろうと想うんじゃない!」と言うと凛太郎は何度も頷いて泣いた 施工の社員達は、まさかそんな副社長の姿を見るとは思ってもいなくて…… 何だか嬉しかった そして各々の部屋に戻り天界1日目は無事終えた 翌朝も早くからゲートの設置に取り掛かっていた 朝食を食べて直ぐに、ゲートの設置に向かった 天使達が何回も運び込んだ部品が番号順に並べられていた バラバラにバラされたゲートを組み立て始める この日は、ゲートを完成させる為だけに時間を使う 明日は太陽石と星石を組み込ませ、電磁波と超音波を放出出来るか?何度も実験する予定だった 施工の社員達は、天使に運び込ませた部品の中に梯子も運びませていたから、組み立てて高所の工事を始められる様に準備していた 烈はその工事を黙って見ていた 凛太郎達、施工の社員達は卒なく組み立てをしていきボルトで固定した この、ゲートは今後を見据えて、設置したままにする予定だった だからこそ、頑丈なゲートにせねばならなかった 世界会議レベルの会議が、この先幾度も天界で開かれる事になるだろう 人の世と然程の時間のズレかない天界は、魔界や地獄界とは違い、予定も立てやすいのだろう…… 例えば魔界で1日過ごすとしたら、人の世では2日過ぎてるだろうから………ド忙しい各国の要人を其処まで拘束するのは流石と不可能なのだう…… 他愛もない事を考えていると、凛太郎が 「烈、確認お願いします!」と言って来た 烈は「解ったわ!」と言い組み立てられたゲートを確認しに向かった ゲートは完成して、ガブリエル達上位天使に描かせた魔法陣の前に聳え立っていた 宵闇の前に作業は終わり、仕事道具を片付けた 天界に照明など作業の現場を照らすモノはない だからこそ、明るいうちに組み立てねばならないのだ 何とか組み立てをし、泊まってる迎賓館へと戻る 明日、太陽石と星石を組み込み放電出来たならば、完成となる そしたら施工の社員達は、飛鳥井建設までオーディンに乗せて貰い帰還するのだった 唐沢はやって来る閣下や倭の国の神々達を出迎え世界会議に参加する事になる 今年は烈とレイも参加する予定だった 迎賓館へ戻ると食堂へと向かい、夕飯を食べて部屋へと戻った 部屋には唐沢がいた 烈は「唐ちゃん今日は何して過ごしたのかしら?」と問い掛けた 「俺はクーとレイとで、ガブリエルのお手伝いをしていた! 迎賓館に宿泊する各国の要人の部屋割りと、人数分の食器の確認とか、やる事は沢山あった」 「明日でゲートは完成するからね 翌日は8月1日当日だから、出迎えで大変な事になるわよ! そして皆が揃ったら会議に突入するからロスタイムは無いから、キツい1日になる事間違いなしね!」 「烈は世界会議に参加するのか?」 「ボクは裏方でモニター見て変な動きしてるのをガブたんに教える役目があるから参加はしないわ!」 「レイもか?」 唐沢は不思議そうに問い掛けた 「レイたんは毘沙門天の横に座ってボクと視界を所有して視てくれる為に参加するわ! あ、世界会議の日は雨だから傘か合羽あるかしら?なければガブたんに借りるのよ!」 「え?天界に雨が降るのか? そりゃ………雨は何処でも降りそうだけど、何かイメージなかったわ!」 「天界に雨なんて降らないわよ! でもレイたんが魔法陣から出て来た奴を選別してくれる為にね、雨を降らせて闇に染まってないか?を、確かめてくれるのよ! その為にレイたんは天界に招集され、ボクはゲートの作成と裏で熱探知機で爆発しそうな奴を視る為に呼ばれたのよ!」 そしてトキはそんな妨害して来る奴等の為に、既に天界にいて気配を消しているのだ トキがいる事は唐沢でさえ知らない事だった 唐沢は「其処までしないと………いけない脅威が在ると謂う事なんだな………」と呟いた 烈は不敵に唇の端を吊り上げて嗤うと 「それでも来るわよ!気を引き締めるのよ!唐ちゃん!」と謂う! あぁ………そんな顔は……康太にソックリなんだな……… 太陽は母似で大空は父似、烈は…………何故が康太にソックリだった 血は繋がらなくとも魂を与し存在なのだと痛感した 烈とレイは早々に寝て、クーも唐沢も寝た 天界二日目の夜は更けた 翌朝 早くに閻魔が金龍と黒龍を引き連れてやって来た 「烈!来ましたよ!」と閻魔はご機嫌だった 烈は「えんちゃん!金ちゃん、黒ちゃん!」と言い閻魔に抱き着いた 閻魔は烈を抱き締めて笑っていた 「金ちゃんと黒ちゃんは護衛?」と問い掛けた 金龍は「烈の護衛じゃよ!烈にはこれ以上の怪我はさせぬよ!その為に来たのじゃよ!」と言う 烈は嬉しそうに笑い金龍に抱き着いた そして「さぁえんちゃん雷注いでね!」とやはり容赦のない事を言うのだった 唐沢は「魔界からは閻魔殿と書記官二人、守り神ニ軆が出席なさるとの事でしたが?」と足らない書記官をくちにする 閻魔は「書記官二人と守り神ニ軆は飛鳥井の家に泊まり、明日 閣下と炎帝夫妻と共に来る予定です! 私はほら、雷を搾り取られる為に1日早く来たのですよ!」と言い苦笑した 「えんちゃん、新調した閻魔の服持って来た? あの正装したえんちゃんカッコイイだろうね!」とウキウキ楽しそうに言う 「持って来ましたよ! 烈が指示を出して作ってくれた最高級の閻魔の正装なので着るのが楽しみです!」 錦糸と銀糸をふんだんに使い、更にグレードを高くして刺繍させ作らせた逸品だった それを一年の年月を掛けて製作したのだった 何処の会議に出ても恥ずかしくない魔界の代表を作らねばならない! 聖神の発案で縫製チームを作り、皆で力を合わせて作り上げた閻魔の正装だった それを着るのは明日 8月1日 今日はとことん雷を搾り取られるヘロヘロになる予定だった 閻魔は烈と共にゲートへ向かう そして埋め込められた星石と太陽石に雷を充電させる かなり搾り取られ、ガブリエルにヒーリングを掛けて貰う 世界会議の間は毎日、会場に備え付けられた結界に雷を注がねばならない閻魔だった 閻魔の雷で充満したゲートは蒼い稲妻を蓄えてピリピリ放電の時を待っていた 烈は何度か作動させ、無事に動くのを確かめると、再び閻魔に充電させた 「もぉ………カスも出ません……」と言う所まで絞られ終わる ガブリエルは可哀想になりヒーリングを掛けまくってあげた そしてゲートが完成すると施工の社員達はオーディンの馬車に乗り帰還する事になった 烈は施工の社員達を見送り、閻魔と共に迎賓館へと還った 閻魔は個室を貰い金龍達は烈の横の部屋、施工の社員達が泊まっていた部屋に泊まる事になった レイは「きんたん!きゅろたん!」と喜んでいた 金龍はレイを抱き上げてスリスリしていた もうすっかり好々爺になっていた 閻魔と夕飯を取っていると閻魔は 「金龍と黒龍が武器を手にしていたましたが、あれは烈が?」と問い掛けた 最近の金龍と黒龍は武器を手にして実戦訓練をしていた その為に週に一度は人の世に顔を出し、鷹司の道場で実戦訓練を学んでいるのだった 烈は「アレはレイたんが呼び寄せた武器らしくてね、金たんの武器は天魔反戈、黒たん倚天の剣と言う羅刹天が下さった剣なのよ!」と説明 「天魔反戈………本物ですか?」 「本物よ!別名 天逆鉾とも言う 別名があるだけあって、本物も確かに存在するのよ レイたんの呼び掛けに反応して来たのよ 心配になり天逆鉾抜けてないか?調べたら変わりなく在るから………天魔反戈と言う神器なのかもね まぁ解らないけど本物なのは確かだから!」 閻魔は言葉もなかったが……気を取り直して 「彼等は己の武器を使いこなせるまでには鍛錬して参りました! なので烈の護衛になり得る存在になりました為に連れて参りました!」と言う 烈は「金ちゃんと黒ちゃんは武器なんかなくても頼りになる存在よ!」と笑って言う そして真顔になると「魔界の準備は大丈夫?」と問い掛けた 閻魔は笑って「大丈夫です!親父殿と素戔嗚殿転輪聖王と共に天馬戦争の覇者が護っております!」と答えた 隙を狙うのが大好きな性格しているから、世界会議の最中ならばトップ不在を狙うに違いないからだ 閻魔は「地獄界は元始天尊が参り、羅刹天は地獄界を護るそうです! 北欧はオーディンが、天界をラグナロクの戦士に任せ、hellを護るそうです! なので我等は皆を信じて、己の死命の完遂を致します!」と告げた 烈は黙って頷いた 無傷では還れはしないだろう……… 何が在るかは解らない だけど仕掛けて来るのは解っている……… 不穏な空気ならば……嫌な程に感じている だが我等には引き返す道など残されてはいなかった そして明日はやっとの事で迎える8月1日 明日になれば母しゃんが来る……… 父しゃんもやって来る やれる事は全てやりきった だが視界は………まだ開けては来ない 不安を抱えつつも、烈達は眠る事にした

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