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橘×雪哉 1日目

拭いても拭いても滴り落ちて来る汗をシャツの裾で拭いながら、スコアボードを眺める 76-75 と表示されたそれはキリキリではあったものの奇跡的な大勝利を示していた。 今日の相手は実業団の中でも毎年優勝争いに絡んでくるようなチームだった。 実際去年までの戦績を見てもうちのチームは一度だって勝てたことは無い。 「やったな、雪哉! お前が来てから負けなしだ! やっぱすげぇよお前!」 今年からようやくまた一緒にプレイできるようになった橘に緩いヘッドロックを掛けられ、雪哉はくすぐったそうに目を細める。 「ほんと、頼もしい奴がウチに来てくれたな」 「そうそう、顔よし、スタイルよし、おまけに性格もよし。んで、バスケの才能ぴか一って出来すぎじゃねぇ?」 2メートル近い巨体を揺らして笑うキャプテン、武内や、新しい仲間達の言葉に、雪哉は思わず苦笑する。 確かに中学、高校、大学と女子達からは王子様みたいだと持て囃されていたが、残念なことに雪哉自身はガチ目のゲイだ。女性には全く興味が持てず、男性しか愛せない。 バスケだって、無茶苦茶好きとうわけでは無かったし、元々は高校を卒業した時点で辞めるはずだったのだ。 才能があると言われたって、イマイチぴんと来ないし、褒められても正直困ってしまう。 「買い被りですよ。実際、僕よりもっと凄い人たちは沢山居ますし。それに、僕は性格悪いですよ? 見せてないだけで」 「え? そうなのか?」 意味深な笑顔で目を細めると、武内たちの表情が一瞬強張った。 「能ある鷹は爪隠すって言うじゃないですか。……だから、ね?」 にこりと微笑むと、今度は皆が顔を青くした――。

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