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第99話 五里霧中 ❹

烈に核心を突かれて、康太は苦笑して 「あー!解ったか………烈ならその草薙剣で唐沢の柵を切ってくれねぇか?期待したんだよ! ソイツの心は頑なだからな、気は許しても心は許してない………心の奥に硬い扉があって幾重にも鎖で搦められている心が視えるんだよ! まぁ内閣調査室の室長なんかしてる人間だから、エリートなんだけど唐沢は叩き上げの現場の人間だったんだよ! 三木敦夫が唐沢の本質を見て今のポジションに据えた、異質のエリートなんだよ!」と話した 「今まではそれで良かったのよ でも今後は………もっと困難な時代へ突入するからね、チームで動くならば信頼と結束がなければ乗り越えられはしない……… 唐沢を最低でも半月が一ヶ月位、ボクと行動を共にする様に命令出せるかしら?母しゃん?」 「それは必要な事なのか?」 康太は問い掛けた 「必要よ、今後の唐沢の運命が何方へ転ぶか………なのよ! あ、妻を娶るとか浮ついた話じゃないからね! 心の在り方の問題なのよ 此処でその空洞の心を何とかしないと………ポキっと折れるわよ! さぁ母しゃん、唐沢の果てを視てみるのよ! 変革期の今ならば視えるんじゃない?」 烈が言うと康太は唐沢を視た 唐沢の心は…………虚無に陥りそうだった 康太は「なっ!!…………何だよ……」と呟いた 「忙しい日々、人の見たがらない世界を一手に引き受けて処理をする 若い頃は三木敦夫に認められた責任と自負が己を支えた だが今は………日々膨れ上がって行く仕事量に………虚無に陥り………死命だけで日々を過ごしている 此処いらで軌道修正を図らないと唐沢は廃人になるわよ!」 そんな未来しかない姿が……康太の視る果てに映し出されていた 康太は「うし!勝也に唐沢は倒れて一ヶ月位治療が必要となった、と伝えとく! 今 この瞬間から烈と共に逝くが良い!」と言った 「じゃ、行こうかしら?唐ちゃん! 警察署から菩提寺まで二人を連れて来て貰えないかしら?」 烈が言うと唐沢は「部下に頼み連れて越させよう!その時に………休暇に突入する事は伝える……」と口にした 康太は「あ、ヨーコ連れて歩けよ!あの子は仕事を与えたら伊織の仕事まで片付けやがる!」とボヤいた 「IQテスト180超えしてるから仕方ないわよ まぁ天才でも世間とのズレと……語彙が足りないし敬意も足らない、敬語も知らないのよ……… 感情表現も足らないのよ………何処に置いてきたのかしら?」 「それは……ほぼ唐沢と一緒やんか!」 「そーよね、母しゃん、西村にヨーコ連れて越させて!そしたらボクはケント呼び出して菩提寺に行くから!」 「了解した!」 「明日の朝は慎一君に研究所まで乗せて行って貰える様に話をしたから、その分仕事上げておいてね!」 「うっ……了解した!」 榊原は西村に言いつけヨーコを連れて越させた 烈はケントに地下駐車場で待っててと連絡を入れた 康太は安曇に電話して、唐沢は病気で倒れた、一ヶ月位は静養が必要だと電話をして伝えた 安曇は『そうですか……唐沢は有給一つ取らないですから、この機会に有給消化させてくれると有り難いです!総て了承致し手配します!』と言ってくれ、唐沢の休暇が決定した ヨーコが来賓室に来ると烈は立ち上がり、ノートパソコンを父に託して、エレベーターに乗り地下駐車場へと向かった 唐沢は呆然としたまま烈と共に行動した ケントの車のドアを開けると烈は 「ヨーコと唐ちゃんは後部座席に乗ってね!」と言う 唐沢は後部座席に乗り込むなり 「この美女は誰なんだ?」と問い掛けた 「ヨニー©ウッズスタン JAPANの副社長になるべく存在の、山本洋子さんよ!」 長い部分は省いて紹介する 唐沢は嘘つけ……絶対に外国人やろ!と思った ヨーコは「ヨーコだ!お前は誰なんだ?」と問い掛けた 「俺は唐沢だ!」 「カラチャワ?」 外人には唐沢はハードルが高かった 烈は「カラちゃんで構わないわよ!」と言う 「おー!それなら言える!カラちゃん宜しく!」 「宜しくヨーコ!」 烈は倭の国での、常識と敬語を知らないヨーコに頭痛を覚えていた 綺麗………少しは敬語とか教えておくべきよ…………と心の中でボヤいた 菩提寺へ到着すると、唐沢の部下が貴教と敦之を連れて来ていた 唐沢は小童を引き渡して貰うと、部下に「俺はどうやら休暇を取らされてしまったみたいだ………後は頼む……」と告げた 部下は「班長は忙し過ぎたので……我々も少し休んで欲しかったので良かったです!」と言った 菩提寺の住職 城之内と倅の竜之介が烈が来たのを察しやって来た 「あ、城之内、竜之介、この小童を捕まえて逃さないでね!」と頼んだ 城之内と竜之介は唐沢の部下から小童を引き渡して貰うと、その体を捕まえた 少し抵抗して暴れると腕を締め上げ「大人しくしろ!」とドスを効かせ話す 烈は「やっぱ城之内は関東最強の暴走族だっただけあって迫力は今も凄いのよね!」とウキウキして話す 城之内は「止せよ烈、照れるって!」と言う 烈は何かを思い出したように 「あ、そうだ城之内に門倉何処へ行ったか?聞きたかったのよ!」と問い掛けた 城之内は「え?門倉、今飛鳥井にいないのか?」と問い掛けた そう言えば、此処数年………門倉仁志の姿は見ていなかった 「そーなのよ!ボクが会社に出た頃から姿見ないのよ………今何してる? 道だけ外れなきゃ良いんだけど……って想って聞いたのよ……」 「俺が探せる範囲で解るならば探りを入れるとする!」 「ボクは実質、門倉見てないから占えないのよ 会えば大概はその人の星回りが解るんだけどね 会った事さえないから詠めないのよ………」 「うしうし!俺で出来る事ならしてやる! 解らなければ、老体に鞭打って仲間を動かし探ってみるとする!」 「悪いわね……城之内……」 「気にするな!宗右衛門の頼みならば我等一族は何を置いても動くと決めている!」 城之内と話していると、ふと頭の中に声が響いて烈は驚いて 「あ!!やっぱり………其れを言うのね………」と呟いた 「え?何をだ?」 「………大丈夫、どの道魔界へ逝くから調べて来るから大丈夫なのよ! それではボクは試練の道から神の道を通り魔界へと出るわね!」 「おー!気を付けて行って来い!」 烈はケントにもう戻っても構わない、と言うと、ケントは待機所へと戻って行った 烈は本殿 儀式の間へと向かい、襖をスパーンと開けて中に入ると、唐沢とヨーコも入った そして城之内と竜之介は小童二人を押し込めて襖をスパンッと閉めた 烈は直ぐ様呪文を唱えると、辺りは真っ暗になった 烈は「さぁ歩きなさい!」と言い歩き出した 唐沢は「此処は何処なんだよ?」と問い掛けた 「此処はね黄泉の旅路、通称 神の道と呼ばれる魔界へ行く道なのよ! 今回の件は黄泉の旅路を護る守護者に申請してあるから襲っては来ないだろうけど、大人しく歩くのよ!」 唐沢は此れが黄泉の旅路……通称 神の道なのか?と思った 神の道を一歩通れば………骸骨が番人のように道に並び監視する 貴教と敦之は恐怖のあまり………膝がガクガクなっていた それなのに唐沢が引き摺って逝くから………仕方なく歩いていた 暫くして明るくなると外に出られた …………が、其処は何も無い荒廃した景色が在るだけだった 八仙がプカプカ宙を歩きやって来る 「その者は地獄に落とす者達か?」と問い掛けた 「地獄に堕ちるのは小童二人よ! こっちの大きいのは魔界と言う場所を知らせる為に来たのよ! 男の方は政府の役人だし、きっと死んだ後、役に立つ存在になれるのよ だから早めに手を打ってるのよ!」と答えた 「そうか、なれば丁重な持て成しをせねばな!」と言い八仙はスーッと息を吸うと 「黒龍!来るのじゃ!」と龍族にまで声が届く様な大声で叫んだ すると暫くすると漆黒の龍が飛んで来て 「何か用かよ?八仙!」と言った 「その者達を乗せて行ってやれ!」と言った 黒龍は「烈!どうしたんだよ?良いぜ!さぁ乗れよ!」と言った 烈はサッサと黒龍の背に乗った 唐沢は小童二人を放り投げるとヨーコを乗せて、自分も乗った 「黒ちゃんに乗れるなんて嬉しいわ! 黒ちゃん、充実した日々を送ってるのね! 鱗の艶も良いじゃない!漆黒度上がっててカッコイイのよ!」 と褒めてくれる 黒龍は嬉しくなり頑張って飛んだ 「其れより何しに来たのよ?烈 そっちの奴ら人間だろ?」 「小童二人は地獄に落としに来たのよ! で、男の方は唐沢、母しゃんの為に動く男よ 死したら魔界で働かせたら? この男は重宝するわよ、何せ過酷な職場で仕事して来てるからね! で、女性の方はヨーコ、其処にいたから連れて来るしかなかったのよ でも彼女は魔界如きじゃ驚かないから大丈夫よ!」 黒龍は何と言う言い分なんだよ……想いつつ閻魔の邸宅まで乗せてやる 中庭に降りると閻魔の執務室へと皆を連れて行った 閻魔は司録を呼び出し、閻魔庁の者達と仕事をしていた ノックがなされ司録がドアを開けに行く 司録は「黒龍、八仙の用は何だったんだよ?」と問い掛けた 「あぁ、烈のお迎えに行って来たんだよ!」 そう言い黒龍は烈と客人を執務室の中へ入れた 閻魔は小童二人を目にすると 「その子達ですか?」と問い掛けた 「そーよ!どうしょうもないクズだから、扱き使って人の命の価値を教えてやって!」 「この前の子より……か弱く小さいですね ならば地獄の仕事はないですかね?」 「駄目よ、地獄の仕事をさせて! ならば、賽の河原のゴミ拾いでもさせようかしら?」 「それは良いですね! サボっていたなら鬼にシバいて貰いましょう この二人のお目つき役の鬼を用意し、働かせましょう! では鬼を呼びに行かせましょう!」 閻魔は部下に今年、鬼になったばかりの新米二鬼を呼びに行かせた 新米の鬼が来ると貴教と敦之はガシッと肩を掴まれた 烈は貴教と敦之に「貴方達は本当にゴミクズ以下の存在に成り下がったのね だから本当の地獄へ落としてやったのよ! 此処から這い上がるも、落ち零れて亡者に成り下がるも好きになさい! 人間性が腐ってるから……地獄で人と言うモノを学び直しなさい! 無論、君達の親の了承は得てるから! さぁ、−0からのスタートラインに立たされたのよ どうする? この先の道を決めるのは貴方達の努力次第! 人として生きたいのならば、己を見つめ直して、今後の行いで決める事になる! だから心して過ごしなさい!」と言った 貴教は何も言わなかった…… ヤードで出逢った時から格の違いを………痛感させられて打ちのめされているのだ 敦之は「僕にこんな無体はたらいてどうなるか?知ってるか?父さんに言えばお前なんて跡形もなく消されるんだぞ!」と強気で言う 「繁雄がボクを消す?笑わせないでよ! 本当に躾のなってないガキね! お前の父親なんてボクは怖くもないのよ! そしてお前は………その性根を叩き直されなきゃ、永久に地獄から出られはしない! 現実をよーく見極めて発言なさい!」 圧倒的な貫禄と威厳がある……… 敦之は何も言えなくなっていた……… 小童二人は鬼が連れて行き、この日から地獄で働く事となった 小童がいなくなると閻魔は 「此方の方は何方なんですか?」と尋ねた 「彼はね内閣調査室の室長をている唐沢よ! 彼はねきっと死して地獄へ来れば良い働きをしてくれると思うのよね! だから今から売り込んでこうと想って連れて来たのよ! 女性の方は、たまたま其処にいたから連れて来ただけよ!」 「あまりの美しさに妖精か女神かと想いました……」 と閻魔はその造形の美しさに感心しながら言う 「其れより、えんちゃん、聞きたい事があるのよ」 「何ですか?」 「海坊主こと、弥勒院厳正の魂は源右衛門の傍で転生に入ったのかしら?」 「え?何故今其れを問われるのですか?」 「………母しゃんは何も言わないけど……再び美濃部一徳の名が出た時から、薄々と感じる何かがあるのよ………下手したら弥勒院厳正の魂は……悪用されてるんじゃないか………って……… 弥勒院の海坊主と源右衛門はワンセット転生が義務付けられている だけど、魂の管理庁へ朱雀に頼み連れて行って貰った時に、源右衛門と共に控えてる魂の確認をしたわ、そしたら妻の清香は控えていたが、弥勒院の魂はなかったわ…… 何処かへ紛れてるのかしら?と言う話になったけど、朱雀は今は直ぐに魔界に来れる状況じゃないから………今度時間を作って……との話になってるのよ」 閻魔は驚愕の瞳を烈に向けた 「それは本当ですか?」 「母しゃんは夜叉王は消えたのに………何故今……と驚いていた そして美濃部一徳の話を聞いた 弥勒の遠い縁者………今は廃れて継ぐ者もいない………との話も聞いたわ だから【今】その名が出た以上は厳正の魂は何処へ行ったのか?聞く必要があるのよ! 本当に母しゃんの果てが狂い過ぎなのよ! ボクもね、それに気づかずにいたのよ でも菩提寺へ行った時………紫雲から思念が送られて来たのよ 魔界へ逝くならば、弥勒院厳正の魂が今何処に在るのか……を、調べて来る様に………ってね! だから敢えて聞くのよ! 紫雲が思念を送って来てるって事は………美濃部一徳は消えてはいないって事なのよ 声優の体に寄生して役目を終えたから消した それだけでまだまだ………終わってなんかいない そう言う理由なのよ、えんちゃん………」 黙って聞いていた司録が「ならば今、俺が魂の管理庁へ行き調べて来てやるよ!」と言った 黒龍も「俺も行く!俺も行って調べて来てやるよ!」と言ってくれ、二人は執務室を出て行った 閻魔は二人を見送り 「今現在の美濃部一徳は厳正の可能性が大きい………と?」 「魂がないなら……その可能性は大なのよ! 人の世の父だった存在がどうなったか…弥勒も聞きたいだろうから……話しに逝かないと駄目なのよ それも総て………厳正の魂を確認した後なのよ!」 閻魔は苦渋の表情を浮かべ………… 「管理が杜撰な時に………持ち出された可能性は大きいですね………」と現実を口にした 暫くして戻って来た司録と黒龍は疲れ切った顔をして、烈の前に向き直ると 「弥勒院厳正の魂はどこを探してもなかった!」と告げた 烈は「やはり………そう言う事か………」と呟いた 閻魔は「此れより………どうされます?」と問い掛けた 「どうも出来ないわよ……奪われた魂は………もう戻らない……… 弥勒にはこの事を告げねばならないわね…… 貴也の様子を見たらボクは帰るとするわ!」 「了解しました!黒龍、烈を貴也の所へ送り、ついでに人の世に送って下さい!」と言う 黒龍は「了解だ、なら行くとするか烈!」と言った 烈は「まだまだ五里霧中の中にいるみたいね…… 何時になったら視界がハッキリするのかしら?」とボヤいた そうボヤいて黒龍と共に貴也の所へと向かった 黒龍の背中に乗り地獄の空を飛ぶ 唐沢は「え………此処が地獄ですか?」と問い掛けた 目の前には………地獄絵巻………其の物の世界が繰り広げられていた…… 白い着物を着た亡者に鬼達が試練を与える 鬼達はやけにイケメンも混ざっているのが………現実味があり怖かった 鬼達は烈を見ると「烈!!」と嬉しそうに声を掛けた 黒龍は烈達を下ろすと人の姿になった 烈は「鬼ちゃん達、貴也は?どう?」と問い掛けた 「素戔嗚殿が連日連夜鍛えていますから、今は少しだけ仕事をさせられてます! また良い奴なので、我等も仲良く仕事しています!」と答えた 烈は貴也を視た 貴也は必死に与えられた仕事を熟していた まだ力がないから、倒れそうになりつつ頑張って仕事をしていた 烈は貴也の傍に行くと「どう?この世界は?」と問い掛けた もう地獄に落とされた時のクズではなかった……… 貴也は憑き物が落ちた顔をして 「キツいです………ですが僕が怠けてサボって人をナメて過ごしたツケが回って来たのだから仕方ない………親を泣かせ謀り傷付けましたから……… 償う為に今は頑張ろうと思っています!」 と言った 「貴教と三木敦之も地獄に落としたから! 今は賽の河原のゴミ拾いしてるわ! そのうち軽い軽作業でもやらせるつもりよ そして変わらねば………永遠に抜けられない すっとこの地獄で亡者と成り果て朽ちていくしかない! 貴方の弟もいる事だし、少しだけ気に掛けてやって! あの二人は、地獄の鬼達と同じ寮で寝泊まりして、過ごす事になるから!」 「そうですか……俺が………貴教を増長させてしまった………機会がある今ならば、教育して叩き直して、二人で人の世に戻りたいと思います!」 烈はニコッと笑って「敦之も頼める?」と言う 「はい、やれる限りの事はします そして両親に誇れる自分になり、逢いたい……… それが今の自分を支えています! そして、やはり素戔嗚殿が気に掛けて下さるこの現状に甘んじているだけではなく、もっと力をつけて役にも立ちたいのです!」 「貴也、貴方はもし人の世に還ったとしても【安曇】の姓は捨てなきゃ駄目って言われたらどうする?」 「姓を捨てたって僕の両親は安曇勝也と登紀子です!それさえ解ってれば………受け入れられると想います!」 「そう、ならムキムキになった頃、また会いに来るわ!その時【あなた】を視せてよ!」 「はい!」 烈は貴也の側を離れると鬼達に 「鬼ちゃん達、ありがとうね! 後でじぃさんにデカスイカ差し入れに越させるわ!」 と言う 鬼達は【やったー!】と喜んでいた 賽の河原を見ると小童二人が鬼に怒られ仕事をしていた それを目にして背を向けると「なら黒ちゃん帰るわ!」と言った 黒龍は龍になると烈達を乗せて天高く飛んだ 烈は「黒ちゃん、今夜は飛鳥井でお酒飲んで還ったら?」と魅力的なお誘いをする 黒龍は「そうか、なら楽しく飲んでから帰るわ!」と言った 「魔界へ還ったら、鬼ちゃん達にデカスイカの差し入れしてって、じぃさんに伝えておいてね!」 「あぁ、解ってる!帰ったら伝えとく!」 気流に乗り人の世に向かう 飛鳥井記念病院の隣のマンションの屋上へと烈達を下ろすと、黒龍は人の姿になった 「まずはカズに黒ちゃんを託さなくっちゃ!」と言い一生に連絡を入れた! 「カズ、家にいるなら取りに来て欲しいのよ!」 とラインを入れた すると直ぐ様一生から返信が有った 『何処にいる?今から迎えに行く!』 「病院の隣のマンションのエレベーターを降りてる所よ!」 『うし!ならエレベーターの前に行く!』 烈は携帯をしまうと一階まで降りた エレベーターのドアが開くと、一生がいてくれた 「カズ、黒ちゃんを持て成して! 魔界から送ってくれたのよ!頼める?」 「良いぞ、お前は何処へ行くのよ?」 「ボクは病院、自分の消毒と内臓系壊してる唐沢を診て貰う為にね!」 「ならヨーコは家に連れ帰って大丈夫か?」 「頼める?それと暇があるなら……ヨーコに敬語と礼節を叩き込んで欲しいのよ!」 「それは母さんに頼んどく 俺は家の事のお手伝いを今、翔達と教えてる最中だからな!」 「ならばぁしゃんに頼んでおいて! ほら、唐ちゃん逝くわよ! あ、カズ………弥勒………呼んでおいてくれないかしら?」 「弥勒?了解した、なら兄貴を飛鳥井へ連れて行ったら迎えに行くとするわ!」 「頼むわね………」 やけに深刻な烈の顔に一生は不安になりつつも、病院へと送り出してやる 烈は病院へ入って逝くと、受け付けが即座に久遠に知らせた 直ぐ様、久遠がやって来て「烈、どうした?怪我でもしたのか?」と心配して聞いて来た 烈は「せんせー、唐沢診てくれないかしら?」と言う 久遠は「うし!診てやるよ!さぁ検査に行くぞ! 烈は消毒してやるからな!」と言い唐沢をズンズン引き摺り連れて行った 久遠は病院のスタッフに検査の指示書を渡し、検査をして来る様に伝えた 唐沢は病院のスタッフに引き摺られ………検査に向かった 烈は院長室で消毒して貰っていた 「ねぇせんせー、20歳そこそこの女性の健康診断して欲しいのよ! 後………女性的な検査もして欲しいのよ 頼めないかしら?」 「それは誰よ?」 「ヨニー©ウッズスタンJAPANの副社長にするべき存在の女性なんだけどね ロシアから帰化して親に捨てられ、綺麗に拾われ生活していた………って言うからね 身体的にどんな状況かも解らないのよ………」 「連れて来るなら検査はしてやる! 女性的な検査は総合病院に連れて行きしてやる で、保険証とかあるのか?」 「有るわ、その時にボクが持って来るわね! で、その女性が見たいなら今夜………飛鳥井に来てくれるなら逢えるわ! 飛鳥井の家に放り込んだからね 生活や常識………少しズレてるのよ……… 見た目は完璧な女性なのに………自分に対しては無関心で………己を少しも顧みないのよ」 「なら今夜、親父とお袋と共にお邪魔させて貰うよ!って今も結構夜だぜ?烈!」 「魔界に行ってたから、還ったらこんな時間なのは仕方ないのよ! なら一緒に行きましょう!」 話していると唐沢が検査から連れて来られた 検査報告を渡され久遠はピキッと怒りマークを浮かべた 「てめぇー、唐沢、己の健康管理はしろと、言ったよな?」 唐沢はペコッと頭を下げ謝罪した 烈は「明日から少し通うのよ、自分の事を誰よりも大切にしてやる! 唐ちゃんはさ、まずは其処から始めないと駄目かもね!」と言った 久遠が義泰を呼ぶと志津子もやって来て、一緒に飛鳥井の家へと還った 飛鳥井の家へ帰ると久遠達を客間に連れて行った 客間に入り………久遠は足を止めた 義泰がぶつかり「おい!譲!」と怒る たが義泰も部屋に入り固まった……… ヨーコは可愛いフリフリの服を着ていた 「ヨーコ、その服どうしたの?」 と烈が聞くとヨーコは「レーカに買って貰ったのだ!」と喜んだ 烈は玲香の前に行き、「ばぁしゃん、ありがとう!」と言い深々と頭を下げた 玲香は「止めるのじゃ烈!」と言った 「ばぁしゃんは優しいのよ! ボク嬉しくてね!」と抱き着いた 玲香は「飛鳥井の家に若いおなごはおらぬからな つい買ってしまうのじゃよ!」と言う  「ボクね、おなごの服はサッパリ解らないのよ ズロースとか乳あてとかどうしようかと思っていたのよ…………」 聡一郎は爆笑して「なら義母さんと京香連れて僕らが買いに行って上げようか?」と言ってくれた 「良いの?そーちゃん」 「僕も男だからブラとかは………無理だから………二人に頼むけど、服なら任せてよ!」 「ヨーコは着の身着のまま綺麗に拾われて、最低限の荷物しか持っていなかったのよ……… だから……せんせーに頼んで夫人系の病気とか……調べてもらうのよ!」と言う そしてヨーコの手を引き立ち上がらせると 「山本洋子と言うのよ。本当は凄く長いのよ……… 詠唱するだけで1分は必要な程の名前だから略して山本洋子にしてあるのよ! せんせー達はヨーコと呼んでやってね!」 と久遠と義泰と志津子に言う 志津子は「美しい子ね、まるで妖精や天使のようね!」と色素の薄さに、そんなイメージを口にする 「仲良くしてあげてね!」と頼み、烈は弥勒の姿を見付けると「弥勒、話があるのよ!」と言った 弥勒は「何処で話す?」と聞くと康太が 「応接間を使えよ! 皆は客間で飲んでるから応接間に行く事はねぇからな!」と言った クーは烈の肩に飛び乗った 烈は弥勒を連れて応接間へと向かった 康太も一緒に着いて行くと、榊原はお茶を淹れに行った 応接間のソファーに座ると烈は口を開いた 「ボクはさっきまで魔界にいたのよ 紫雲が魔界に行くならば弥勒院厳正の魂を確認して来てくれ、と思念を飛ばして言ったから確認をしに行ったのよ!」と言った 弥勒はまさか海坊主の件だとは思ってもいなくて………「親父?……まさか…親父の魂が紛失しているとでも言うのか?」と呟いた 康太は「考えたくなかったが………美濃部一徳の名が出た辺りから………もしかしたら?とは想っていた……… 龍騎も其れを思っていたんだな………」と言葉にした 「司録と黒龍が探しに行ってくれたわ ボクも少し前に探しに行ったのよ でも見つからなかった……… で、ボクは貴方に最悪の可能性を伝えないとならないから………お呼びしたのよ! 転生者の魂は待機所みたいな処で眠らされ、転生を待っているのよ 源右衛門と清香の魂は転生を待ち眠っていたわ! でもワンセット転生するべく弥勒院厳正の魂はなかったのよ………… 此れが意味する最悪の事態をボクは告げなきゃならないのよ…………」 烈はそう言い…………黙った 榊原がお茶を淹れて来て皆の前に置いた 弥勒は「…………其れは本当なのか?親父の魂は……………悪用されていると………言うのか?」と問い掛けた 「美濃部一徳の名が出た時、母しゃんから夜叉王の話は聞きました でも何故、【今】になって、その名で動き出したのか? ボクもだけど、紫雲も引っ掛かる所があり、独自に調べていたみたいなのよ この前 阿賀屋の家に車突っ込んで死んだ箕輪カズノリって声優は……魂を乗っ取られ使い捨てにされた駒だった 夢も希望も沢山あったのに………使い捨てされ殺された ボクは母しゃんが弥勒院厳正の遠縁に当たる姓が美濃部と話してくれたから、暦也を使い調べさせたのよ 今は………表向きには死に絶えた一族だった だが優れた力を持つ子孫は是非に!と乞われて全国各地に散って行ったり、名を変え存在は……するのよ! そして今もその力は存在していて、箕輪カズノリはそんな一族の末裔で力持ちだったから、乗っ取りやすかった そんな理由で………弄ばれたのよ! で、此処からが本題なのよ………」 烈は大きく息を吸い……己を落ち着かせ静かに話し始めた 「貴方は…………自分の父だった人を……討てるかしら? 無理なようなら……今後貴方は関わらない方が良い その為に貴方を呼ばさせて貰ったわ!」 弥勒は目を瞑り何かを考える様に、静かに座っていた 烈も何もこれ以上は言えない……と座っていた が、何かに気付き「あ!!」と立ち上がった クーが「俺が出る!」と飛んで行くと、康太が 「どうしたのよ?」と問い掛けた 「飛鳥井記念病院に向かってミサイルが飛んで来るってガブたんが教えてくれたわ!」 康太は顔色を変えて「え?それは宇宙からか?」と問い掛けた 「もう宇宙には自由に逝けないから、他国の弾道ミサイル乗っ取って放ったみたい…… それをボクんちに来るガブたんが教えてくれた」 と話していると結構近場で大爆発の音がして………衝撃で家が揺れた 康太は「え?あれって………ひょっとして………」と呟くとガブリエルが姿を現した 「弾道ミサイルだと思いますよ 宇宙まで弾き飛ばせない程に近くに来てしまったので……… クーとプーは近場に弾き落とすしか出来なかったのです」 「この近場って桜林か警察署だよな?」 と恐る恐る口にする プーが戻って来て「警察署の駐車場に落としてしもたわ!」と言った 烈は「暫く別の家に移動するしかないわね」と言った 康太も「だな、1週間位………離れた方が賢明だな!」と言う 「会社の傍のマンションは無事そうだから1週間、そっちに行く?」 「だな、家具とかそのままだろ?」 「業者が定期的に入り掃除してくれてるから、綺麗だし、お布団もその業者が預かってくれてるから綺麗なの用意してくれるわ」 「なら明日、着替え持って移動するか!」 「そーね、慌ただしくなると、何処で騒がれるか?解らないものね………」 「烈、唐沢呼んで来いよ!」 と言うとクーが呼びに行った 唐沢が応接間にやって来ると、康太は警察署にミサイル落ちたらしい………部下に指示してくれ!と言った 唐沢は直ぐ様部下に連絡を取った 康太は堂嶋に電話して事情を話した そして其れを総理まで上げて直ぐに手配してくれ!と依頼した ガブリエルはそんな忙しそうにしてる康太に 「私は世界会議が行われる事を伝えに来ました! 世界会議には必ず炎帝、青龍、聖神が参加して下さい! そして聖鳥 朱鷺を是非お連れ下さい!との事です! そしてまず28日から先に聖神と聖鳥 朱鷺とニブルヘイムとクーが天界へ……お越しください!との事です!」と伝達内容を伝えた 康太は「世界会議は何時あるのよ?」と問い掛けた ガブリエルは「非常事態宣言を8月1日に全世界同時に発信する…………その為の会議は8月1日から8月5日までの期間です! 先発として聖神とレイは7月28日からで、炎帝と青龍は8月1日から起こし下さい!との事です」と伝えた 烈は「あ~また強引な日程……決めちゃったのね…」とボヤいた 榊原は「どう言う事ですか?」と問い掛けた 「8月に入ったらボクは地獄界に行く予定だったのよ!でも多忙で予定が立たなくてね スケジュール調整しないとな、って思っていたのよ!そして………地獄界へ行ったならば必ずボクは………暴動に巻き込まれるから、そしたら無傷じゃ還れないだろうからね…………? 地獄界へ行った後のスケジュールは立たないし、どうなるか?解らないからね と、そんな話を地獄界の方々としていたのよ でも其れも不確定な話だったから、かなり強引に日程決めちゃったのね! でも……神を集結させ………各国の主要人物を一手に集めるなんて危険じゃない? 神を消失させる何かを混ぜてミサイルでも放てば、目の上のたんこぶの神や人間は消えてくれるのよ! そしたらアイツ等に取ったら、やったわ!になるのよ!」 榊原は「随分ナメた真似しようとしてくれますね!」と吐き捨てた ガブリエルは「天空神はそんな事など御見通しです!なので会議は天空神が守護する天界で行います!」と告げた 康太は「人が………天界に行けるのかよ?」と聞く 「元オーディーンがおられた入口付近に大きなホールと寝所となる迎賓館を建てました! 今後、人の世や、魔界や地獄界、冥界、hell、仙界 妖精界、冥府等と連携を取らねばなぬ事態が起きると考えられ、人や色んな種族が影響を受けない場所である、天界の入口に建物を建て、横槍を避け会議をするおつもりなのです!」 烈は「羅刹天や元始天尊も出席するのかしら?」と問い掛けた ガブリエルは「はい!多分………中華圏からは外務省の方と守護神が参加すると聞いてます!」と答えた 「その世界会議って何時頃総理クラスの人間か知ったの?イギリスの首相は知っていたのよ でも天ちゃんもらーくんもそんな話題は一切出さなくて……8月頭にボクは地獄界へ行く事になっていたのよ?」 康太は安曇に電話して「世界会議がある事を知っているか?」と尋ねた 『世界会議ですか?今日聞きました! 8月1日から5日間行われる会議ですよね?』 「え?7月28日から聖神とレイが行く事になってる?それは知らねぇのか? それは何故何だよ?ガブリエル?」 康太はガブリエルに問い掛けた ガブリエルは「え?………それは判りませんが、私はその様に聞いて伝言に来ました!」と言った 康太は安曇に「勝也は…誰に聞いたのよ?その話?」と聞く 『私は閣下からお聞きしました! 閣下は諸外国の方から連絡が回って来たそうです!』 「何?その3日の差の予定は………」 康太が訝しんで呟くと、ガブリエルは 「え?世界へ向けて守護神へ伝えたのですよ? なのに何故………日程に狂いが出るのですか?」 とサッパリ解らずに呟き…… 烈は知らん顔で、何も言わなかった 康太も「ズレが出てるなら出ねぇぞ!ましてや我が子とちっこちのだけ先になんか行かせられねぇよ!」と言うだけだった 当然 榊原は「そうですね!不確定な場に我が子とちっこちのだけでは行かせられません!」と強硬だった ガブリエルは仕方なく 「この事は天空神にお伝えして改めて日程調整致します!」と姿を消した ガブリエルが姿を消すと烈は「あ~!もぉ!」と叫んだ ガルがビクッとなりキューンとなると、烈はガルの頭を撫で「ゴメンね違うのよ………」と言った 康太も「何?予定がダダ被りじゃねぇかよ………」とボヤいた 榊原は「真相がハッキリするまで参加はしなくて良いです!」と言った 弥勒は「少し……考えさせてくれ…………」と言い 一生に送られて還って行った もぉ………何が何だか……解らない迷路に迷い込んだ気分だった 取り敢えず客間に顔を出すとヨーコがグビグビ酒を煽っていた 御影が「烈、コイツがウッズスタンの副社長って本当か?」と問い掛けた 「本当よ………何か問題でも?」 「問題はないよ………でもまぁ良くもこんなに葵に似たの探して来たなって思ったんだよ………」 「みかちゃんは社長になるのよ! ボク達は株主と特別顧問で名を連ねるから!」 「え?俺……イギリスにすぐに逝かないと駄目なのか?」 「違うわよ!ヨニー©ウッズスタン JAPANの社長はみかちゃんよ! 会社を半分倭の国に移す話はしたじゃない! 葵は政治家の妻になるから研究とか出来そうもないから、ヨーコを綺麗から貰い受けたのよ! まぁ葵同様研究バカだけど、ヨーコはIQテスト180超えの天才よ! 研究以外もサクサク片付けてくれるわよ!」 「なぁ烈………」 「なぁに?みかちゃん?」 「せめて………スカート履かせるなら…パンツが見えねぇ様に教育しろよ!」 烈は立ち上がるとヨーコに 「nǚ xìngrashikushinasai!」と言い怒った 其れからはロシア語で説教を始める! 瑛太は「烈……説教は明日にしなさい! 皆さん飲んでるんだから………」と言った 烈は「淑女の道は遠いわね……ボク疲れたから寝るわ!」と言い客間を後にした 玲香はヨーコに「暫く我とマナー教室や着付け教室へ通おうぞ!」と言った ヨーコは「すみません………自分が周りの人間と違うのは解っているんだよ! 俺の言動に皆………眉を顰めるのも解っている… でも俺は教えられて来なかったから………解らないんだよ!」と泣いた 玲香は優しくヨーコを抱き締めた 京香も「礼儀、礼節、を叩き込み、お前を何処へ出しても恥ずかしくない淑女に育て上げる事にする…… なぁにお義母さんと私もいる、志津ちゃんも手伝ってくれるだろうし、頑張ろうではないか! なぁに飛鳥井の一族の女は強かで強い! 主もそんな飛鳥井の家に住んでいるならば、少しずつ覚えれば良いのじゃ! さぁ飲む、そして明日から頑張る! そうでしょ?お義母さん!」と元気に言う ヨーコは玲香と京香に支えられ涙を拭いた 志津子も「私も愛する烈の為ならば一肌脱ぎますとも!」と言った 康太は「烈は今結構大変な仕事を幾つも掛け持ちしてるんだよ! 其れは飛鳥井に留まらず………軌道修正を掛けている……… オレ等はサポートはしているが、基本は烈任せだからな……… それに今日は結構幾つも色んな出来事が重なって限界だったんだよ! それと警察署辺りにミサイルが落ちたから、明日の朝は着替えを1週間分用意してバスの方に持っていってくれ! 報道記者とか押し掛けるだろうから、避難しねぇとならねぇ………もう烈は飛鳥井の家を出ていると想う………此処に烈がいると知らせたくないから出たんだと想う」と告げた 清隆は「さっきの振動………ミサイルが落ちたのですか……」と言った プーが「ガブリエルはんから飛鳥井記念病院へ向けてミサイルが向かってる、と烈に思念飛ばしはったから、弾き返すつもりで飛んで行ったんやけど、近すぎて大気圏まで飛ばせんから弾き落とすしかなかったんや! でも建物は避けて駐車場へ落としたから、駐車場は穴が空いたけどそんなに被害は出てないんじゃないかな?」と言うとクーも 「後数分遅かったら飛鳥井記念病院は木っ端微塵になっていた 当然、マンションの住民やこの家も被害は受けて………下手したら即死まっしぐらになるしかなかった!」と告げた プーは「まぁ相手は当たったらラッキー位にしか飛ばしてないやろうけどな!」と怒りを滲ませて言う クーも「嫌がらせで死んだらラッキー位にしか思ってないからな! 多分………烈はもう家にいない………明日の朝は皆、着替えを持って地震体験に行ってくれ! 俺は烈の着替えを持って行くからな、唐沢も着替えを持って家族と共に烈の所へ向かうから!」と言った 久遠はクーに「家を変わってるも消毒には来る様に言っとけ!」と言った 「了解!伝えとく!」 それで話は終わり、皆不安をかき消す様に飲み明かした 黒龍は何も言わず飲んで………朝方還って行った 翌朝 家族は何時もと変わらぬ様に過ごした 1週間分の着替えをボストンバッグに詰め込み、バスへ置きに行く 烈の分の着替えは兄達も手伝いボストンバッグに詰め込む! 慎一は食材を保冷バックに詰め込み用意する 住居を転々する内に素早く移動するのは得意となっていた この日は兄達や一生達も地震体験をする事になった その場に烈はいなかったが、綺麗が大きなお腹を抱えて 「我が研究所が誇る地震装置だからな! 皆 思う存分味わってくれ!」と言う 地震装置は一般的な家庭のキッチンを模した部屋となっていた プラスチックだが食器も食器棚に入って、生活感のあるが壁はない部屋だった その装置に順番に乗り体験する プーとクーは凛と椋とレイと乗り込み 「では頼む!」と合図を送る 研究員は「では震度1から!」と言い少しずつ上げていく 震度3でレイ達は立っていられなくなり、泣き出した 研究員はストップを掛けた その次は兄達が乗り込んだ 兄達は震度5まで耐えたが………震度6からは立っていられなくて震えていた 研究員は其処でストップした 北斗や和希 和真 永遠 東堂御影と山本洋子が乗り込み体験する ヨーコは慣れてるのか?平気で、御影は震度6でへたり込み終了 北斗達は地震の恐怖にやはり震えていた その次 玲香と清隆、瑛太と京香、瑛智と柚も乗り込んだ 子供達は震度3で泣き出し、降りると玲香達は何とか頑張り震度6までは体験した だが食器棚の食器が振動で飛び出し……家具は倒れそうになり恐怖で震え床にしゃがみ込む玲香を支え、清隆は「ギブアップします!」と言った 清隆は「私達は………地震の恐怖をナメていたのかも知れません………こんなにも恐怖は身近にあると言うのに………」と言った 瑛太も気丈に踏ん張る京香を支え 「我等は人々の生活を護らねばならない建築屋として、地震の恐怖と向き合わねばならない責任があるのに…………何処かで喉元過ぎれば熱さを忘れる………と地震の恐怖を忘れてしまっていたのかも知れません…… テレビで見る地震の映像も何処か他人事として受け止めて来てしまっていた それを宗右衛門は敢えて突き付けて来たのですね」と噛み締める様に言う 次の地震体験は康太と榊原、一生 聡一郎 隼人 慎一が乗り込んだ 揺れがだんだん強くなる 本当に地震を熟知した揺れだった 研究員が「この地震は直近であった能登半島地震の震度を再現してあります!」と言った 榊原は「地震に幾つかのパターンが有るのですか?」と尋ねた 「所長の意向で幾つかの情報と分析に基づいて再現しています 今回は所長である烈君が直近の地震の体験で!と言われたので此れにしてあります! それでは次は震度6!」 立っていられなくなり康太はキッチンテーブルの脚にしがみついた 上から物がバンバン飛んで来るし、本当に怖い………… 康太は「伊織、ムリだって!」と言うと、榊原は妻を抱き締め「ギブアップでお願いします!」と言った 総てのプログラムが終わると研究員は 「所長!」とマイクで呼び掛けた すると烈が顔を出し 「どうだった?」と問い掛けた 康太は「めちゃくそ怖かった!」と感想を述べた 烈は「実際の地震は何時起きるか?解らないからね、キッチンで料理を作っている時だったら、それが自分に掛かる危険もあるし、火が出る可能性もあるのよ、食器棚から食器はバンバン飛んで来て本物は割れるのよ それは寝室や他の部屋でも同じよ モノがない部屋に住んでる訳じゃないからね! 家の中も危険が一杯、外へ出れば何が飛んで来るやら解らないから危険が一杯 だからこそのシステムと免震構造なのよ! それと大きな地震があればオール電化な今、エレベーターだって止まるし、下手したら水道も止まるわ! 電気の供給がされなきゃ、タワーマンションなら上から下へ降りたり登ったり地獄の生活が待ってる だから、ビル自体に被害を与えず、素早い復旧が出来るか?が他社と差を着けれる今後のビル建設の課題となるのよ! 住民ファーストな建設会社 それが飛鳥井会建設だからね! この文言は広報の紫峰佳祐と決めた今後の売り出すキャッチコピーなのよ!」 瑛太は「住民ファースト、まさに今後の課題はそれに限りますね! しかし………2011年に起きた東北地方太平洋沖地震で未曾有の地震の脅威を味わったのに… 我々は日常に戻ったら……そんな脅威さえ忘れてしまっていたのですね………」と呟いた 烈は「飛鳥井建設は夏休み中の8月10日から7日間  一週間に限り、毎日10組の小学生低学年までの子を対象に地震体験をしたら?って紫峰が言ってたから、多分大々的に公募するわよ! その書類が上がってると想うけど?」と言う 榊原は「副社長から書類を受け取りました! 副社長はやる気で全面的に出てやると言ってました、烈は出るのですか?」と問い掛けた 「ボク?ボク出られる暇ないのよ! さぁ唐ちゃん、ラストよ! ヨーコ 震度7までお願いね!」 烈が言うとヨーコは笑って唐沢の首根っこ捕まえて地震装置に乗り込んだ ヨーコは「この地震装置は俺と綺麗が考えてパターンを分析して烈が組み込んで出来上がった傑作だからな!」と言った 何度も何度も乗り込み、そして吐いた それでも頑張って作り上げた装置だった やはり唐沢は震度6で「ぎゃ~助けて!」と叫んだ それでもヨーコは笑って「まだまだ!」と言っていた 烈が見兼ねてストップして唐沢を装置から下ろした 「此れで全員終了よ!」と言うと奥から研究員が姿を現した インテリア風な男に混じり、屈強なガタイの男が二人やって来て烈を持ち上げて肩に乗せた ムキムキな男は色が黒く………ボディービルダー並の筋肉隆々だった 皆自己紹介してムキムキの男も自己紹介した 「「紫峰洋平・洸平です」」 と自己紹介すると榊原が「紫峰…?偶然ですか?」と問い掛けた すると洋平が「あ~、佳祐は俺の兄だ!」と言った 康太が思わず「え〜似てなくない?」と言った 洸平が「良く言われます!もう耳タコな程に!」とボヤいた 洋平が「兄はモデルやって俳優やって広告業界の貴公子と持て囃された程のイケメンですからね! 俺等は兄と比較されるのが嫌で、グレで鍛え上げて来たからな、今じゃ似ても似つかない……」と少し落ち込み言う 洸平は「まぁ兄は母似で俺等はラガーマンしてた父似ってのもありますけどね! 母は女優の紫峰志摩ですから! 父は今はサンドリーの企業監督してます!」と家族の紹介をした 洋平は「まぁそんな兄も有頂天になり……広告業界の寵児と騒がれていましたが………起用する女優とスキャンダルを出して広告業界を追放の目にあっていますからね……… 挫折して零落れて安い酒場で飲んだくれ竜馬に喧嘩を吹きかけ【R&R】のメンバーに死ぬ思いさせられ、烈が拾い菩提寺に放り込み性根を入れ替えさせ、飛鳥井で使っている訳ですから!」と交互に話す 洸平は「まぁ俺等もクソに成り果て烈に喧嘩を売って………投げ飛ばされ………殺されそうになり……… 菩提寺へ放り込まれ竜之介さんに鍛え上げられ…… 綺麗の研究所で働かされ今に至る訳だから………似たり寄ったりな感じで烈に拾われた兄弟なんですけど…………」と言う 康太は何と言う経緯があったのよ?と思った 烈は「こーくんとよーくんは力任せに掛かって来るからね、そんなヤツは簡単に投げ飛ばせるのよ!しかもボクは雑巾みたいに絞れるし! ナメたから相当の目に合わせただけよ!」とトンデモ発言をしていた 綺麗が大きな腹して「どうだった?康太!伊織!滾る震度だっただろ?」と聞いて来た 榊原は「産休取らないのですか?」と思わず聞く 「おー!明日から産休に入るんだよ! 今日は康太と伊織が来るって言うし頑張って来たんだよ!」 奥から息子の麗音がやって来ると、麗音は烈に抱き着いた 麗音は「母さんは見張っとくから大丈夫だよ! 父さんにも見張っててってお願いされているしね!」と笑って言う もう、その顔の何処にも心中の成れの果て……の憐憫さはなかった 康太は「豊と仲良くやってるか?」と問い掛けた 麗音は「はい!父さんは優しいです!」と答えた 烈は「やっぱ麗音は瀬名の子なのね、頭の良さは引き継いでいるから、綺麗の跡は継いで貰えそうなのよ!」と言う 康太は「そうか……」と呟いた 八雲は大学の教授に復帰の話は総て蹴り、大阪の地で獣医の病院を堅実にやっていた だがパートナーがあまり大阪に来てくれないから、大阪の動物病院はもっぱら助手任せだったりする ならば、と烈が飛鳥井建設近くの空きビルの一階に動物病院を開かせた 恋人の近くに住み始め、あしげく通う八雲だった 最近は恋人から少しだけ信用を勝ち取り、幸せそうな顔をしていた 一ノ瀬の動物病院と提携して、重い患畜は協力し合ってオペをしたり、野良猫の去勢手術などのボランティア活動もしていた 麗音は生き生きして母となった綺麗を労り、優しい子になっていた 地震体験を終えた飛鳥井の家族達はバスに乗り、先に会社近くのマンションへ荷物を運び込む事にした 飛鳥井建設の地下駐車場にバスを停め、地下道を通りマンションへと向かう 地下駐車場へ出ると、凛太郎が待っててくれ、カードキーと部屋のキーを渡して 「お布団は業者に後で運んでくれる手筈は取ってます!」と言い車に乗り込み職場へ戻った 「唐ちゃん、部屋は好きに選ぶのよ!」と言う 唐沢は「え?部屋??」と問い掛ける 「そーよ、ワンルームと家族向けあるから、好きな部屋で寝れば良いわ!」 榊原は慣れたモノでエレベーターにIDを翳し作動する 二回に分かれてエレベーターに乗り込み、取り敢えず食堂へと向かう 食堂で部屋割りと部屋のキーを渡して貰い荷物を部屋に置きに行く クーとプーはレイ達ちっこいのの荷物を持ち慎一と共に家族向けの部屋へと向かった 烈はソファーに座り「まぁ一週間位だろうからね、駄目だったら別の家へ移って暮らすしかないわ!」と言った 「まぁ流れ弾を警戒してだからな!」と康太は言う 瑛太は「皆で暮らせるならば家など些末な事です!」と言ってくれた 一生は「やっぱ此処のテーブルは格別だよな!」と言った 取り敢えず会社へ行き仕事を片付けて、仕事を終えると地下道を通って自宅へと向かう 慎一と榊原はせっせと夕飯を作り大きなテーブルに置いて、皆で夕飯を食べた 満腹にお腹が膨れ、ソファーに座り皆で寛いでいる一時 唐沢も結構ゆったりと寛いでいた 烈は目を光らせ唐沢を視ていた 「頃合いね!さぁ始めましょうか!」 と言い立ち上がると康太と榊原は頷いた  烈は草薙剣を取り出すと呪文を唱え始めた 康太と榊原は誰にも邪魔させない為に、烈の前に立ち塞がった 「柵の鎖、己の心の解放、締め付けた心の安寧、今此処に唐沢の心を縛る総てのモノからの解放を!」 と言い草薙剣で唐沢の体を真っ二つにぶった斬った すると重い鎖の堕ちる音がジャリッと部屋に響き渡った 目の前で剣が振り降ろされ………体を真っ二つにされ………唐沢は呆然となっていた 烈は一仕事終えると、草薙剣をしまった 「ボクの剣は素戔嗚尊の剣 草薙剣だから人は斬らないわよ! その人の悪しきモノだけを斬り、その人の柵を断つ! 唐沢が悪に染まってない限りは、貴方には危害は加えないわよ! 貴方は………自分を雁字搦めにし過ぎて、己を殺しているのよ! 年々貴方は息が詰まる思いをしていたんじゃない? 責任は押し付けられ雑務は増え 、部下の数が増えて更に責任が重く伸し掛かり、日々多忙で………己の時間を削って役務を熟す! まぁ上から言われるままに仕事していたら不平不満だって溜まるわよ 貴方はさ部下さえ信用していないものね! そうなると心のバランスも崩れるわよ! それを見ないフリして過ごせる時期は等の昔に過ぎているのよ! だから母しゃんがボクの草薙剣で柵を切ってくれないかと、年末からこっち何かとボクと唐沢を合わせていたのよ! 今 少しだけ心の綻びが出来たから、唐沢の心を雁字搦めにしていた鎖を斬ってやったのよ! 聞こえなかった?重い鎖の斬れる音を!」 「…………聞こえました……」 「ならばボクの教育の始まりです! 一ヶ月の休暇をもぎ取ったのは、意識改革の為なのよ ボクで駄目ならばイギリスへ送り、メンバーに頼むしかないのよ! さぁ唐沢、今夜から楽しい意義改革よ!」 「ど………努力するよ!」 「誰が努力しろって言ったのよ あぁヨーコ同様道程は長そうだわ………」 康太と榊原は烈をソファーに座らせ 「気長に行くしかありません!」と言う 康太も「だな、焦るな、お前にはオレも伊織もオレの仲間も家族もいる!」と言う 烈は頷いた レイが唐沢の傍にやって来るとコップに入ったお水を渡した 唐沢はそのお水を飲んで「ありがとうレイ君!」と礼を言った 康太は「毎日飲むんだぞ唐沢!そしたらお前はもう闇に囚われたりしねぇ男になれる!」と言う 唐沢はワンルームの部屋を貰い受け寝る部屋を決めキーをもらい受けた ニュースでは「某国のミサイルがとうとう、横浜にまで届く様になりました! 運良く駐車場へ堕ちる事が出来、死者や怪我人が出る事はありませんでした! ですが一歩間違えれば、病院が近くにあり、学校も近くにあるので、患者さんや生徒さんが被害に遭う可能性もありました! 総理は某国外務省へ大変遺憾であると伝えられました! 尚 ミサイルが落ちた現場は病院と学校が近くにあるので、患者さんや生徒さんの迷惑にならない様に配慮をなさって下さる様に警察署の方から注意喚起をしています!」と伝えていた 警官が野次馬を溜まらせない様に規制線を貼り、警戒を強める映像が映し出されていた 唐沢はそれを見て「何でもかんでもスマホ向けてパシャパシャやりてぇヤツが溜まるからな……」とボヤいた 本当にそうだった、取り敢えずカメラを向け撮影を始めるのだ 飛鳥井の元の家では、そんな子達がゴロゴロいて、取り敢えずカメラを向けられ不快な思いをしたのだ 榊原は「珍しいランが咲いたと夕方のニュースでやってた時も凄い人がパシャパシャ集まって撮影してましたね…………珍しい事があると人は取り敢えずカメラを向けたがりますからね………」と辟易して言う

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