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第一部 復讐の終わり

「っ……う、……う」 「最近声を出さんな。どうした。性奴隷らしく振る舞えオルガ」 床に這い蹲らされたオルガを、デイトリヒが後ろから好き勝手に犯している。 あの日ルイスに抱かれてから、1ヶ月が過ぎた。 その後他の男達に使われるのは辛かったが、オルガはルイスを信じて待っている。 「ディスターに使わせてからだな。……やめておけば良かったな。貴様には屈辱かと思ったが。貴様は思った以上に節操というものがないらしい。自分を倒した男に平気で足を開くのか。性奴の貴様にはプライドなど無いのだろうな」 「ん、っ……く……」 嘲笑う声に思わず唇を噛む。デイトリヒの性奴隷ではなく、ルイスはオルガという男を抱いてくれたのだ。 そう叫びたかったが耐える。 声を殺すオルガに焦れたのかデイトリヒはいきなり手を振り上げ、デイトリヒの一物を咥えるオルガの尻に平手を見舞った。 「……ひぁッ!?」 「貴様には、まだ躾が足りんようだな」 バチン!と言う乾いた音と共に鋭い痛みが走る。突然の事に、目の前が一瞬真っ白になった。 痛みに身が竦みオルガの体内が収縮すると、デイトリヒはくっくと嗤う。 何故笑われたのか分からず惚けていると、デイトリヒがオルガの性器に手を触れた。 ぬるりと滑りまさかと思ったが、デイトリヒがオルガの鼻先に突きつけた手には白濁が絡み付いている。 「……う、そだ……私、は……」 「嘘?俺は貴様が変態のマゾヒストだとはなから知っていた。初めて犯した時からな」 「違う、そんなっ、私は変態では」 「尻を打たれてイク男が変態以外のなんだ。今日からは貴様が痛みだけでイケるように調教していく事にしよう」 「いや、だ!嫌だ!デイトリヒ様、止めてくれ!」 「ははは、その反応は久しぶりだな。興が乗ってきた」 「嫌だ!私はマゾヒストじゃ、な、んあああっ!」 バチンとまた尻を強かに打たれて、オルガは背を反らし悲鳴を上げた。 痛いだけで、感じたりなんかしない。そのはずなのにビクンビクンと腰が跳ねてしまう。 「いい面をしているな。オルガ。このマゾ豚が」 「ち、がぁ、る、ルイス、ルイス助けてくれ、ルイスっ」 「ルイス?……ディスターの事か。はははは!そうか貴様、ディスターに懸想したのか!それは面白い。なら今度、あの男の前でイスタの捕虜達に貴様を回させようか。いい余興だ」 思わずルイスの名を呼び、床に額を擦り付け呻いた。これ以上調教されたら、迎えに来てくれても手遅れになってしまう。 涙が出そうだ。 これなら、理性が飛んだ娼婦のままの方が楽だった。 愛されるセックスを知ってからの性奴隷としての行為は身を裂かれるように辛い。 さらに新しい責め苦を与えられながら、ルイスを待つ気力はもう残っていない。 もう耐えるのを辞めようか。何もかもどうでも良い。 そう思い、舌を噛もうとしたその時。 バァン!と扉が開いた。 音に驚いてオルガとデイトリヒは扉を開けた人物を凝視する。 そこに居たのは、戦姿のルイスだった。 手には、何か丸いものを持っている。 それをいきなりデイトリヒへ投げつけた。受け止め損ね頭にぶつかったデイトリヒは、床に倒れこむ。 ズルンッと繋がっていた性器が抜けて、オルガの身体も崩れ落ちた。 「ぐっ、なんだ!貴さ、……ディスター!」 ルイスが投げつけたのは首だった。 オルガには誰のものか分からないが、デイトリヒは知った顔なのだろう。 怒りに美しい顔を歪め、双眸を燃やしてルイスを睨みつけた。 「ディスター、貴様、どういうつもりだ!これは俺の近衛隊長だ、何故殺した!」 「分からねぇか?……腑抜けたな陛下。あんたはここ半年以上、城に引きこもり毎晩オルガを犯すだけの毎日だ。為政者として、それでいいと思ってたのかよ?」 「な、……政務は果たしている!」 「馬鹿、城から出ず時勢の何が分かる。外交だって放ったらかしじゃねぇか。……昔は聡明だったのにな。だから俺は付き従って来たが、それもここまでだ」 「謀反を……貴様ッ……」 「俺だけじゃねぇぞ。将校の約半分が賛同した。恨むなら、オルガにハマりすぎた自分を恨め」 酷く頭痛がした。ついでに、胃も痛い。つまりは、オルガを嬲る為にデイトリヒは皇帝の職務を放棄し、臣下はデイトリヒを見限った。 オルガの戸惑いに気が付いたのか、ルイスはニヤリと悪戯っぽく笑い不器用に片目を瞑った。 「アレだな、オルガ。お前は傾国の美女ならぬ、傾国の美将軍だ」 「……私の、せいでこんな」 「ははは。あんたのせいじゃないさ……さあ、陛下。今更ジタバタするなよ。城の外ではまだあんたを支持する奴らが反乱軍と戦ってる。首をくれ。それで戦いは終わりだ」 「き、さまっ……」 柳眉を逆立ててデイトリヒは怒りに身体を震わせる。激しい怒気がデイトリヒの白い肌を赤く染めていた。 オルガは今にも憤死しそうなデイトリヒを背に、ルイスの前に立ち塞がる。 一瞬きょとんと目を丸くしたルイスは、すぐに悲しげに眉を寄せてオルガの頬に触れて来た。 「……庇うのか?」 「違う。ルイス……デイトリヒ様を狂わせたのは私だ。私が知らぬ間に彼の大事なものを奪った。だから、復讐に取り憑かれたのだ。私が消えれば、元のデイトリヒ様に戻る。殺す必要はない」 「そんな事言って、惚れてんだろう」 「違う!私は……」 熊のような大男が拗ねたように唇を尖らせ肩を落とす姿は中々情けない。 助けに来てくれたのに申し訳ないが、それでもオルガがデイトリヒの前から退かずにいると、突然オルガの後孔につぷりとデイトリヒの指が捻じ込まれた。 「んあ、あっ!」 「ははは、オルガは俺が仕込んだ、俺の性奴隷だ。貴様がどう誑かそうとも、俺の元を離れられないのだろう。残念だったなディスター」 「ちが、うぅっ……デイトリヒ様、ひ、あっあん」 オルガのいいところを知り尽くした指が、中を掻き回し愛撫する。 ぐりぐりと前立腺を抉られ、嬌声が溢れてしまった。 「そうなのかオルガ。お前やっぱり陛下の方がいいのか?悪いが謀反は途中じゃ辞めれんぞ」 「ちが、う。る、ルイスの方がいい、ルイスが、いいのだ、私はっ」 快楽を振り切ってなんとかそう叫ぶ。にんまりとしたルイスがオルガを抱き寄せて、無理矢理デイトリヒから引き離した。 厚い鎧越しだがルイスの胸に抱き締められるとオルガはトロンとした気分になる。髪を優しく撫でられ、待ちわびた男にようやく触れられる喜びに打ち震えた。 デイトリヒはルイスに抱き締められるオルガを憎々しげに睨みつけるが何も言わなかった。 いや、何も言えないのだろう。 「オルガに免じて……こうしてやろう」 「な、離せ!俺に触れるな下賤の輩が!」 ルイスは一度オルガから離れると、その体躯に見合った怪力で軽々とデイトリヒを抱え上げた。デイトリヒの抵抗など物ともしない。 そしてベッドにデイトリヒを放り捨てると、かつてはオルガを拘束していた鎖でデイトリヒを縛り上げた。 「離せ!こ、の!」 「ははは、いい気味だ。……さて、そのまま見てろ。な、オルガ」 「なんだ、……うわ!」 デイトリヒの腹の上にオルガを跨がらせると、ルイスは自らの前を寛げた。 デイトリヒとオルガはギョッとして、思わず顔を見合わせる。 「待て!貴様、俺の腹の上でっ!」 「ど、どうしてだ、ルイス!こんな、今はそれどころじゃないだろう!」 「なあに、陛下に見せてやるんだよ。俺があんたをどれだけ好きか。あんたが俺に好かれてどんな風に喜ぶのか、さ」 デイトリヒの顔を覗き込むような体勢で四つん這いにさせられ、後ろから抱き締められる。 ぬぷっと太く熱い性器が後孔に触れた。 「あ、ルイス、嫌だぁ」 言葉ではそう言うが、身体は待ちわびていた。貪欲に男を求めるオルガの身体だが、あの日からはずっとルイスだけを待ち望んでいる。 さっきまではデイトリヒを受け入れていた場所が、より大きなルイスの性器の形に開かれていく。 「ンア、あーっ!お、おお、きい!」 「く、はぁ、キツい。そんな締めんなよオルガ」 「そん、なっ、無理だ、あ、ルイスのが、おおき、過ぎてっ」 「デカ過ぎて苦しいか?」 「ちが、うぅ、いい、よす、ぎる、んだっ」 「ははは、そうか。嬉しいぜ」 ゆっくりと大きさに慣らすように突かれているだけなのに、気持ちが良すぎてもうイキそうだった。 苦々しい顔でデイトリヒがオルガの痴態を見上げているのも、妙な興奮をオルガに与えている。 「る、もう、い、ああ、いいっ」 「ふっ、オルガ、好きだぜ、オルガ。やっと取り返せる、もう誰にも、渡さねぇからな」 「んあ、あっ!る、い、ああ、ルイス、私も、あなたが、んあ、はぁ!キス、んっ、してく、れ、」 耳元で甘く愛を囁かれて、堪らなくなってしまう。デイトリヒが見ているのに、必死に首伸ばして口付けを乞う。 後ろから強く抱き竦められ、唇を奪われた。熱く舌を絡ませ合い、望んでルイスの唾液を飲み込む。 キスの喜びで、デイトリヒの腹にぶちまけるように射精してしまった。 デイトリヒの顔がより悔しげに歪む。下唇を震わせ、屈辱を堪えているようだった。 「またキスでイッたな。オルガはキスが好きだなぁ」 「んあ、……あっ!んう、奥、奥気持ち、ああっ、そこ、いい」 「ここは、陛下のちん×届いたか?」 「だ、めっ、ああ、ルイスだけ、ルイスの、だけだぁ、もっと、突いてく、あぁ」 「はは、やらしい。陛下わざわざ悪いなぁ。俺好みに仕込んで貰っちゃって。おかげで夫婦円満だなこりゃ。これからは、俺だけがこいつ可愛がってもっと俺好みにさせてもらうぜ」 「ふ、うふ?そ、んあ、馬鹿、がぁっ!」 「貴様に、貴様などにっ……そんな結末があってたまるか!許せん!貴様は地獄を見るべきなのに!!」 ついに爆発したように、デイトリヒが吼えた。憤怒に涙すら浮かべて、歯がかけそうなほど奥歯を噛み締める。 その表情を見て、不憫だと思う。 もはや憎しみなどなかった。 デイトリヒが開発したこの身体がルイスに喜ばれるものならば、今となっては感謝すらしていい。 「くっ、なあ、オルガは、誰のだ?誰の恋人だ?」 「あ、ああ、!も、あなたの、ルイスのっ、だっ」 「ああ、すげぇ、嬉し……出そうだ、中に出しちまって、いいよな」 「あぁっ、出し、て、んあ、あっ!ふあ、ああっ!」 優しく首筋に口付けしながら、ルイスがオルガの奥で精を放った。同時にデイトリヒの胸元に額を擦り付けながら、オルガもまた射精する。 他の男との行為では得られない、幸福感に満ち溢れた絶頂に、オルガは蕩けそうだった。口元は自然と綻ぶ。 とくっとくっと体内のルイスが震えて精子を吐き出すのが愛しくて、自分で意識して中を締めて精を絞る。 「は、あっ……それすげぇいいっ……抜きたくなくなっちまう」 「抜かないでくれ……貴方とはずっと繋がっていたい」 「駄目駄目、さっさと遠くへ逃げねぇと」 「逃げる?何故だ。謀反を起こしたルイスがその後始末を放って逃げると言うのは良くないだろう」 「だって、ここにゃお前を犯した男が沢山いる。誰もお前の過去を知らん場所に行って、全部やりなおそう」 「……いい、のか?そんなことは許されるのか」 「ああ。……捕虜になってるお前の部下を国に返す手筈も済んでる。逃走用の馬車も待たせてある。バッチリだぜ!」 性器を引き抜かれ、デイトリヒの上からルイスは腕の中に抱え上げられる。 噛み締めた唇から血を流したデイトリヒは、前を膨らませていた。ズボンの下で脈動する性器は、もうオルガを犯すことはない。妙な感慨があった。 「陛下は、このままにしよう。陛下がまだ天に見放されていないなら、助かるだろう」 「そう、だな……」 「最後に、何か言ってやれよオルガ」 恨み言を言う気にはなれかった。 だからこの部屋に閉じ込められてからの7カ月の間、ずっと言えずにいた正直な想いを吐き出す。 「……遅漏は治したほうがいいと思う」 デイトリヒの顔が、羞恥に赤く染まった。 わははと高笑いをするルイスに肩を貸され、オルガは長く閉じ込められた部屋を出る。 バタンと扉が閉まり、性奴隷だったオルガ・ローレンスタは、居なくなった。

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